旆ハイ・はた、を追加しました。
市 シ・いち 巾部
解字 甲骨文第1字は「止シ(足の形)+丅(神への供物をのせる机=示)」の形。第2字は止の変形に小点(水滴または血)」で、意味は時間に関する語だという[甲骨文字字典]。金文は止の左右に小点が移動し、下に丅⇒丁となってつき、市場の意味で使われている。篆文から形が変わり、第1字は止の上部が屮となり、止の下部と左右の小点がHになり、下に丁の変形がつく。第2字は「屮の下部がのびてHをつらぬいた形。この字形を掲載している[説文解字]は「売り買い(の者が)が之(ゆ)く所也。市に垣(かき)有り」と書いており市場の様子がわかる。隷書で「十の下がのびて冂をつらぬく形になり、現代字で「亠+巾」の市になった。 字源がはっきりと分からない字であるが、発音は止シに由来し、意味は甲骨文字で時間に関する語であることから、市場の意味になったと思われる。
意味 (1)いち(市)。人が集まって物の売り買いをする所。「市場シジョウ・いちば」「朝市あさいち」 (2)商いをする。売り買いをする。「市利シリ」(商売のもうけ)「市況シキョウ」(商品・株などの取引き状況) (3)まち。人家が多くて賑やかなところ。「市街シガイ」「市井シセイ」 (4)し(市)。行政上の自治団体。
イメージ
「市場・人があつまる」(市・鬧)
「形声字」(姉・柿)
「同体異字」(肺・柿・旆)
音の変化 シ:市・姉・柿 ドウ:鬧 ハイ:肺・柿・旆
※ 鬧ドウの音符は「鬥トウ」
人があつまる
鬧 ドウ・トウ・さわがしい 鬥部
解字 「鬥トウ(あらそう)+市(多くの人があつまる)」の会意形声。鬥トウは二人の人が手でつかみあいをしている形。それに市がついた鬧は、多くの人が集まってあらそうように騒がしいこと。音符は鬥トウだが、ここに重出した。
意味 (1)さわがしい。さわぐ。にぎやか。さかん。「鬧市ドウシ」(さわがしい市場。繁華街)「鬧熱ドウネツ」(こみあってさわがしい)「鬧歌ドウカ」(やかましく歌う) (2)争い。いかり。
形声字
姉 シ・あね 女部
解字 「女(おんな)+市(シ)」の形声。シという発音の女。[説文解字]は、「女の兄なり」とし、同じ親から生まれた年上の女をいう。シについては、同音の姒シ・ジ(あね)、始シ(はじめ。女の兄弟のはじめ)から説明する説があるが、上古音が異なるらしい。しかし、類似音として理解したら、覚えるには差し支えないと思う。この字は姊シが元の字だそうだが、姉の異体字である。
意味 (1)あね(姉)。同じ親から生まれた年上の女。「姉妹シマイ」「姉婿あねむこ」 (2)義理の姉。「義姉ギシ」 (3)婦人を親しみ、また尊敬してよぶ言葉。
柿 シ・かき 木部
解字 「木(き)+市(シ)」の形声。シという名の木。[説文解字]は「赤い実の果なり」とし、かき(柿)をいう。この字は柹シが元の字だそうだが、この字も柿の異体字である。
意味 かき(柿)。かきの木。「干柿ほしがき」「渋柿しぶがき」「熟柿ジュクシ」
同体異字
肺 ハイ 月部にく
解字 篆文は、「月(からだ)+市ハイ(分かれる)」の会意形声。市ハイは「屮(草の芽)+八(ひらく)」で双葉が分かれ出るさま。それに月(からだ)がついた肺は、咽から入った気管が二つに分かれる肺を意味する。現代字の肺の字では、市に変化しているが、市場の「市」とは別字である。
意味 (1)はい(肺)。呼吸を司る器官。「肺臓ハイゾウ」「肺活量ハイカツリョウ」 (2)こころ。心のなか。「肺腑ハイフ」(①肺臓。②心のなか。③大切な所)
柿 ハイ・こけら 木部
「日本古来在来工法の柿葺(こけらふき)とは?」(第2回より)
解字 「木(き)+市ハイ(分かれる)」の会意形声。木材を細かく分けた板。また、木の削りくず。柿(かき)の字と同じ形だが別字。
意味 (1)[国]こけら(柿)。こっぱ。木材を細長く削りとった板。「柿板こけらいた」(屋根を葺くヒノキ・マキなどの薄い板)「柿葺(こけらぶ)き」(柿板で葺いた屋根)「柿落(こけらおと)し」(新築劇場の初興行) (2)木の削りくず。木簡の削りくず。
旆 ハイ・はた 方部
①②
①は下が凸凹の旗。②縁が△△の旗。(中国ネットの検索サイトより)
解字 「方𠂉(はた。旗)+市ハイ(分かれる)」の会意形声。旗の布地の縁(ふち)が凸凹や△△の形に分かれているもの。
意味 (1)はた(旆)。はたあし。旗の布地に凸凹や△△の形が付いているもの。「大旆タイハイ」(天子や将軍のしるしとする大きな旗)「牙旆ガハイ」(竿の上に牙がついた旗)「酒旆シュハイ」(酒屋の目印旗) (2)旗の総称。「旆旌ハイセイ」(はた。旆も旌も旗の総称)「旆旆ハイハイ」(旗が風になびくさま)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
市 シ・いち 巾部
