「未ミ」と「末マツ」は、木の上が短い横線か長い横線のちがいである。しかし、成り立ちはまったくちがう。未は木の先端の枝がのびる様子を表した象形文字なのである。一方、末は木の上部に一印をつけ、木の最も遠い部分をしめす指事文字で、物の末端、行く末、重要でない部分などの意味になる。
未 ミ <木のこずえの枝葉>
未 ミ・ビ・いまだ・ひつじ 木部
解字 甲骨文から篆文まで、木のこずえの枝葉が上にのびてゆく形の象形で、わかい・まだのびきらない意から、「いまだ・まだ」の意味をしめす。また、「いまだ~せず」の否定の意にもなる。また、これらの意味と関係なく、十二支の八番目(ひつじ)に仮借カシャ(当て字)された。現代字は上の枝葉が短い一で表されている。
意味 (1)いまだ(未だ)。まだ。いまだ~せず。いまだし。「未開ミカイ」「未熟ミジュク」「未詳ミショウ」「未来ミライ」(まだ来ていないとき(時)。過去・現在とともに時の流れを区分した言い方) (2)ひつじ(未)。十二支の第八位。「未申ひつじさる」(十二支で表した方角で、南西をいう)
イメージ
「いまだ~せず」(未・昧・妹)
こずえの枝は下から見上げると「かすか・はっきりしない」(味・魅)
音の変化 ミ:未・味・魅 マイ:昧・妹
いまだ~せず
昧 マイ・くらい 日部
解字 「日(ひ)+未(いまだ~せず)」の会意形声。日がまだ昇ってこない。即ち暗い意となる。
意味 (1)くらい(昧い)。夜明けのうす暗いとき。「昧旦マイタン」(夜明け) (2)はっきりしない。「曖昧アイマイ」 (3)おろか。「愚昧グマイ」「蒙昧モウマイ」(物事の道理にくらい)
妹 マイ・いもうと 女部
解字 「女(おんな)+未(いまだ~せず)」 の会意形声。姉とくらべまだ成育していない女。
意味 (1)いもうと(妹)。年下の女きょうだい。「姉妹シマイ」 (2)年少の女性や妻を呼ぶ言葉。いも(妹)。「妹背いもせ」(愛し合う男と女。夫婦)
かすか・はっきりしない
味 ミ・あじ・あじわう 口部
解字 「口(くち)+未(かすかな)」 の会意形声。食べたとき口の中で感じるかすかで微妙な味わい。
意味 (1)あじ(味)。あじわう(味わう)。「味覚ミカク」「五味ゴミ」「珍味チンミ」 (2)物事のおもむき・あじわい。「趣味シュミ」「玩味ガンミ」(十分にあじわう)
魅 ミ 鬼部
解字 「鬼(おに)+未(はっきりしない)」の会意形声。何とも得体のしれない妖怪。
意味 (1)もののけ。すだま。ばけもの。「魑魅チミ」(山の怪物。すだま)「魑魅魍魎チミモウリョウ」(山の怪物や川の怪物。さまざまのばけもの) (2)みいる(魅入る)。人の心を惹きつけて迷わす。「魅惑ミワク」「魅了ミリョウ」「魅力ミリョク」
末 マツ <木の最も遠い部分>
末 マツ・バツ・すえ 木部
解字 木の上部に肥点(金文)や、一印(篆文)を加えて、木の最も遠い部分を示した指事文字。「本」が木の下部に一を加えたのに対応した文字[字統]。物の末端、行くすえ、終り、重要でないこと等の意となる。
意味 (1)すえ(末)。物のさき。「末端マッタン」「末子バッシ・マッシ」 (2)行く先。将来。「行く末(すえ)」 (3)子孫。「末代マツダイ」 (4)終り。はて。「年末ネンマツ」「週末シュウマツ」 (5)しも。ひくい。「末席マッセキ」「末座マツザ」 (6)こまかい。こな。「粉末フンマツ」
イメージ
「木の末端」(末)
意味の(6)の「こまかい・こな」(抹)
音の変化 マツ:末・抹
こまかい・こな
抹 マツ 扌部
解字 「扌(手)+末(こまかい・こな)」の会意形声。手でこすって粉にする。また、粉をこすりつけること。
意味 (1)する。こする。粉にする。なする。「抹茶マッチャ」(臼で挽いて粉末にした茶)「抹香マッコウ」(粉末の香)「一抹イチマツ」(ひとなすり) (2)ぬりつぶす。消す。「抹消マッショウ」(ぬりけす)「抹殺マッサツ」(こすり消してなくす)
<紫色は常用漢字>
参考
音符「未ミ」へ
