改訂しました。
㓞 ケイ・ケツ・ゲツ 刀部 qì・qià・yáo
解字 甲骨文字は傷を表す指示記号の丰カイと刀(かたな)」に従い、おそらく刀で傷をつける様子を表している[甲骨文字辞典]。金文から左右が入れ替わるが同じかたちで続き、篆文の[説文解字]は「巧みに㓞(きざ)む也(なり)。刀に従い丯カイの聲(声)。発音は恪入切とする。横に三本の線を刻したものに、さらにタテの線を刻したかたち。単独で使われず音符として用いられる。刀で刻み目を横に三本つけ、これをタテ半分に切った形でもあり、刻み目のついている部分を別々に保管し、後でつき合わせて割り符(約束のしるし)にする意味もある。新字体の音符になるとき、丰の下は突き出ない。
意味 (1)傷をつける。巧みにきざむ。(2)刻み目をつけて半分に分ける。
イメージ
「きざむ」(齧・絜・潔)
音の変化 ケツ:絜・潔 ゲツ:齧
きざむ
齧 ゲツ・かじる・かむ 歯部 niè
解字 「齒(歯の旧字)+㓞(きざむ)」の会意形声。歯でものをきざむこと。[説文解字]は「噬ゼイ(かむ・くう)也(なり)。齒に従い㓞の聲(声)。発音は五結(ゲツ)切」とする。
意味 かむ(齧む)。かじる(齧る)。「齧歯類ゲッシルイ」(犬歯を持たず前歯の発達した哺乳動物。ネズミ・ウサギ・リスなど)「齧噬ゲツゼイ」(かむ・かじる・くいこむ。噬ゼイもかむ・かじる意)
絜 ケツ・ケイ 糸部 jié・xié
麻苧(あさお)(「京都神具製作所のブログ」より)
解字 「糸(いと)+㓞(きざむ)」の会意形声。麻の皮の繊維をタテに割いて(きざんで)糸状にしたもの。いわゆる麻苧(あさお)で、これを白木の棒の先にたくさん付けて垂らしたものが大麻おおぬさ(=大幣)である。大麻(おおぬさ)は古くから神事に用いられ、これを振って清め祓(はら)いをする。
意味 (1)きよめる。きよい。「絜斎ケッサイ」(神仏に祈願する前に、物事をつつしみ心身を清らかにする。)「絜白ケッパク」(心が清くけがれがないこと。)(2)麻苧(あさお)で、つなぐ(絜ぐ)・むすぶ(絜ぶ)。「子孫は累世ルイセイ駕ガを絜(つな)ぐ」(子孫は何世代も馬車に乗ることを絜(つな)ぐ)[韓非子・五蠹ト篇])
潔 ケツ・いさぎよい 氵部 jié
解字 「氵(水)+絜(身をきよめる)」の会意形声。絜ケツは、身をきよめること。これに氵(水)のついた潔は、水を身体にかけて身を清めること。また、身をきよめて物事をおこなうので、いさぎよい意となる。
意味 (1)きよい。けがれがない。きれい。「潔白ケッパク」「潔斎ケッサイ」(水を身体にかけて心身を清めること)「清潔セイケツ」「潔癖ケッペキ」(極度に不潔をきらうこと)(2)いさぎよい(潔い)。思いきりよく立派。
<人が木片などに刻み目を入れて割符をつくる>
契 ケイ・ケツ・セツ・キツ・ちぎる・きざむ 大部 qì・qiè・xiè
解字 「大(人の正面形)+㓞(きざむ)」の会意形声。人が木片などに刻み目を入れてタテの線で分け、割符をつくること。割符を持った二人はのちに刻み目が合うことを確認し約束の印とする。きざむ意と、割符を作って約束する意とある。
意味 (1)ちぎる(契る)。約束する。「契約ケイヤク」「契機ケイキ」(ちぎりをきっかけに)(2)割り符。割り印。「契印ケイイン」「契符ケイフ」「契合ケイゴウ」(ぴったり一致する)(3)きざむ(契む)。しるしをつける。ほる。
イメージ
刻み目をつけたものを半分に分けて「ちぎる」(契)
「きざむ」(喫・楔)
「形声字」(禊)
音の変化 キツ:喫 ケイ:契・禊 ケツ:楔
きざむ
喫 キツ 口部 chī
解字 「口(くち)+契(きざむ)」の会意形声。食べ物を口の中できざむ(かむ)こと。本来は食べる意であるが、「のむ」「すう」意でも使われる。
意味 (1)食べる。かむ。「喫飯キッパン」(飯を食べる)「満喫マンキツ」(十分に飲み食いする。十分に満足する)(2)のむ。「喫茶キッサ」(3)すう。「喫煙キツエン」(4)こうむる。身にうける。きっする(喫する)。「喫驚キッキョウ」(びっくりする=吃驚)「喫水線キッスイセン」(船の水中と水上の境)
