多くの辞書は幾を「幺幺+戍ジュ・まもる」で解字しているが、それでは本当の意味がでてこない。金文には人の代わりに大を用いた字もあることから、この字は「幺幺+人+戈」で解字しなければならない。
幾 キ・いく 幺部いとがしら jī・jǐ


上は幾キ、下は幺ヨウ
解字 金文第1字は「幺幺(ほそい・わずか)+大(ひと)+戈(ほこ)」の会意。第2字から、大⇒人に変わった幾となった。幺ヨウは、糸たばの先の形で糸たばの糸がほそい意。幺が二つで「わずか」の意味となる。幾は、武器である戈(ほこ)をわずかな距離まで人に近付けることを示し、「ほとんど」「ちかい」「もうすこしで」「あやうい」「きざし・かすか」などの意味を表す。また、仮借カシャ(当て字)で、いくつ・いくらの意ともなる。幾の筆順はこちら。
意味 (1)ほとんど(幾ど)。ちかい。「幾望キボウ」(ほとんど望月もちづき、すなわち満月に近いこと。満月の1日前)(2)きざし(幾し)。けはい。かすか。「幾微キビ」(かすかで微妙な=機微)(3)[仮借]いく(幾)。いくつ(幾つ)。いくら(幾ら)。「幾許いくばく」(どれほど)。「幾年いくとせ・いくねん」(どれほどの年数)「幾歳いくとせ」「幾重いくえ」(多く重なる。何度も)(4)「幾何学キカガク」とは、数学の一部門で geometry の訳語。図形や空間の性質を研究する学問。
イメージ
「きざし・けはい」(幾)
戈を近づける意から「近い・せまる」(畿・磯・譏)
「形声字」(機・饑)
音の変化 キ:幾・畿・磯・譏・機・饑
近い・せまる
畿 キ・みやこ 田部 jī
解字 「田(耕地)+幾の略体(ちかい)」の会意形声。天子のすぐ近くの直轄地。
意味(1)みやこ(畿)。首都。「京畿ケイキ」(皇居周辺の地。京(みやこ)周辺の国々)(2)王城から五百里(周代の一里は約405m)以内(=約202km以内)の地をいう。「近畿キンキ」「畿内キナイ」
磯 キ・いそ 石部 jī
解字 「石(いし)+幾(ちかい)」の会意形声。石や岩が水辺に近いこと。
意味 いそ(磯)。石や岩の多い波打ちぎわ。「磯辺いそべ」「磯魚いさな・いそうお」「荒磯あらいそ・ありそ」(荒波の打ち寄せる磯)
譏 キ・そしる 言部 jī
解字 「言(いう)+幾(せまる)」の会意形声。相手に迫って言うこと。とがめる・そしる意となる。
意味 とがめる。そしる(譏る)。せめる。「誹譏ヒキ」(とがめる。誹も譏も、とがめる意)「譏弾キダン」(そしりあばく)
形声字
機 キ・はた 木部 jī
解字 「木(き)+幾(キ)」の形声。細かい仕掛けの木の装置を機キという。また、幾の意味である、きざしの意味でも用いる。後漢の[説文解字]は、「発動をになう仕掛けを機キという。木に従い幾キの聲(声)」とする。
機織り(「武蔵屋HP」より)
意味 (1)はた(機)。布を織る機械。「機織(はたお)り」(2)からくり・しかけ。「機械キカイ」(①しかけのある器具。からくり。②人力以外の動力による装置)「機関キカン」(①機械装置、②組織)「機関紙キカンシ」(政党や団体が発行する新聞や雑誌)(3)きざし。きっかけ。「機会キカイ」「好機コウキ」(4)心のはたらき。「機転キテン」「心機シンキ」(心のはたらき)「心機一転シンキイッテン」(心の動きががらりと変わること)「機微キビ=幾微」(表面から知りにくい心の動き。また微妙な事情)「人情の機微に触れる」
饑 キ・うえる 食部 jī
解字 「食(たべる)+幾(キ)」の形声。穀物が実らす食べ物がわずかなことを饑キといい、うえる意となる。[説文解字]は「穀コク不孰フジュクを饑キと為す。食に従い幾キの聲(声)」とする。
意味 (1)穀物が実らない。食物が不足する。「饑饉キキン」(=飢饉)(2)うえる(饑える)。「饑渇キカツ」(うえとかわき)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
幾 キ・いく 幺部いとがしら jī・jǐ


