増補改訂しました。
尹 イン 尸部
解字 甲骨文字は手に棒状のものをもった形で、殷代には王の臣下の汎称だという。[甲骨文字辞典]は、「棒は道具であり、尹は道具を持って奉仕する者が字源であろう」とする。私は、尹の系列字の展開を考えるとき、この棒は現場で指揮をとる人がもつ指揮棒ではないかと思う。のち、この指揮棒をもつ人は、長官の意味となり、おさめる・ただすなどの意味も持つようになった。
意味 (1)おさめる。ただす。 (2)おさ。長官。「令尹レイイン」(周代の楚国で最高位の大臣。また、地方長官) (3)姓のひとつ。 (4)[国]かみ(尹)。古代の四等官。
イメージ
「指揮棒をもつ」(尹・伊)
音の変化 イン:尹 イ:伊
指揮棒をもつ
伊 イ・これ・かれ イ部
解字 「イ(人)+尹(指揮棒をもつ)」の会意形声。指揮棒をもつ人。殷の湯王を助けて世を治めた伝説上の賢人である「伊尹イイン」に使われるが、一般には、姓や地名に用いられる。また、仮借カシャ(当て字)されて、「これ」「かれ」などの意となる。
意味 (1)これ(伊)。この(伊の)。 (2)かれ(伊)。かの(伊の)。 (3)地名・姓に用いられる。「伊豆イズ」「伊藤イトウ」「伊太利イタリア」「伊国イコク」(イタリア) (4)[国]「伊達だて」(いきであること)
参考 伊イの左辺イが、カタカナの「イ」となった。
君 クン <まとめる>
君 クン・きみ 口部
解字 「口(言葉を発する)+尹イン(指揮棒をもつ)」の会意。指揮棒をもち言葉を発して号令をかける統治者をいう。古くは地域の統治者を言ったが、のちに人々を治める君主の意味になった。
意味 (1)きみ(君)。人の上に立って支配する者。「君主クンシュ」 (2)きみ(君)。大名や諸侯。地方の統治者。「君侯クンコウ」(諸侯。高官や身分の高い人)「君子クンシ」(徳の高い立派な人) (3)年長者などに付ける敬称。「父君ちちぎみ」 (4)同輩や目下の者を呼ぶ時に付ける語。「諸君ショクン」
イメージ
人々を支配し地域を「まとめる」(君・郡・群・窘・裙)
音の変化 クン:君・裙 グン:郡・群 キン:窘
まとめる
郡 グン・こおり 阝部おおざと
解字 「阝(邑:むら・まち)+君(まとめる)」 の会意形声。邑(むら・まち)をまとめた地域。
意味 地方行政区画のひとつ。ぐん。こおり(郡)。「郡司グンシ」「郡守グンシュ」(郡の長官)「郡部グンブ」「郡奉行こおりブギョウ」
群 グン・むれる・むれ・むら 羊部
解字 「羊(ひつじ)+君(まとまる)」 の会意形声。まとまりのある羊のあつまり。
意味 (1)むれ(群)。「大群タイグン」(2)むらがる(群がる)。むれる(群れる)。「群衆グンシュウ」「群生グンセイ」「群臣グンシン」「群青グンジョウ」(青い鉱物の群れ(あつまり)。岩絵具の青、またその色をいう)「群青色グンジョウいろ」(あざやかな深い青色)
窘 キン・ゴン・くるしむ 穴部
解字 「穴(よこあな)+君(まとめる)」 の会意形声。よこ穴にまとまって入ること。[説文解字]は「迫(せま)る也(なり)」とする。よこ穴に緊急に避難することか。
意味 (1)つまる。とじこめられる。きわまる。「窮窘キュウキン」(窮も窘も、きわまる意)(2)くるしむ(窘しむ)。「窘困キンコン」(くるしむ)「窘乏キンボウ」(貧乏にくるしむ)「窘厄キンヤク」(くるしみ。災難)(3)あわただしい。急な。「窘急キンキュウ」(あわただしい)「窘歩キンポ」(急いで歩く)(4)[国]たしなめる(窘める)。
裙 クン・も 衤部
解字 古い字体は帬 で「巾(ぬの)+君(まとめる)」 の会意形声。布を腰にまとめる(巻く)衣服の意で下半身をとりまくスカート状のものをいう。楷書になって巾⇒衣に変化した裙となった。
意味 (1)も(裙)。もすそ。下半身をとりまく衣服。スカート。「裙子クンシ」(僧侶が腰から下にまとう袴状の衣服。現代中国ではスカートをいう)「裙釵クンサイ」(①女性のもすそと、かんざし。②女性)「裙帯クンタイ」(もすそと、おび)(2)はだぎ。したぎ。「裙襦クンジュ」(はだぎ)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
尹 イン 尸部
