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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

副知事、JR問題担当は中野氏 土屋氏はIR

2019-05-30 | アイヌ民族関連
北海道新聞 05/30 05:00
 鈴木直道知事は29日、6月1日に就任する3副知事の担当分野を決めた。焦点のJR北海道の路線見直し問題は、総務省から出向中で総務部長から昇格する中野祐介氏が受け持つ。JRへの財政支援などで国との交渉役になり、中央省庁との人脈を生かせると判断した。カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)の道内誘致は、元農政部長の土屋俊亮氏が対応する。
 筆頭副知事は公営企業管理者からの起用になる技術系出身の浦本元人氏で、土木整備や、原発を含む危機対策、空港民営化、人事を担う。
 中野氏は空港関連以外の交通や財政、人口減少対策、保健福祉、北方領土問題を受け持つ。再就職先の北海道銀行で農業の海外戦略に携わった土屋氏は、1次産業やIRなどの観光に加え、道産食品輸出など経済全般を担当する。
 会計管理者兼出納局長から公営企業管理者に就く小玉俊宏氏は、中野氏と共に文化・スポーツとアイヌ政策を分担する。環境生活部長を経験し、文化政策などに精通していることから、本来の所管以外を担当する異例の対応になった。
 2016年度に復活した14総合振興局・振興局の分担も継続する。内訳は、浦本氏が石狩、後志、胆振、宗谷、オホーツク。土屋氏が空知、渡島、檜山、十勝。中野氏が日高、上川、留萌、釧路、根室。(佐藤陽介、竹中達哉)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/310084

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<ニュースで解けた?>支援新法が成立

2019-05-30 | アイヌ民族関連
北海道新聞05/30 05:00
 次のニュースに関わる、下の問題に答えなさい。
 法律として初めて(A)を「先住民族」と明記し、独自の文化の維持・振興に向けた交付金制度を創設する新法「(A)支援法」が4月19日、参院本会議で可決、成立した。政府や自治体の責任で産業や観光の振興にも取り組み、(A)以外の国民との共生や経済格差の是正を図る。
 先住民族への配慮を求める国際的な要請の高まりに応えた。ただ2007年の国連宣言で民族の権利とされた(B)権や教育権などは盛り込まなかったため、(A)関係者から批判も出ている。(4月19、21日の記事より)
【問題1】(A)にあてはまる、古くから北海道などに住み、独自の文化を持っている人たちを表す語句を答えなさい。
【問題2】(B)にあてはまる語句を次のア~ウから選んで、記号で答えなさい。
 (ア)自決、(イ)生存、(ウ)勤労
【答え】【問題1】アイヌ民族【問題2】ア
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/309994

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「アイヌ民族の痛み共有を」 北大の石原さん、日本記者クラブで講演

2019-05-30 | アイヌ民族関連
北海道新聞 05/29 05:00

新法「アイヌ施策推進法」などについて思いを語る石原真衣さん
 アイヌ民族について研究している北大大学院の石原真衣専門研究員(37)が28日、東京都内の日本記者クラブで「アイヌからみた北海道150年と新法」をテーマに講演した。
 石原さんは母方の曽祖母らがアイヌ民族で、父方の祖先は屯田兵という二つの出自を持つ。アイヌ民族の話題については家族同士ですら話せず、他のアイヌ民族とも仲間意識を共有できなかったといい、「私たち家族は150年、差別や、出自を巡る混乱などの痛みを継承してきた」と話した。
 1997年に制定されたアイヌ文化振興法や今年施行された新法「アイヌ施策推進法」は、アイヌ文化を限定的に捉えていると指摘。「歌や踊りなど一部の文化だけを受け入れるのではなく、痛みを共有することも必要」と述べ、歴史も含めて理解することが多文化共生につながると強調した。(尾張めぐみ)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/309705