解字 甲骨文第1字は「止シ(足の形)+丅(神への供物をのせる机=示)」の形。第2字は止の変形に小点(水滴または血)」で、意味は時間に関する語だという[甲骨文字字典]。金文は止の左右に小点が移動し、下に丅⇒丁となってつき、市場の意味で使われている。篆文から形が変わり、第1字は止の上部が屮となり、止の下部と左右の小点がHになり、下に丁の変形がつく。第2字は「屮の下部がのびてHをつらぬいた形。この字形を掲載している[説文解字]は「売り買い(の者が)が之(ゆ)く所也。市に垣(かき)有り」と書いており市場の様子がわかる。隷書で「十の下がのびて冂をつらぬく形になり、現代字で「亠+巾」の市になった。 字源がはっきりと分からない字であるが、発音は止シに由来し、意味は甲骨文字で時間に関する語であることから、市場の意味になったと思われる。
意味 (1)いち(市)。人が集まって物の売り買いをする所。「市場シジョウ・いちば」「朝市あさいち」 (2)商いをする。売り買いをする。「市利シリ」(商売のもうけ)「市況シキョウ」(商品・株などの取引き状況) (3)まち。人家が多くて賑やかなところ。「市街シガイ」「市井シセイ」 (4)し(市)。行政上の自治団体。
イメージ
「市場・人があつまる」(市・鬧)
「形声字」(姉・柿)
「同体異字」(肺・柿・旆)
音の変化 シ:市・姉・柿 ドウ:鬧 ハイ:肺・柿・旆
※ 鬧ドウの音符は「鬥トウ」
人があつまる
鬧 ドウ・トウ・さわがしい 鬥部
解字 「鬥トウ(あらそう)+市(多くの人があつまる)」の会意形声。鬥トウは二人の人が手でつかみあいをしている形。それに市がついた鬧は、多くの人が集まってあらそうように騒がしいこと。音符は鬥トウだが、ここに重出した。
意味 (1)さわがしい。さわぐ。にぎやか。さかん。「鬧市ドウシ」(さわがしい市場。繁華街)「鬧熱ドウネツ」(こみあってさわがしい)「鬧歌ドウカ」(やかましく歌う) (2)争い。いかり。
形声字
姉 シ・あね 女部
解字 「女(おんな)+市(シ)」の形声。シという発音の女。[説文解字]は、「女の兄なり」とし、同じ親から生まれた年上の女をいう。シについては、同音の姒シ・ジ(あね)、始シ(はじめ。女の兄弟のはじめ)から説明する説があるが、上古音が異なるらしい。しかし、類似音として理解したら、覚えるには差し支えないと思う。この字は姊シが元の字だそうだが、姉の異体字である。
意味 (1)あね(姉)。同じ親から生まれた年上の女。「姉妹シマイ」「姉婿あねむこ」 (2)義理の姉。「義姉ギシ」 (3)婦人を親しみ、また尊敬してよぶ言葉。
柿 シ・かき 木部
解字 「木(き)+市(シ)」の形声。シという名の木。[説文解字]は「赤い実の果なり」とし、かき(柿)をいう。この字は柹シが元の字だそうだが、この字も柿の異体字である。
意味 かき(柿)。かきの木。「干柿ほしがき」「渋柿しぶがき」「熟柿ジュクシ」
同体異字
肺 ハイ 月部にく
解字 篆文は、「月(からだ)+市ハイ(分かれる)」の会意形声。市ハイは「屮(草の芽)+八(ひらく)」で双葉が分かれ出るさま。それに月(からだ)がついた肺は、咽から入った気管が二つに分かれる肺を意味する。現代字の肺の字では、市に変化しているが、市場の「市」とは別字である。
意味 (1)はい(肺)。呼吸を司る器官。「肺臓ハイゾウ」「肺活量ハイカツリョウ」 (2)こころ。心のなか。「肺腑ハイフ」(①肺臓。②心のなか。③大切な所)
柿 ハイ・こけら 木部
「日本古来在来工法の柿葺(こけらふき)とは?」(第2回より)
解字 「木(き)+市ハイ(分かれる)」の会意形声。木材を細かく分けた板。また、木の削りくず。柿(かき)の字と同じ形だが別字。
意味 (1)[国]こけら(柿)。こっぱ。木材を細長く削りとった板。「柿板こけらいた」(屋根を葺くヒノキ・マキなどの薄い板)「柿葺(こけらぶ)き」(柿板で葺いた屋根)「柿落(こけらおと)し」(新築劇場の初興行) (2)木の削りくず。木簡の削りくず。
旆 ハイ・はた 方部
①②
①は下が凸凹の旗。②縁が△△の旗。(中国ネットの検索サイトより)
解字 「方𠂉(はた。旗)+市ハイ(分かれる)」の会意形声。旗の布地の縁(ふち)が凸凹や△△の形に分かれているもの。
意味 (1)はた(旆)。はたあし。旗の布地に凸凹や△△の形が付いているもの。「大旆タイハイ」(天子や将軍のしるしとする大きな旗)「牙旆ガハイ」(竿の上に牙がついた旗)「酒旆シュハイ」(酒屋の目印旗) (2)旗の総称。「旆旌ハイセイ」(はた。旆も旌も旗の総称)「旆旆ハイハイ」(旗が風になびくさま)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
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