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アイヌ神話、光や音で 阿寒湖畔、体験型観光 7月から夜の遊歩道舞台に

2019-05-21 | アイヌ民族関連
北海道新聞 05/21 05:00
「阿寒湖の森ナイトウォーク『カムイルミナ』」のイメージ画像(阿寒アドベンチャーツーリズム提供)
 【阿寒湖温泉】釧路市阿寒町の阿寒湖畔で体験型観光事業を行う阿寒アドベンチャーツーリズム(釧路、大西雅之社長)は20日、7月から阿寒湖畔で始める体験型デジタルアート事業の概要を発表した。夜の森を光や映像で演出し、アイヌ民族に伝わる神話を描く。
 名称は「阿寒湖の森ナイトウォーク『カムイルミナ』」。7月5日から始まり、11月10日までの毎日、日没30分後から午後10時半まで行う。参加者は阿寒観光汽船の遊覧船乗り場前をスタートし、ゴールの阿寒湖畔エコミュージアムセンター前まで約1・2キロの遊歩道を歩く。
 デジタルアートはフクロウが登場するアイヌ神謡「コンクワ」を題材とした内容で、参加者が持つ特製のつえから音楽が流れるほか、途中の森林などに光や映像が映し出される。所要時間は50~60分。総事業費は約4億5千万円。実施地区は阿寒摩周国立公園内のため、木に保護材を巻いた上で機材を設置し、定期的に負荷を調査するなどして自然環境に配慮する。
 チケットは公式サイト(http://www.kamuylumina.jp/)で6月1日から販売する。前売り大人2700円など。問い合わせは同社(電)0154・67・3200へ。(光嶋るい)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/307060

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麗しの島から 台湾がアジア初の同性婚を実現した理由

2019-05-21 | 先住民族関連
毎日新聞 2019年5月21日 07時30分(最終更新 5月21日 07時30分)