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新法への思い聞く 北海道アイヌ協会・加藤忠理事長

2019-05-30 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2019/5/29配信

「新法制定は大変に喜ばしい」と語る北海道アイヌ協会の加藤忠理事長
 アイヌ民族を法律で初めて先住民族と位置付けた「アイヌ施策推進法」が今月24日に施行された。アイヌの誇りと尊厳の回復をうたい、従来の文化振興に偏った施策から民族支援の総合施策へと踏み出した。北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(80)=白老町在住=に新法への思いを聞いた。
―新法をどう受け止めているか。
 「明治以降の同化政策で生活基盤の土地を失い、言葉も文化も奪われたアイヌは、苦しみと悲しみの歴史を背負ってきた。そうした中で先住民族と法律に明記されたことは大変喜ばしい限りだ。旧土人保護法、文化振興法、そしてアイヌ施策推進法。ここまで来るのに150年もかかったが、これからが大事。生活や教育支援については、未知数の部分があるものの、一歩一歩前進させたい。ここからどう進むかは、むしろアイヌの側にかかっている。協会が社団法人化した1946(昭和21)年、組織の中枢を担った故小川佐助さんが『団結することで何事も進む』と言っていたのを思い出す。みんなが輪になって、先住民族としてどうあるべきか模索していくことが重要だ。新法とアイヌの時代を大事に育てていきたい」
―民族支援に向け、新法に基づく市町村地域計画への交付金制度をどう考えるか。
 「文化の保存伝承や観光振興など市町村が作る地域計画への交付金制度の意味は、民族共生社会を目指す新法の趣旨をアイヌと地域が一緒になって取り組むということだ。北海道だけでなく、全国で取り組むことが大事。地域でのアイヌ協会の有無に関係なく、何かやっていけたらと思う。ただ、いっぺんに何もかも進んでいくとは思っていない。対話を積み重ね、少しずつ進めていかなければならない。対話が大切。争っては何も生まない」
―新法にも定められた来年4月開設の民族共生象徴空間(ウポポイ)への期待は。
 「まさにアイヌ文化のナショナルセンターとして期待している。世界にはさまざまな民族文化があり、その一つ一つに注がれる人々の目線がある。その意味において、アイヌ文化を観光の売り物にするのではなく、私たちアイヌ民族の文化はここにあるんだと国内外に知らせる役割がウポポイの大事な部分。文化発信の拠点になることを強く願っている」
―象徴空間近くに整備されるアイヌ民族の慰霊施設をどう評価するか。
 「昔、研究目的で墓から持ち出されたアイヌの遺骨は全国の大学などにばらばらに散らばり、保管されている状況だ。その遺骨を慰霊施設に納め、慰霊したい。施設を造るに当たっては、国との話し合いに相当苦労したが、実現へ頑張り抜いた。大学にある遺骨はどのように扱われているのか。ほこりをかぶっているままなのか。遺骨は普通、墓にあるもの。考えられない異常な状況が続いていた。大学以外に地方の博物館や資料館にも遺骨があるが、その対策についてはまだ時間がかかっている。けれど、ようやくここまで来たというのが率直な思いだ。慰霊行事の方法などは、まさにこれから具体的に考えていきたい」
―世界中から人々が集まる来年の東京五輪にアイヌ民族としてどう関わるか。
 「東京五輪開会式でアイヌ舞踊を披露したいと考えている。各地域に伝わる踊りはそれぞれ違いがあるものの、それを一つにまとまってやろうと。アイヌ文化を世界に発信できるチャンスであり、アイヌが一つにまとまる機会にもつながる。こうした活動の積み重ねがアイヌへの理解を深めてもらうことにつながり、民族の未来を築いていくのだと思っている」
 加藤忠(かとう ただし) 1939年生まれ、白老出身。大昭和製紙白老工場(当時)勤務、自営業を経て、アイヌ家庭の生活相談員を長く務めた。2004年から北海道アイヌ協会理事長。厚労大臣表彰、北海道社会貢献賞など表彰多数。
https://www.tomamin.co.jp/news/area2/16386/

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「アイヌ文化で読み解く『ゴールデンカムイ』」 中川裕著

2019-05-30 | アイヌ民族関連
日刊ゲンダイ2019/05/29 06:00 更新日:2019/05/29 06:00

 大ヒットコミック「ゴールデンカムイ」の監修者が、作品を素材にして、アイヌの歴史や文化を解説した入門書。
 タイトルにも使われる「カムイ」は、よく神と訳されるが、ちょっとニュアンスが異なり、動物や植物、それどころか家や食器など、人間が作ったものもすべてカムイなのだという。しかし、手当たり次第というわけでもなく、何かしら人間の役に立ってくれているものをカムイと呼ぶのだそうだ。
 一方、アイヌとは人間を指す言葉で、彼らの伝統的な考え方の根幹にあるのは、アイヌとカムイがよい関係を結ぶことによって、お互いに幸福な関係が保たれるということだという。
 そんな基本から、グルメや物語、アイヌ語と日本語の関係など、アイヌ文化のエッセンスを伝える。
(集英社 900円+税)
アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」
posted with ヨメレバ
中川 裕/野田 サトル 集英社 2019年03月15日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/254871