解字 甲骨文字は手に棒状のものをもった形で、殷代には王の臣下の汎称だという。[甲骨文字辞典]は、「棒は道具であり、尹は道具を持って奉仕する者が字源であろう」とする。私は、尹の系列字の展開を考えるとき、この棒は現場で指揮をとる人がもつ指揮棒ではないかと思う。のち、この指揮棒をもつ人は、長官の意味となり、おさめる・ただすなどの意味も持つようになった。
意味 (1)おさめる。ただす。 (2)おさ。長官。「令尹レイイン」(周代の楚国で最高位の大臣。また、地方長官) (3)姓のひとつ。 (4)[国]かみ(尹)。古代の四等官。
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「指揮棒をもつ」(尹・伊)
音の変化 イン:尹 イ:伊
指揮棒をもつ
伊 イ・これ・かれ イ部
解字 「イ(人)+尹(指揮棒をもつ)」の会意形声。指揮棒をもつ人。殷の湯王を助けて世を治めた伝説上の賢人である「伊尹イイン」に使われるが、一般には、姓や地名に用いられる。また、仮借カシャ(当て字)されて、「これ」「かれ」などの意となる。
意味 (1)これ(伊)。この(伊の)。 (2)かれ(伊)。かの(伊の)。 (3)地名・姓に用いられる。「伊豆イズ」「伊藤イトウ」「伊太利イタリア」「伊国イコク」(イタリア) (4)[国]「伊達だて」(いきであること)
参考 伊イの左辺イが、カタカナの「イ」となった。
君 クン <まとめる>
君 クン・きみ 口部
解字 「口(言葉を発する)+尹イン(指揮棒をもつ)」の会意。指揮棒をもち言葉を発して号令をかける統治者をいう。古くは地域の統治者を言ったが、のちに人々を治める君主の意味になった。
意味 (1)きみ(君)。人の上に立って支配する者。「君主クンシュ」 (2)きみ(君)。大名や諸侯。地方の統治者。「君侯クンコウ」(諸侯。高官や身分の高い人)「君子クンシ」(徳の高い立派な人) (3)年長者などに付ける敬称。「父君ちちぎみ」 (4)同輩や目下の者を呼ぶ時に付ける語。「諸君ショクン」
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人々を支配し地域を「まとめる」(君・郡・群・窘・裙)
音の変化 クン:君・裙 グン:郡・群 キン:窘
まとめる
郡 グン・こおり 阝部おおざと
解字 「阝(邑:むら・まち)+君(まとめる)」 の会意形声。邑(むら・まち)をまとめた地域。
意味 地方行政区画のひとつ。ぐん。こおり(郡)。「郡司グンシ」「郡守グンシュ」(郡の長官)「郡部グンブ」「郡奉行こおりブギョウ」
群 グン・むれる・むれ・むら 羊部
解字 「羊(ひつじ)+君(まとまる)」 の会意形声。まとまりのある羊のあつまり。
意味 (1)むれ(群)。「大群タイグン」(2)むらがる(群がる)。むれる(群れる)。「群衆グンシュウ」「群生グンセイ」「群臣グンシン」「群青グンジョウ」(青い鉱物の群れ(あつまり)。岩絵具の青、またその色をいう)「群青色グンジョウいろ」(あざやかな深い青色)
窘 キン・ゴン・くるしむ 穴部
解字 「穴(よこあな)+君(まとめる)」 の会意形声。よこ穴にまとまって入ること。[説文解字]は「迫(せま)る也(なり)」とする。よこ穴に緊急に避難することか。
意味 (1)つまる。とじこめられる。きわまる。「窮窘キュウキン」(窮も窘も、きわまる意)(2)くるしむ(窘しむ)。「窘困キンコン」(くるしむ)「窘乏キンボウ」(貧乏にくるしむ)「窘厄キンヤク」(くるしみ。災難)(3)あわただしい。急な。「窘急キンキュウ」(あわただしい)「窘歩キンポ」(急いで歩く)(4)[国]たしなめる(窘める)。
裙 クン・も 衤部
解字 古い字体は帬 で「巾(ぬの)+君(まとめる)」 の会意形声。布を腰にまとめる(巻く)衣服の意で下半身をとりまくスカート状のものをいう。楷書になって巾⇒衣に変化した裙となった。
意味 (1)も(裙)。もすそ。下半身をとりまく衣服。スカート。「裙子クンシ」(僧侶が腰から下にまとう袴状の衣服。現代中国ではスカートをいう)「裙釵クンサイ」(①女性のもすそと、かんざし。②女性)「裙帯クンタイ」(もすそと、おび)(2)はだぎ。したぎ。「裙襦クンジュ」(はだぎ)
<紫色は常用漢字>
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