 台湾の立法院(国会)で17日、同性カップルに結婚を認める特別法が賛成多数で可決、成立した。1980年代から当事者らが粘り強く運動を続けてきたことが、アジア初の同性婚を実現させる原動力となった。すでに多くの同性カップルが24日から始まる婚姻届の受け付けに向けて準備を進め、お祝いムードが広がっている。ただ、17日に成立した法律では、国際結婚などで異性婚との間に差別が残った。アジアでは同性婚に寛容な社会に数えられる台湾だが、保守層などからの反発も依然として根強いのが現実だ。
日本の議論を後押しするか?
 台湾各地の行政機関では、24日に同性婚の届け出をするカップルを対象に予約受け付けが始まっている。台湾メディアによると、台北市だけで15日までに少なくとも146カップルが予約を済ませた。25日には総統府前で多くの同性カップルが参加する合同披露宴も計画されている。
 台北市にある同性カップル向け写真館「尚典」には、2月に蔡英文政権が同性婚法案を立法院に提出したころから、結婚写真を撮影するカップルが増え始めた。記者が3月中旬に訪れると、台湾先住民の伝統衣装に身を包んだサキザヤ族のカイヨーさん(32)とアミ族のイゾーさん(20)が抱き合い、熱いキスを交わしていた。カイヨーさんは「同性婚ができない中国や日本でなく台湾に生まれて本当によかった。イゾーの誕生日に婚姻届を出したい」と笑顔で語った。
 NPO法人「EMA日本」(東京都)によると、これで台湾を含め26カ国・地域が同性婚を認めることになる。ただ世界全体で見れば同性婚容認はまだ少数派だ。イスラム圏を中心に同性愛行為を違法とする国・地域も残り、ブルネイでは4月からイスラム法に基づき、同性愛行為で有罪になった人に対し石を投げつけて死に至らしめる「石打ち刑」を含む刑法が施行された。
 アジアでは、タイで同性のパートナーシップ関係を認める法案が国会で提出されているが、条文に同性による「婚姻」と明記しておらず、EMA日本によると、同性婚とは言えない内容だ。このためアジアでは台湾を除けば同性婚の法制化に向けた動きはない。日本では2月に13組の同性カップルが同性婚を認めない法制度は違憲だとして国家賠償請求訴訟を起こしているが、国会で同性婚容認に向けた議論は進んでいない。日本人にとって身近な台湾で同性婚が実現することで、日本での議論を後押しする効果もありそうだ。
なぜ台湾がアジア初に?
 そもそも台湾でなぜ、他のアジアの国に先駆けていち早く同性婚が実現したのか。LGBTなど性的少数者で作る団体の代表を務める呂欣潔さん(35)は「80年代の民主化に伴う社会運動の波に乗り、当事者らが比較的早い段階から粘り強く運動を展開できたことが大きい」と説明する。
 台湾は戦後、蒋介石が率いる国民党による独裁体制が続き、多くの罪のない市民や反体制運動家らが拘束、処刑された。民主化の過程で、女性、労働者、先住民族など、独裁下で抑圧されてきた人々による権利獲得運動が爆発的に起きた。LGBTによる運動も女性運動と連携してこの波に乗り、90年代には当事者団体が相次いで発足。LGBTの権利は早くから人権課題の一つと位置づけられた。86年からたった一人で同性婚の実現を目指す運動を始めた祁家威氏(60)の存在も大きかった。
 民意は政治に変化を促した。後に総統になる馬英九氏(国民党)は台北市長時代(98~2006年)、LGBT支援に積極的に取り組み、市当局の後押しもあって03年には台北で大規模なLGBTパレードが始まった。民主化運動の一翼を担った民進党の陳水扁政権(00~08年)は自由や人権を重視する姿勢を鮮明にした。LGBT問題についても、04年に成立した「性別平等教育法」で、性的指向や性自認などの違いによる差別の禁止を規定した。これに基づき小中高校でLGBTに関する教育が始まった。
 06年には民進党の立法委員(国会議員)が同性婚を認める法案を立法院に提出し、廃案となったが社会の議論を促した。当時、同性婚を認めていた国は世界でもオランダなど4カ国だけで、台湾の取り組みは極めて先進的だった。同性婚の実現に尽力してきた民進党の尤美女・立法委員(64)は「陳政権が人権問題に積極的に取り組んだ背景には、中国との違いを際立たせ、国際社会で存在感を発揮する狙いもあったと思う。それが同性愛者の権利向上を後押しすることにつながった」と指摘する。
 だが保守層やキリスト教団体などに強い反発が起き、同性婚は次第に政治問題化した。国民党だけでなく民進党でも反対派が一定の勢力を占めた。同性婚法案は06年以降も議員立法で何度か立法院に提出されたが、いずれも反対派の抵抗で廃案となった。
 対立に決着をつけたのは司法だった。祁家威氏が15年、婚姻を異性間に限る現行民法は違憲として司法院大法官会議(憲法裁判所)に訴訟を起こした。大法官会議は17年5月24日、同性婚の法制化を立法院に求める判断を出した。反対意見を付けたのは大法官(裁判官)14人のうち2人だけ。これを受け、立法院は同性婚を認める特別法を成立させた。