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オーストラリア新内閣、先住民問題相に初のアボリジニ

2019-05-30 | 先住民族関連
BBC 2019年05月29日

2010年、初めての議会演説にアボリジニの伝統的な「ブーカ」姿で登場したケン・ワイアット氏
オーストラリア新内閣で、初の先住民族アボリジニの閣僚が誕生した。18日に行なわれた下院総選挙で勝利したスコット・モリソン首相は26日、新内閣の閣僚名簿を発表し、アボリジニのケン・ワイアット氏(66)を先住民問題相に任命した。
18日の下院総選挙では、与党・保守連合が事前の予想に反して勝利した。これを受け、最大勢力の自由党を率いるモリソン首相は、新内閣の顔ぶれを発表した。
多くのアボリジニが、ワイアット氏の起用を喜んでいる。
一方で、オーストラリアでは先住民族の憲法上の承認と不平等をめぐる深刻な議論が続いていることから、ワイアット氏には今後、根深い困難が待ち受けている。
アボリジニ初のキャリアを切り開く
ワイアット氏は2010年、アボリジニの男性として初めて下院議員に選出された。初めての議会演説には、これまでに議会ではほとんど目にしたことがない服装で登場した。
着用していたのは、ブーカと呼ばれる、アカオクロオウムの羽の装飾が施されたカンガルーの皮のコートだった。これは、アボリジニの指導者を象徴する、伝統的な装いだ。
2017年には、当時のマルコム・ターンブル政権下で高齢者福祉・先住民健康担当の閣外相に任命された。
政界入り前は、小学校教師や公衆衛生職員として働いていた。
母モナ・アブドゥラ氏は幼い頃、アボリジニの人々をオーストラリア社会に同化させるための悪名高い児童隔離政策によって家族から引き離された。こうした子どもたちは「盗まれた世代」(Stolen Generations)と呼ばれる。
ワイアット氏は時には所属政党に反対票を投じると脅すなど、自分の信念を貫き、議会で尊敬を勝ち取ってきた。
「茶色のガラス天井を打ち砕いた」
ワイアット氏は、先住民問題相を務めることは「非常に光栄」だとツイートした。
今回の任命は、「茶色のガラス天井を打ち砕いた」とワイアット氏は述べた。
これまでにオーストラリア連邦議会議員になった先住民族は、たった10人しかいない。そして、そのほとんどはここ10年間に当選した。
先住民族はオーストラリアの総人口の3%を占めるものの、専門家によると、先住民族の議員数が少ない要因は、マイノリティー(人種的少数派)ということだけではないという。
それは、植民地時代の歴史や、政策による組織的な先住民族の公民権剥奪に根づいていると、チャールズ・スタート大学のドミニク・オサリヴァン教授は指摘する。
同国の連邦議会選挙の投票権は、1962年まで先住民族には与えられなかった。
オサリヴァン教授は、「先住民族の人々は長い間、意図的に政治の末端に追いやられていた」と述べた。
今回のワイアット氏の先住民問題相への任命は、歴史的に重要であり、祝福すべきことだと教授は話す。
「一方で、先住民族排除の問題の深さも示している。1901年のオーストラリア連邦の成立以降、(先住民族の閣僚誕生まで)これだけの長い時間がかかり、我々はまるで新奇で珍しいことであるかのように、この瞬間を喜んでいるのだから」
和解を求める声は?
国内の先住民族の反応は、圧倒的に好意的だ。ワイアット氏が先住民族の生活改善を実現できると期待し、同氏のこれまでの先住民の健康や高齢者福祉、教育における実績を挙げている。
先住民族は、平均余命や雇用率、学校教育や刑務所服役など様々な側面で、過度に不平等な扱いを受けている。
オーストラリア先住民族のアボリジニとトレス海峡諸島民の代表機関である「ナショナル・コングレス・オブ・オーストラリアズ・ファースト・ピープルズ」のロッド・リトル氏は、「我々が取り組む問題について、中にはケンが自ら経験してきたものもある。それだけに、これまでの閣僚たちよりもはるかに信頼できる」と期待感を示した。
先住民族の代表機関は、ワイアット氏には「生きた経験」があると話す
オーストラリアは、先住民族との間で条約を締結していない唯一の英連邦国家で、この点はしばしば議論されてきた。憲法が先住民族の存在を明記し承認するよう活動してきた人たちは、その意味でもワイアット氏の閣僚就任に期待しているという。
2017年に当時のターンブル首相は、議会に助言ができる先住民族の代表組織の設立を盛り込んだ、「議会への声」(Voice to Parliament)として知られる画期的な提言を、実践的ではないとして却下した。
政府は現在でもこの提言に反対の立場だが、モリソン首相は、自分は憲法改正の実現に向けて努力しているとしている。首相は先日、オーストラリア先住民族の問題を管轄する機関を新設すると表明した。
先住民族と非先住民族との和解を促進する団体「リコンシリエイション・オーストラリア」のキャレン・マンディン代表は、ワイアット氏の起用は「自信を後押しするもの」だと述べた。
「『議会への声』をこの会期中に進め、そしてこのプロセスを国民投票へと導くために、首相が先住民族と連携することが重要だ」
(英語記事 Australia's first Aboriginal cabinet minister)
https://www.bbc.com/japanese/48430131

