漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「雪セツ」 <ゆき> と 「鱈たら」

2014年11月06日 | 漢字の音符
 セツ・ゆき  雨部

解字 甲骨文は、「雨(あめ)+羽(はね)」で、天から雨のように羽が降ってくる形で、雪を表す。篆文は雨に羽の変形字を付け、それを手で受ける形。空から降ってくる雪を羽に例え、さらに、それを手のひらで受けるというロマンチックな字形である。現代字は羽がとれ、「雨+ヨ(手)」の会意になった。
意味 (1)ゆき(雪)。ゆきがふる。「降雪コウセツ」「蛍雪ケイセツ」(蛍の光と雪明かりで書を読む。辛苦して学問をする) (2)雪のように白い。 (3)(雪がふると一面真っ白になり、汚れを洗いおとしたようになることから)すすぐ(雪ぐ)。そそぐ(雪ぐ)。ぬぐう。「雪辱セツジョク」(恥をすすぐ。前に負けた相手に勝つこと)「雪冤セツエン」(無実の罪をはらす)

イメージ 
 「ゆき」
(雪・鱈・艝・轌)
音の変化  セツ:雪  そり:艝・轌  たら:鱈

ゆき
<国字> セツ・たら  魚部
解字 「魚(さかな)+雪(ゆき)」の会意形声。初雪のあと多く獲れる魚の意。国字であるが、中国でも用いる。
意味 たら。タラ科の海魚。冷たい海に分布する海水魚。「鱈子たらこ」(タラの卵巣)「鱈場蟹たらばがに」(タラの獲れる漁場にいるカニの意)
<国字> そり  舟部
解字 「舟(ふね)+雪の旧字(ゆき)」の会意。雪の上をはしる舟のような形のソリ。
意味 そり(艝)。雪や氷の上をすべらせて人や荷物をはこぶ乗り物。橇キョウ・轌とも書く。
<国字> そり  車部
解字 「車(くるま)+雪の旧字(ゆき)」の会意。車のように人や荷物をのせて雪の上をはしるソリ。
意味 そり(轌)。雪や氷の上をすべらせて人や荷物をはこぶ乗り物。橇キョウ・艝とも書く。
<紫色は常用漢字>

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音符「率ソツ・リツ」<糸たばをしぼる形> と 「蟀シュツ」

2014年11月02日 | 漢字の音符
 ソツ・リツ・シュツ・ひきいる  玄部

解字 甲骨文・金文は、糸たばから水滴がとび散っており糸たばをしぼる形の象形。篆文は糸たばの上と下に小さな横木を通し、これをねじって水をしぼる形で、左右にしたたる水滴の点をそえている[字統]。糸たばをねじって引き締める形から、大勢の人をまとめて引き締める、即ち、ひきいる意となる。また、水をしぼるので水分が、「ほとんど・おおむね」出る意から、その出た「割合」の意となる。日本では、「ありのまま・自然の」の意でも用いる。
意味 (1)ひきいる(率いる)。引きつれる。みちびく。「率先ソッセン」「引率インソツ」「軽率ケイソツ」(軽く率いる。かるはずみなさま) (2)おおむね。だいたい。すべて。 (3)割合。程度。「確率カクリツ」「勝率ショウリツ」 (4)[国]ありのまま。自然の。「率直ソッチョク

イメージ 
 「ひきいる」
 (率)
 「シュツの音」 (蟀)
音の変化  ソツ・リツ:率  シュツ:蟀

シュツの音
 シュツ・ソツ  虫部
解字 「虫(むし)+率(シュツ)」の形声。シュツと鳴く虫。
意味 (1)「蟋蟀シッシュツ」に使われる字。蟋蟀シッシュツとは、羽をシュッシュッと擦らせる音の擬声語で、コオロギ科の昆虫の総称。こおろぎ(蟋蟀)。古名は、きりぎりす(蟋蟀)。(2)「蟀谷こめかみ」とは、目尻横の、歯を噛み合わせたとき動く部分をいう。米を噛むとき動く所(米噛み)の意。中国では率骨 shuài gǔ・ソッコツ、または同音の率谷 shuài gǔ・ソッコクと書き、漢方のツボの一つである両耳の真上指二本分の所をいう。日本では、蟀谷ソッコクと書いて、こめかみに当てる。(中国語は「太阳(陽)穴」または「顳顬」とも書く)。率骨はあごの骨を率いる所の意から、率谷と同音の蟀谷 shuài gǔ・ソッコクを日本で「こめかみ」に当てたものと思われる。(こめかみと、漢方のツボの率谷とは、場所が少し異なる)
<紫色は常用漢字>

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