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未 ミ <木のこずえの枝葉>
未 ミ・ビ・いまだ・ひつじ 木部
解字 甲骨文から篆文まで、木のこずえの枝葉が上にのびてゆく形の象形で、わかい・まだのびきらない意から、「いまだ・まだ」の意味をしめす。また、「いまだ~せず」の否定の意にもなる。また、これらの意味と関係なく、十二支の八番目(ひつじ)に仮借カシャ(当て字)された。現代字は上の枝葉が短い一で表されている。
意味 (1)いまだ(未だ)。まだ。いまだ~せず。いまだし。「未開ミカイ」「未熟ミジュク」「未詳ミショウ」「未来ミライ」(まだ来ていないとき(時)。過去・現在とともに時の流れを区分した言い方) (2)ひつじ(未)。十二支の第八位。「未申ひつじさる」(十二支で表した方角で、南西をいう)
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「いまだ~せず」(未・昧・妹)
こずえの枝は下から見上げると「かすか・はっきりしない」(味・魅)
音の変化 ミ:未・味・魅 マイ:昧・妹
いまだ~せず
昧 マイ・くらい 日部
解字 「日(ひ)+未(いまだ~せず)」の会意形声。日がまだ昇ってこない。即ち暗い意となる。
意味 (1)くらい(昧い)。夜明けのうす暗いとき。「昧旦マイタン」(夜明け) (2)はっきりしない。「曖昧アイマイ」 (3)おろか。「愚昧グマイ」「蒙昧モウマイ」(物事の道理にくらい)
妹 マイ・いもうと 女部
解字 「女(おんな)+未(いまだ~せず)」 の会意形声。姉とくらべまだ成育していない女。
意味 (1)いもうと(妹)。年下の女きょうだい。「姉妹シマイ」 (2)年少の女性や妻を呼ぶ言葉。いも(妹)。「妹背いもせ」(愛し合う男と女。夫婦)
かすか・はっきりしない
味 ミ・あじ・あじわう 口部
解字 「口(くち)+未(かすかな)」 の会意形声。食べたとき口の中で感じるかすかで微妙な味わい。
意味 (1)あじ(味)。あじわう(味わう)。「味覚ミカク」「五味ゴミ」「珍味チンミ」 (2)物事のおもむき・あじわい。「趣味シュミ」「玩味ガンミ」(十分にあじわう)
魅 ミ 鬼部
解字 「鬼(おに)+未(はっきりしない)」の会意形声。何とも得体のしれない妖怪。
意味 (1)もののけ。すだま。ばけもの。「魑魅チミ」(山の怪物。すだま)「魑魅魍魎チミモウリョウ」(山の怪物や川の怪物。さまざまのばけもの) (2)みいる(魅入る)。人の心を惹きつけて迷わす。「魅惑ミワク」「魅了ミリョウ」「魅力ミリョク」
末 マツ <木の最も遠い部分>
末 マツ・バツ・すえ 木部
解字 木の上部に肥点(金文)や、一印(篆文)を加えて、木の最も遠い部分を示した指事文字。「本」が木の下部に一を加えたのに対応した文字[字統]。物の末端、行くすえ、終り、重要でないこと等の意となる。
意味 (1)すえ(末)。物のさき。「末端マッタン」「末子バッシ・マッシ」 (2)行く先。将来。「行く末(すえ)」 (3)子孫。「末代マツダイ」 (4)終り。はて。「年末ネンマツ」「週末シュウマツ」 (5)しも。ひくい。「末席マッセキ」「末座マツザ」 (6)こまかい。こな。「粉末フンマツ」
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「木の末端」(末)
意味の(6)の「こまかい・こな」(抹)
音の変化 マツ:末・抹
こまかい・こな
抹 マツ 扌部
解字 「扌(手)+末(こまかい・こな)」の会意形声。手でこすって粉にする。また、粉をこすりつけること。
意味 (1)する。こする。粉にする。なする。「抹茶マッチャ」(臼で挽いて粉末にした茶)「抹香マッコウ」(粉末の香)「一抹イチマツ」(ひとなすり) (2)ぬりつぶす。消す。「抹消マッショウ」(ぬりけす)「抹殺マッサツ」(こすり消してなくす)
<紫色は常用漢字>
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