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東京都教委、教師が学ぶ独自研修を実施…「先生も本当の自分を教室に持ち込むべき」

2019-05-30 | 先住民族関連
エキサイトニュース2019年5月29日 20:30
 新たな時代に対応できるグローバル人材育成のために、東京都教育委員会が行なっている「Divers Link Tokyo Edu」(ダイバースリンク)という事業がある。その一環として教職員研修が行われた。会場は、昨年オープンしたTOKYO GLOBAL GATEWAY。東京都教育委員会が提供しているユニークな体験型英語施設だ。東京都の小中高・特別支援学校から35名の教員が、海外の先進的な教育手法を学ぶために集まっていた。しかし意外にも、そこで語られたのは、手法ではなく、「学ぶとはどういうことか」という本質的な問いだった。熱い研修の様子をリポートする。
●研修のスタートは、マオリ語でのあいさつから。それは日本語が母国語でない子供が感じるぎこちなさの体験
 今回の研修のテーマは「『他者への共感、思いやりと尊重』を学びの場へ~ニュージーランド教育における「価値」の共有、「万人のための教育」の意義~」というもの。東京都教育委員会が教育に関する覚書MOUを締結しているエデュケーション・ニュージーランドの協力で、多様な価値観を学ぶ授業のつくり方や探究型の指導法について学ぶことを目的に開催された。研修を担当したのは、ニュージーランド・オークランド工科大学のハワード博士。国内外で広く探求的アプローチや多様性に配慮した指導法の教員研修を手がけている方だそうだ。
 初めて聞くマオリ語を使っての自己紹介で、集団の中でマイノリティになった時に何を感じるかを体験することから始まった研修。そして、ニュージーランドの公用語についての説明があった。
 なんと、先住民族の言葉マオリ語と英語のほか、手話も公用語とされていて、聴覚障害のある生徒も専門家のサポートを受けながら普通学校に通っているという。体の障害のあるなしにかかわらず、いずれの子も学べる環境を整えるという考えがあるからだ。ニュージーランドの子供たちにとって、多様性は、教室の中に当たり前にあることなのだ。研修が始まってわずか数分で、まだまだ自分が狭い価値観にとらわれていたことに気づかされる。
●教師も人、教室に本当の自分を持ち込め。そして、生徒も自分の心を持ち込める授業を!
 次に投げかけられたのが、「最も大切なことは何か?」という問い。その答えは「人」だという。教員研修だから「人」とは生徒のことを指しているのかと思いきや、教える側も含む万人だという。「学びはすべての人のためにある」。これがニュージーランドの教育の根底にある考え方のようだ。
 続けて、「先生も人なのだから、それぞれ本当の自分自身を教室に持ち込むべきだ」というハワード博士。日本の学校では、教室の中に先生が「私」を持ち込むことを良しとはしない風潮があるから、ちょっと驚く。しかし、「それと同時に、生徒が自分の心を教室に持ち込めないなら価値はない」という言葉に、会場の空気が一変。講義が始まって数分で、参加者たちの顔つきが変化していく。
●ニュージーランドが国として大切にしている教育の8つの価値とは
 ニュージーランドでは、国として誰もが大事にするべき8つの価値を設定し、それを念頭において、すべての教科活動やカリキュラムが組まれている。価値としてあげられているのが、「卓越性、イノベーション・探究心・好奇心、多様性、公平さ、コニュニティと参加、環境保護とサスティナビリティ、誠実さ、敬意」の8つ。「卓越性」には、変化する時代に、自分自身でモチベーションを高く持ち続けられる忍耐力をつけることや、他人とかかわり、共同作業ができるソフトスキルや、共感、思いやり、尊敬といった価値も含んでいる。