楔 セツ・ケツ・くさび 木部 xiē
解字 「木(き)+契(きざむ)」の会意形声。きざみ目(割れ目)を作り、そこに先を尖らせた木を打ちこむこと。打ち込んで割ったり、両方にまたがらせて打ち込み、つなぎ合わせたりする。
木材を芯まで乾燥させるため楔をうちこむ(「森本工務店のHP」より)
意味 (1)くさび(楔)。うつ。先がV字形になった堅い木片や金属片。隙間に差し込んで物を割ったり、押し上げたりする。「楔形文字くさびがたモジ」(古代メソポタミアを中心に用いられた粘土に先の尖った用具で刻まれた楔状の文字)「木楔きくさび」(木のくさび)「楔撃ケツゲキ」(うちこむ)(2)物と物をつなぎ合わせるもの。「楔留(くさびど)め」(楔を打って継ぎ目を留めること)
楔形文字
楔差しホゾ接ぎ(「半布里工房のHP」より)
形声字
禊 ケイ・みそぎ・はらう 示部 xì
解字 「示(祭壇:神)+契(ケイ)」の形声。伝承古文字に「示(神)+絜ケイ(きよめる)」の[示絜](これで一字。発音はケイ)があり、水辺で身をきよめ災難をはらう祭祀をいう。古代中国で三月上巳(初めての巳の日)に川辺で行われた不祥を除去する祭祀を言った。六朝期になると永和9年(353)3月3日、会稽郡(今の浙江省紹興市)で人工河川の曲水を配した蘭亭に紳士があつまり、王羲之オウギシ(政治家・書家)が催した修禊シュウケイ(禊みそぎを修める)の雅(みなび)な会として復活した。酒をいれた盃を曲水に流し、詩をつくりながら酒を飲むという風雅な催しで日本の雛祭りの源流になったとも云われる。「蘭亭序」は、ここで詠まれた詩集の序文として自ら書写した草稿。
意味 みそぎ(禊)。はらう(禊う)。水で身体を洗いきよめる。また、そのまつり。「祓禊フッケイ」(はらうこと。祓も禊も、はらう意)「禊事ケイジ」(みそぎの祭り)「禊宴ケイエン」(禊事のあとの酒宴)「修禊シュウケイ」(禊みそぎを修める)
<紫色は常用漢字>
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㓞 ケイ・ケツ・ゲツ 刀部 qì・qià・yáo
解字 甲骨文字は傷を表す指示記号の丰カイと刀(かたな)」に従い、おそらく刀で傷をつける様子を表している[甲骨文字辞典]。金文から左右が入れ替わるが同じかたちで続き、篆文の[説文解字]は「巧みに㓞(きざ)む也(なり)。刀に従い丯カイの聲(声)。発音は恪入切とする。横に三本の線を刻したものに、さらにタテの線を刻したかたち。単独で使われず音符として用いられる。刀で刻み目を横に三本つけ、これをタテ半分に切った形でもあり、刻み目のついている部分を別々に保管し、後でつき合わせて割り符(約束のしるし)にする意味もある。新字体の音符になるとき、丰の下は突き出ない。
意味 (1)傷をつける。巧みにきざむ。(2)刻み目をつけて半分に分ける。
イメージ
「きざむ」(齧・絜・潔)
音の変化 ケツ:絜・潔 ゲツ:齧
きざむ
齧 ゲツ・かじる・かむ 歯部 niè
解字 「齒(歯の旧字)+㓞(きざむ)」の会意形声。歯でものをきざむこと。[説文解字]は「噬ゼイ(かむ・くう)也(なり)。齒に従い㓞の聲(声)。発音は五結(ゲツ)切」とする。
意味 かむ(齧む)。かじる(齧る)。「齧歯類ゲッシルイ」(犬歯を持たず前歯の発達した哺乳動物。ネズミ・ウサギ・リスなど)「齧噬ゲツゼイ」(かむ・かじる・くいこむ。噬ゼイもかむ・かじる意)
絜 ケツ・ケイ 糸部 jié・xié
麻苧(あさお)(「京都神具製作所のブログ」より)
解字 「糸(いと)+㓞(きざむ)」の会意形声。麻の皮の繊維をタテに割いて(きざんで)糸状にしたもの。いわゆる麻苧(あさお)で、これを白木の棒の先にたくさん付けて垂らしたものが大麻おおぬさ(=大幣)である。大麻(おおぬさ)は古くから神事に用いられ、これを振って清め祓(はら)いをする。
意味 (1)きよめる。きよい。「絜斎ケッサイ」(神仏に祈願する前に、物事をつつしみ心身を清らかにする。)「絜白ケッパク」(心が清くけがれがないこと。)(2)麻苧(あさお)で、つなぐ(絜ぐ)・むすぶ(絜ぶ)。「子孫は累世ルイセイ駕ガを絜(つな)ぐ」(子孫は何世代も馬車に乗ることを絜(つな)ぐ)[韓非子・五蠹ト篇])