上は幾キ、下は幺ヨウ
解字 金文第1字は「幺幺(ほそい・わずか)+大(ひと)+戈(ほこ)」の会意。第2字から、大⇒人に変わった幾となった。幺ヨウは、糸たばの先の形で糸たばの糸がほそい意。幺が二つで「わずか」の意味となる。幾は、武器である戈(ほこ)をわずかな距離まで人に近付けることを示し、「ほとんど」「ちかい」「もうすこしで」「あやうい」「きざし・かすか」などの意味を表す。また、仮借カシャ(当て字)で、いくつ・いくらの意ともなる。幾の筆順はこちら。
意味 (1)ほとんど(幾ど)。ちかい。「幾望キボウ」(ほとんど望月もちづき、すなわち満月に近いこと。満月の1日前)(2)きざし(幾し)。けはい。かすか。「幾微キビ」(かすかで微妙な=機微)(3)[仮借]いく(幾)。いくつ(幾つ)。いくら(幾ら)。「幾許いくばく」(どれほど)。「幾年いくとせ・いくねん」(どれほどの年数)「幾歳いくとせ」「幾重いくえ」(多く重なる。何度も)(4)「幾何学キカガク」とは、数学の一部門で geometry の訳語。図形や空間の性質を研究する学問。
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「きざし・けはい」(幾)
戈を近づける意から「近い・せまる」(畿・磯・譏)
「形声字」(機・饑)
音の変化 キ:幾・畿・磯・譏・機・饑
近い・せまる
畿 キ・みやこ 田部 jī
解字 「田(耕地)+幾の略体(ちかい)」の会意形声。天子のすぐ近くの直轄地。
意味(1)みやこ(畿)。首都。「京畿ケイキ」(皇居周辺の地。京(みやこ)周辺の国々)(2)王城から五百里(周代の一里は約405m)以内(=約202km以内)の地をいう。「近畿キンキ」「畿内キナイ」
磯 キ・いそ 石部 jī
解字 「石(いし)+幾(ちかい)」の会意形声。石や岩が水辺に近いこと。
意味 いそ(磯)。石や岩の多い波打ちぎわ。「磯辺いそべ」「磯魚いさな・いそうお」「荒磯あらいそ・ありそ」(荒波の打ち寄せる磯)
譏 キ・そしる 言部 jī
解字 「言(いう)+幾(せまる)」の会意形声。相手に迫って言うこと。とがめる・そしる意となる。
意味 とがめる。そしる(譏る)。せめる。「誹譏ヒキ」(とがめる。誹も譏も、とがめる意)「譏弾キダン」(そしりあばく)
形声字
機 キ・はた 木部 jī
解字 「木(き)+幾(キ)」の形声。細かい仕掛けの木の装置を機キという。また、幾の意味である、きざしの意味でも用いる。後漢の[説文解字]は、「発動をになう仕掛けを機キという。木に従い幾キの聲(声)」とする。

意味 (1)はた(機)。布を織る機械。「機織(はたお)り」(2)からくり・しかけ。「機械キカイ」(①しかけのある器具。からくり。②人力以外の動力による装置)「機関キカン」(①機械装置、②組織)「機関紙キカンシ」(政党や団体が発行する新聞や雑誌)(3)きざし。きっかけ。「機会キカイ」「好機コウキ」(4)心のはたらき。「機転キテン」「心機シンキ」(心のはたらき)「心機一転シンキイッテン」(心の動きががらりと変わること)「機微キビ=幾微」(表面から知りにくい心の動き。また微妙な事情)「人情の機微に触れる」
饑 キ・うえる 食部 jī
解字 「食(たべる)+幾(キ)」の形声。穀物が実らす食べ物がわずかなことを饑キといい、うえる意となる。[説文解字]は「穀コク不孰フジュクを饑キと為す。食に従い幾キの聲(声)」とする。
意味 (1)穀物が実らない。食物が不足する。「饑饉キキン」(=飢饉)(2)うえる(饑える)。「饑渇キカツ」(うえとかわき)
<紫色は常用漢字>
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