 さすが、未来教育指数(英誌 「エコノミスト」2017)世界1位に選ばれたニュージーランド。8つの価値は、人工知能(AI)やビッグデータなど新たな技術で社会が大きく変化している時代に、人に求められる項目が並んでいる。教師は常に今やっている授業が、どの価値につながっているのかを考えながらカリキュラムを組み立てるのだそうだ。
 価値教育という耳慣れない言葉に一瞬戸惑ったが、日本でいえば新学習指導要領に掲げられている「ねらい」のようなものだろうか。
 以前、新学習指導要領のねらいを紹介したが、そこには以下の記述がある。
「あれ、けっこういいことを書いてある」と思われただろうか。ただ、日本の先生は忙しくて、目の前のことをこなすので精一杯だから、このねらいがどこまで日常の授業や学校生活の中に反映されているかちょっと疑問だ。それに比べて、「なんのため」という目的の共有と振り返りができるシステムが構築されているのが、ニュージーランドの教育の特徴だろう。
●先生自身が子供時代に体験した「よい教師」とは、自分を認めてくれた人だった
 研修も中盤。次に出された問いが「自分が生徒だった頃を思い出し、好きだった先生がしてくれたことで良かったことを書き出す」というもの。最初は考え込んでいた様子だったが、次第に思い出話に花が咲き始める。各テーブルで共通に出てきたのは「信じてくれた」「ほめてくれた」「能力を引き出してくれた」「経験をさせてくれた」「全力で向き合ってくれた」「参加できる場をつくってくれた」「挑戦させてくれた」「えこひいきをしない」というような言葉。どのテーブルでも、何を教わったかではなく、教師のあり方を示すものが並ぶ。それぞれが書いた言葉をグルーピングしながら、教師として大事にすべき価値について考えていく参加者たち。
 教師自身が一生徒に戻って、学ぶ側の気持ちになってみるという機会はあまりないだろうから、これはアクティブラーニングの手法を体験しながら、教師として何を大事にすべきかを改めて考えさせる研修になったようだ。
 参加した先生からは「探究的な学習を通して、教員も生徒も学び合うことの重要性を感じた」「頭・心・手を一体として使うことの重要性を感じた」「自分の教育観や指導法を見直す良い機会になった」という感想が聞かれた。冒頭、ハワード博士の言葉にあったように、先生も一人の人として学ぶことで多くの気づきが生まれていたようだ。
●東京都教育委員会が「多様性」をキーワードに、教員向けアクティブラーニング研修を開く狙い
 日本でも変化が加速する社会に対応するために、教育が変わろうとしている。「2020年からの教育改革」という言葉は、だいぶ一般の家庭にも浸透してきたように感じるが、果たして教育現場はどう受けとめているのだろう。
 そこで、今回の研修を企画した東京都教育庁の森晶子国際教育事業担当課長に狙いを聞いたところ「先生が海外の新しい教授法を学ぶことで、子供たちに『主体的、対話的で深い学び』を提供するためのヒントを得てもらいたいと考えている」という答えが返ってきた。
 今、「思考力」「主体性」、そして「多様性」への理解といったワードが、学校教育のキーワードになってきている。また、小学校の英語教科化や、探求型学習、デジタル化など、教育現場に求められることも大きく変わってきている。こうした研修は今後ますます増えていくだろう。しかし、単に手法を学ぶだけで終わってはもったいない。
 生徒に主体性や多様性を教えるなら、まず教える側がそうある必要があるし、そのためにも、先生自身が多様な価値観に触れて視野を広げ、学びの価値について考える機会を増やしていってほしいと思う。ハワード博士のメッセージにもあったが、先生も学ぶ人なのだから。
 個人的には、教育先進国のニュージーランドの教育をもっと知りたい、現場を視察したいという思いが湧き上がってきた取材だった。(文=中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表)
https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201905_post-15555/