 米連邦最高裁は15年6月、「同性同士の結婚の禁止は、憲法が保障する『婚姻の自由』や『法の下の平等』を侵害している」との判断を出し、これによって全米で同性婚が合法となった。台湾の大法官会議の判断はこれを引用した。台湾の法制度に詳しい鈴木賢・明治大教授(中国・台湾法)は「大法官会議の裁判官は欧米で学位を取得した進歩的な学者が多く、米国の司法動向に敏感に反応した。同性婚支持の蔡英文総統が任命した司法院長(裁判長)のリーダーシップも大きかった」と指摘する。
結婚できる相手は一部の国の国民だけ
 台湾は、アジアに住むLGBTの人たちにとって魅力的な場所となりつつある。だが異性婚との差別はまだ残る。
 台北市でパートナーの男性と同居する30代の日本人男性、マエさん=仮名=は「日本では周囲に(同性愛者であると)明かせないことも多く悩んでいたが、台湾では自然とカミングアウト(公表)できた。台湾ではLGBTに理解や関心のある方が本当に多く、暮らしやすい環境が整っている」と話す。
 ただ台湾の現行法では、米国などと違い、同性婚を認めた国の国民としか結婚できない。立法委員5人を擁する台湾の野党「時代力量」は17日、同性婚を認めない国の国民とも結婚できるようにする修正法案を提案したが、賛成は6票にとどまり、否決された。
 台湾在住の日本人と台湾人のカップルの中には、5月24日に婚姻届を出せると信じて、結婚式の準備を進めていた人もいるという。マエさんは「好きになった相手が誰であっても自由に結婚できる権利があらゆる人に保障されるべきだ」と語気を強めた。
 台湾には、どの国の国民とも同性婚ができるよう求めて活動を続ける団体「国際結婚平等連盟」(会員94人)がある。会員の大半は台湾人と外国人の同性カップル。代表を務める台湾人の頼凱俐さん(36)は、パートナーでマレーシア華僑の陳美月さん(38)と台北で同居している。頼さんは「私たちの夢は結婚すること。でも5月24日以降も私たちには認められない」と声を落とした。台湾の大学で学ぶ陳さんは「マレーシアでは同性愛行為は禁止されており、昨年もイスラム教徒の女性カップルがむち打ちの刑に遭った。同性婚が台湾で実現し、夢のようです。引き続き台湾当局に法改正を求めていきたい」と話した。
残る対立の火種
 台湾でも、中高年層や伝統的に同性愛を許容しないキリスト教徒らの間では同性婚への反発や戸惑いが根強い。民間団体・台湾民意基金会が法案採決前の5月13、14日に実施した世論調査では、蔡政権の同性婚法案に「不満」と答えた有権者は58・1%にのぼり、「満足」は33・6%にとどまった。蔡政権は支持率低下のリスクを抱えながらも法を成立させた。
 同性愛者を受け入れている「同光同志長老教会」(台北市)の黄国尭牧師(62)は「同性愛者は今も偏見に苦しみ、中には自殺に追い込まれる人もいる。同性婚法案を巡り反対派の運動が激しくなり、同性愛者が精神的にダメージを受ける機会が多くなったため、私のところに相談に来る人が増えた」と話す。
 反対派は街頭で激しい運動を展開した。「結婚は男女間に限るべきだ!」「家族の伝統を破壊するな!」。法案審議が大詰めを迎えた5月8日、立法院の周辺では反対派の市民ら約1000人がシュプレヒコールをあげた。キリスト教徒らでつくる団体の曽献瑩代表は「婚姻の定義が変わってしまうと家庭や社会、文化は混乱し、根本的な危機に直面してしまう」と厳しい口調で語った。
 曽氏は17日の同性婚法可決後に開いた記者会見で「私たちはあきらめない。(同性婚法を廃止する)努力を続ける」と強調し、同性婚法の賛否を問う住民投票に向けた署名活動を検討する意向を表明した。
 同性による「結婚の登記」と明記した条文の採決では、立法委員の出席者93人のうち27人が反対した。与党・民進党と野党・国民党を比べた場合、反対派は国民党の方が多い。今回、同性婚法案が立法院で可決されたのは、蔡総統が同性婚推進派だったことに加え、立法院で民進党が過半数を占めていることが大きい。しかし民進党の支持率は低迷を続けており、来年1月11日に同時に行われる総統選と立法委員選で国民党が勝利するとの観測も出ている。
 LGBTの人たちの間からは「国民党が政権を奪還したら、今回成立した特別法を改悪する修正案が成立し、同性婚ができなくなるのではないか」との懸念が出ている。北部・苗栗県に住む同性愛者の女性(38)は「選挙の前に婚姻届を出しておかないと、先々、どうなるか分からない」と焦る。同性婚をめぐり、激しい対立が再燃する恐れがある。【福岡静哉】
https://mainichi.jp/articles/20190521/mog/00m/030/005000c


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