潔 ケツ・いさぎよい 氵部 jié
解字 「氵(水)+絜(身をきよめる)」の会意形声。絜ケツは、身をきよめること。これに氵(水)のついた潔は、水を身体にかけて身を清めること。また、身をきよめて物事をおこなうので、いさぎよい意となる。
意味 (1)きよい。けがれがない。きれい。「潔白ケッパク」「潔斎ケッサイ」(水を身体にかけて心身を清めること)「清潔セイケツ」「潔癖ケッペキ」(極度に不潔をきらうこと)(2)いさぎよい(潔い)。思いきりよく立派。
<人が木片などに刻み目を入れて割符をつくる>
契 ケイ・ケツ・セツ・キツ・ちぎる・きざむ 大部 qì・qiè・xiè
解字 「大(人の正面形)+㓞(きざむ)」の会意形声。人が木片などに刻み目を入れてタテの線で分け、割符をつくること。割符を持った二人はのちに刻み目が合うことを確認し約束の印とする。きざむ意と、割符を作って約束する意とある。
意味 (1)ちぎる(契る)。約束する。「契約ケイヤク」「契機ケイキ」(ちぎりをきっかけに)(2)割り符。割り印。「契印ケイイン」「契符ケイフ」「契合ケイゴウ」(ぴったり一致する)(3)きざむ(契む)。しるしをつける。ほる。
イメージ
刻み目をつけたものを半分に分けて「ちぎる」(契)
「きざむ」(喫・楔)
「形声字」(禊)
音の変化 キツ:喫 ケイ:契・禊 ケツ:楔
きざむ
喫 キツ 口部 chī
解字 「口(くち)+契(きざむ)」の会意形声。食べ物を口の中できざむ(かむ)こと。本来は食べる意であるが、「のむ」「すう」意でも使われる。
意味 (1)食べる。かむ。「喫飯キッパン」(飯を食べる)「満喫マンキツ」(十分に飲み食いする。十分に満足する)(2)のむ。「喫茶キッサ」(3)すう。「喫煙キツエン」(4)こうむる。身にうける。きっする(喫する)。「喫驚キッキョウ」(びっくりする=吃驚)「喫水線キッスイセン」(船の水中と水上の境)
楔 セツ・ケツ・くさび 木部 xiē
解字 「木(き)+契(きざむ)」の会意形声。きざみ目(割れ目)を作り、そこに先を尖らせた木を打ちこむこと。打ち込んで割ったり、両方にまたがらせて打ち込み、つなぎ合わせたりする。
木材を芯まで乾燥させるため楔をうちこむ(「森本工務店のHP」より)
意味 (1)くさび(楔)。うつ。先がV字形になった堅い木片や金属片。隙間に差し込んで物を割ったり、押し上げたりする。「楔形文字くさびがたモジ」(古代メソポタミアを中心に用いられた粘土に先の尖った用具で刻まれた楔状の文字)「木楔きくさび」(木のくさび)「楔撃ケツゲキ」(うちこむ)(2)物と物をつなぎ合わせるもの。「楔留(くさびど)め」(楔を打って継ぎ目を留めること)
楔形文字
楔差しホゾ接ぎ(「半布里工房のHP」より)
形声字
禊 ケイ・みそぎ・はらう 示部 xì
解字 「示(祭壇:神)+契(ケイ)」の形声。伝承古文字に「示(神)+絜ケイ(きよめる)」の[示絜](これで一字。発音はケイ)があり、水辺で身をきよめ災難をはらう祭祀をいう。古代中国で三月上巳(初めての巳の日)に川辺で行われた不祥を除去する祭祀を言った。六朝期になると永和9年(353)3月3日、会稽郡(今の浙江省紹興市)で人工河川の曲水を配した蘭亭に紳士があつまり、王羲之オウギシ(政治家・書家)が催した修禊シュウケイ(禊みそぎを修める)の雅(みなび)な会として復活した。酒をいれた盃を曲水に流し、詩をつくりながら酒を飲むという風雅な催しで日本の雛祭りの源流になったとも云われる。「蘭亭序」は、ここで詠まれた詩集の序文として自ら書写した草稿。
意味 みそぎ(禊)。はらう(禊う)。水で身体を洗いきよめる。また、そのまつり。「祓禊フッケイ」(はらうこと。祓も禊も、はらう意)「禊事ケイジ」(みそぎの祭り)「禊宴ケイエン」(禊事のあとの酒宴)「修禊シュウケイ」(禊みそぎを修める)
<紫色は常用漢字>
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