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<北海道>色丹島で戦後初めてアイヌ伝統儀式による慰霊

2019-05-30 | アイヌ民族関連
HTB 5/29(水) 19:18配信
 27日に戻った色丹島へのビザなし交流では、いつもとは少し違う光景がありました。色丹島の日本人墓地にあるアイヌ民族の墓の前で戦後初めて、アイヌ様式の供養が行われました。
 今月25日、色丹島に到着したビザなし訪問団。現地では2日間、ロシア人住民との交流や墓参が行われました。その墓参に特別な思いを持った人がいました。札幌アイヌ協会の多原良子さんです。色丹島に千島列島に住んでいたアイヌ民族の墓があると聞いて、初めて訪問団に参加しました。多原さんは「アイヌの御霊にお参りをきょうここまで来て、できて嬉しい」と話しました。
 多原さんを墓まで案内したのは元島民の石井守さん(75)です。3歳まで色丹島で暮らした元島民で、島を訪れるたびに千島アイヌの墓地も慰霊してきました。
 石井さんは「昔アイヌがあったんだわ、神社の横に長屋、そこに23、4人いたかな。一番端の方で私の親が育てられた」と多原さんに伝えました。
 石井さんの父、徳雄さんを養子として育てたのは、千島アイヌの夫婦です。千島列島に住むアイヌの人々は、明治政府によって色丹島に強制移住させられた歴史があります。父親の徳雄さんも、生前、墓参団に参加し、千島アイヌへの感謝の思いから、島を訪れるたびに手を合わせてきました。その話を聞いた多原さんは「まさか石井さんのお父さんがアイヌに育てられて、そこにコタンがあったなんて考えてもみなかったし、クリルの墓があると聞いてお参りできてよかった」と話しました。
 戦後74年、過去の墓参でアイヌ様式による供養が行われたという記録は残っていません。多原さんは、石井さんにもゆかりのある千島アイヌの墓前で「メノコイチャルパ」、先祖への祈りを捧げました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190529-00000014-htbv-hok

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集大成にして新境地。ジェームズ・キャメロン『アバター』がインスパイアされた諸要素を探る

2019-05-30 | 先住民族関連
CINEMORE 5/29(水) 7:26配信
 ジェームズ・キャメロンが監督・脚本・共同製作を務めた『アバター』(09)。太陽系外の衛星パンドラの景観と自然環境、そして先住民族であるナヴィを含む生態系を丸ごとコンピュータ・グラフィックスで“創造”するという前例のない巨大プロジェクトで、製作が本格化したのは2005年のこと。ただし、企画の出発点は1994年と意外に早く、キャメロンはこの時80ページの草稿を書いていた。
 キャメロンは当初、少年時代から親しんだSF小説や冒険小説の中から、自分の好きな要素を集めた独自のSFアドベンチャーを構想した。ほかにも、キャメロン本人が影響を認めたもの、映画通から類似性が指摘された過去の作品、意図的にちりばめられた宗教的要素など、『アバター』の創造の源を探ることは、それ自体が刺激に満ちた旅のようでもある。
衛星パンドラのビジュアルはどこから
 幼い頃からジャック・クストーの海洋ドキュメンタリーに夢中だったキャメロンは、高校時代から、頭に浮かんださまざまなアイデアを短編小説にしたり、スケッチに書き留めたりしていた。70年代には、空中を浮遊するクラゲ、生物発光する森や川、「エアー・シャーク」と名付けた空飛ぶサメ(これがのちにエイのような姿に変わり、さらにコウモリに近いデザインの「バンシー」になる)などを描いたという。
 ドキュメンタリー作品『エイリアンズ・オブ・ザディープ』(05)の撮影で、キャメロンは自ら探査艇に乗り込んで深海底の熱水孔を調査したが、このとき実際に目にした生物発光をする植物相や動物相も、『アバター』に登場する動植物のデザインに影響を与えることになる。
 パンドラの空中に浮かぶ山に代表されるユニークな景観は、キャメロンが中国南部にある黄山などの景勝地にインスパイアされたと語っている。また、ロックバンド「イエス」のアルバムジャケットのイラストで有名なロジャー・ディーンの作品にも、空中に浮かぶ島や巨大な岩のアーチを描いた絵があり、これらの影響を指摘する声も多い(ディーンは著作権侵害で提訴したが2014年敗訴)。
 キャメロン自身は訴えられる前の2010年のインタビューで、イエスのアルバムに描かれた空に浮かぶ山にインスピレーションを得たかと聞かれ、「マリファナを吸っていた(若者の)頃、(ディーンの絵を)目にしていたかもね」と語っていた。
 パンドラの緑深い森は、アマゾンの熱帯雨林の景観にヒントを得ている。キャメロンが草稿を書いた1990年代、「熱帯雨林を乱開発から守れ」と訴える運動が米国を中心に盛り上がっていた。文明と科学技術への過信が危機を招く、というのはキャメロンがフィルモグラフィーで一貫して警鐘を鳴らしてきたテーマでもある。『アバター』を契機に熱心な環境保護論者になったキャメロンは、2010年に初めてアマゾンを訪れ、現地の部族とともに熱帯雨林の保護を訴えた。
「開拓者と先住民」「開発と環境破壊」の物語類型
 パンドラの資源を求めて森林を切り開く人類と自然を守る先住民族ナヴィの対立、資源開発側のジェイク・サリー(サム・ワーシントン)とナヴィ族の女性ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)との愛を描くストーリーは、過去の多数の作品に共通する物語類型をなぞっている。
 「開拓者と先住民」の物語の源流はおそらく、ディズニーのアニメ映画『ポカホンタス』(95)で日本でも広く知られるようになった、17世紀の英国人入植者ジョン・ロルフと結婚したネイティブアメリカンの娘ポカホンタスの実話だろう。
 ポカホンタスの、民族や文化、立場の違いを乗り越えて結ばれる劇的なラブストーリーの骨子は、舞台を米国南北戦争の時代に移して『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)に、また明治初頭の日本を舞台にした『ラストサムライ』(03)にも受け継がれた。後者の2作は、開拓者(政府)側の軍人が、先住民(武士)の伝統文化や精神に共感して“反逆者”になる点でも『アバター』と共通する。
 「開発と環境破壊」に関して、キャメロンはアイデアの源の一つを映画の中で示している。それは、グレイス・オーガスティン博士(シガニー・ウィーバー)がかつてパンドラの村に作った学校の廃墟で拾い上げるドクター・スースの児童書「The Lorax」(1971年出版。2012年に『ロラックスおじさんの秘密の種』の題でアニメ映画化された)。これは金儲けのために木を大量伐採した結果、植物がなくなるほど環境が破壊された世界の物語だ。
 また、比較的マイナーな作品だが、オーストラリア製アニメ『不思議の森の妖精たち』(92)も参照したと考えられる。こちらは、熱帯雨林に住む妖精と伐採業者の青年が恋に落ち、力を合わせて森を破壊から守ろうとする物語。倒木でできた橋を渡る構図や、森林をブルドーザーがなぎ倒す場面など、『アバター』が元ネタにしたと思しき要素が散見される。
SFカルチャーと自作への“言及”
 映画では下半身不随のジェイクが、パンドラの環境に適合させた人工身体のアバターに意識を移し、ナヴィが暮らす世界を探索する。キャメロンがプロットの参考にしたと思われるのが、ポール・アンダースンが1957年に発表したSF中編「わが名はジョー」(新潮社文庫「スペースマン : 宇宙SFコレクション1」所収)。この小説の主人公も車椅子に乗っているが、木星とその衛星の過酷な環境に適合した人造木星人「ジョー」に意識を移して冒険を繰り広げる。
 惑星(または衛星)のすべての生命を結ぶ「意識のネットワーク」というアイデアの大元は、1960年代に英科学者ジェームズ・ラブロックが提唱した、地球を一種の超個体と見なす「ガイア理論」だ。この理論に影響を受けた作品はSFに限らず多数あるが、『アバター』と最も共通点が多いのは、「デューン 砂の惑星」で知られるフランク・ハーバートとビル・ランサムによる共著のシリーズ「The Jesus Incident」(79)と「The Lazarus Effect」(83)。これらの作品では、海に覆われた惑星「パンドラ」で過去の記憶を引き継ぐ藻類が全球的なネットワークを築いており、他の生命体とともに「Avata」と呼ばれる共有の意識にリンクされている。
 キャメロンはまた、過去の自作を想起させる要素やシーンも盛り込んでいる。最もわかりやすいのは、『エイリアン2』(86)でシガニー・ウィーバー扮するリプリーがエイリアン・クイーンと戦う際に乗り込んだ貨物運搬用パワーローダーだろう。『アバター』では「Amplified Mobility Platform(AMP)」と呼ばれる戦闘スーツとして登場し、クオリッチ大佐(スティーヴン・ラング)が乗り込んでジェイクやネイティリと対決する。
 スパイアクション『トゥルーライズ』(94)では、主人公のハリー(アーノルド・シュワルツェネッガー)がジェット戦闘機「ハリアー」の操縦桿を倒して機体を傾けると、翼の上のテロリストがバランスを崩して滑り落ち、ミサイルに引っかかる。このシーンは、『アバター』の終盤の戦闘で、戦闘機に搭乗するクオリッチ大佐とジェイクのアバターによってかなり忠実に再現されている。
ちりばめられた宗教的要素
 パンドラの魂の木に宿る神「エイワ」を崇めるナヴィの宗教儀式は、アフリカや新大陸の先住民族のそれを思わせるが、キャメロンはほかにも既存の宗教との関連を思わせる要素をちりばめている。
 まず、ナヴィの青い肌色は、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神の絵や像から取られたという。また、アバター(avatar)という言葉も元はサンスクリット語で「(ヴィシュヌ)神の化身」を表し、やがて一般化してゲーム内でのプレイヤーの「分身」などの意味にも使われるようになったものだ。
 キャメロン作品では、主人公の“意外な味方”にキリスト教に関わる名前が与えられることが多い。『エイリアン2』におけるアンドロイドのビショップ(bishopは「司教」の意味)、『アビス』(89)におけるモンク少尉(monkは「修道士」)がこれに該当する。『アバター』のオーガスティン博士もはじめ、海兵隊のジェイクを見下したような態度を取るが、彼女の姓は聖アウグスティヌス(Saint Augustine)から取られている。
 キャメロンが頭文字に並々ならぬこだわりを持っていることは『アリータ:バトル・エンジェル』の記事で紹介したが、英雄的な主人公や重要人物のイニシャルには「J」を与えることが多い。それは、キャメロン自身のイニシャルがイエス・キリストと同じ「J.C.」であることと無関係ではない気がする。『ターミネーター』(84)と『ターミネーター2』(91)で機械に支配された未来の人類を救うのがずばりJ.C.のジョン・コナーだし、『タイタニック』(97)でヒロインを救う主人公の名もジャック。そして『アバター』のジェイクも、ナヴィとパンドラを救う戦いに身を投じる。
 キャメロンがジェイクをキリストに重ねていることは、ラスト近くのある場面でネイティリがジェイクを抱きかかえる構図が、ミケランジェロの彫刻『ピエタ』を再現していることからも明らかだ。「ピエタ」は磔にされたキリストの亡骸を抱く聖母マリアをモチーフにした芸術作品を指すが、新約聖書にキリストが処刑された後に復活することが記されていることを思えば、『アバター』のラストとの関連性も一層はっきりする。
 キャメロンはこうして、地球上に実在する生物や景観、過去の出来事や物語、自作を含むSFカルチャー、そして多くの宗教的要素を織り交ぜて、まったくの未知の環境でありながらもどこか懐かしく親しみを覚える『アバター』の世界を創造した。次回の記事では、同作におけるCGやモーションキャプチャー、3Dといった映像面での挑戦を中心に取り上げたい。
【参考】
1.『ジェームズ・キャメロン 世界の終わりから未来を見つめる男』レベッカ・キーガン著 吉田俊太郎・訳 フィルムアート社
2.『The ART of AVATAR ジェームズ・キャメロン『アバター』の世界』リサ・フィッツパトリック著 菊池由美訳 小学館集英社プロダクション
文: 高森郁哉(たかもり いくや)
フリーランスのライター、英日翻訳者。主にウェブ媒体で映画評やコラムの寄稿、ニュース記事の翻訳を行う。訳書に『「スター・ウォーズ」を科学する―徹底検証! フォースの正体から銀河間旅行まで』(マーク・ブレイク&ジョン・チェイス著、化学同人刊)ほか。
『アバター』
ブルーレイ発売中
¥1,905+税
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高森郁哉
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190529-00010000-cinemore-movi

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