先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

加藤官房長官“アイヌ政策継続”

2020-09-19 | アイヌ民族関連
NHK 09月18日 14時02分
アイヌ民族に関係する取り組みについて、加藤官房長官はアイヌ民族としての名誉や尊厳を持ち、多様な価値観が共生する社会を実現できるよう、菅内閣でも引き続き政策を進めていく考えを示しました。
アイヌ民族に関係する施策は前の安倍内閣では菅総理大臣が官房長官として担当し、菅内閣では加藤官房長官が引き継ぐことになりました。
菅官房長官時代には「先住民族」と法律で初めて明記したアイヌ施策推進法が施行され、ことし7月にはアイヌ文化の発信拠点=「ウポポイ」を整備するなど、共生社会の実現に向けた取り組みが進みました。
菅内閣での取り組みについて、加藤官房長官は18日午前の記者会見で「アイヌの人々が名誉・尊厳を持ち、多様な価値観が共生する活力ある共生社会の実現は非常に重要だという認識を私も受け継いでいる。アイヌの皆さまの思いに寄り添いながら、アイヌ政策を進めていきたい」と述べ、アイヌ民族への生活支援や共生社会の実現に向けて引き続き政策を進めていく考えを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200918/7000024896.html

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アイヌ民具 漫画で描かれ話題に

2020-09-19 | アイヌ民族関連
NHK 09月18日 19時42分
苫小牧市の博物館が所蔵しているアイヌの人たちの生活道具が、人気漫画に描かれたことをきっかけに注目を集め、ファンなどが連日訪れています。
話題になっているのは、アイヌの人たちが使っていた生活道具で、苫小牧市美術博物館が所蔵しています。
このうち木製の「たばこ入れ」は、表面にアイヌ伝統のうろこの文様や、クマが魚をかつぐユニークな姿が彫られています。
また「矢毒入れ」は、狩りの際に使うトリカブトなどの植物から作った毒を入れていたものです。
博物館の職員がことし7月、アイヌの少女がヒロインの人気漫画「ゴ−ルデンカムイ」の中でこれらの道具が描かれたことをネットを通じて知り、出版社に確認したところ、作者の野田サトルさんが博物館の資料を作品のモチーフにしていたということです。
その後、野田さんから漫画のキャラクターを描いたサイン入りの色紙が届けられ、今月1日から展示を始めたところ、漫画のファンなどが連日訪れているということです。
苫小牧市の50代の男性は「作者がわざわざここまで見に来てくれたんだとうれしかったです」と話していました。
学芸員の小杉宇海さんは「たばこ入れは収蔵品展示だったものを、先生が引き出しを開けて見つけてくれたんだと思います。アイヌの資料はほかにも数も質もいいものが揃っているので見ていただきたいです」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200918/7000024917.html

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アイヌ民族が尊厳持ち 多様な価値観共生する社会を 官房長官

2020-09-19 | アイヌ民族関連
NHK 2020年9月18日 14時21分
アイヌ民族に関係する取り組みについて、加藤官房長官はアイヌ民族としての名誉や尊厳を持ち、多様な価値観が共生する社会を実現できるよう、菅内閣でも引き続き政策を進めていく考えを示しました。
アイヌ民族に関係する施策は、前の安倍内閣では菅総理大臣が官房長官として担当し、菅内閣では加藤官房長官が引き継ぐことになりました。
菅官房長官時代には「先住民族」と法律で初めて明記した、アイヌ施策推進法が施行され、ことし7月にはアイヌ文化の発信拠点=「ウポポイ」を整備するなど、共生社会の実現に向けた取り組みが進みました。
菅内閣での取り組みについて加藤官房長官は、午前の記者会見で「アイヌの人々が名誉・尊厳を持ち、多様な価値観が共生する活力ある共生社会の実現は、非常に重要だという認識を私も受け継いでいる。アイヌの皆様の思いに寄り添いながら、アイヌ政策を進めていきたい」と述べ、アイヌ民族への生活支援や共生社会の実現に向けて、引き続き政策を進めていく考えを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200918/k10012624731000.html

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【祝】ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020 Powered by Huluにて『Future is MINE -アイヌ、私の声-』が上映決定!

2020-09-19 | アイヌ民族関連
PRTIMES 2020年9月18日 17時30分
Yubari Women’s Empowerment Selectionに選出
株式会社3ミニッツ(本社 : 東京都新宿区、代表取締役社長兼CEO : 松田昌賢、グリー株式会社100%子会社、以下「3ミニッツ」)が運営するファッション動画マガジン「MINE(マイン)」にて制作した、女性のエンパワーメントを目的とする短編ドキュメンタリー『Future is MINE -アイヌ、私の声-』が、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020 Powered by Hulu」 Yubari Women’s Empowerment Selectionに選出されたことをお知らせします。
「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は、SF、ホラー、ファンタジー、アドベンチャー、アクション、サスペンス等、イマジネーションとエンタテインメント性豊かなファンタスティック映画を対象とした映画祭。まだ見ぬ新しい才能の発見・育成や、映画による世界各国間の文化交流・相互理解の促進を通じ、市民、映画人、観客の三者のコミュニケーションによる出会いの場を映画祭が提供を目的とし、今年2020年は配信動画サイトのHuluとタッグを組み、初のオンラインにて開催する運びとなりました。そして同映画祭で新設されたYubari Women’s Empowerment Selection にて『Future is MINE -アイヌ、私の声-』を含む、Future is MINEシリーズ 計4作品が上映されることが決定しました。
9/18(金)~9/22(火)に配信動画サイトのHulu*で配信される、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020 Powered by Hulu」にて作品をお楽しみください。
*映画祭の作品は、会員登録無しで視聴が可能です。
◾︎『Future is MINE -アイヌ、私の声-』 作品概要
北海道・二風谷に住むアイヌの女性、萱野りえさんは、アイヌが多く暮らす北海道・阿寒湖に生まれ、アイヌの唄や踊りに囲まれて育ちました。成長してゆく中で、アイヌである自分を嫌になったことがありましたが、信頼できる友人との出会いをキッカケに、アイヌ語で歌うボーカルグループ「MAREWREW」の一員として、再びアイヌ文化と共に歩み始めます。しかし、自分の活動に限界を感じ、いつしか自信を失っていったのです。
結婚・出産を経験し、めまぐるしく過ぎゆく日々の中で、時間に限りがあることに焦りを感じたりえさん。一瞬立ち止まったときに湧き上がってきたのは、やはり自分のルーツであるアイヌへの想いでした。
そんなとき、米国フロリダ州南部に居住する先住民・セミノール族の人々との交流するチャンスが訪れます。同じ先住民として独自の文化を持つ彼らの姿に、彼女は何を学び、何を見出したのでしょうか。
Future is MINE -アイヌ、私の声-
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=QQPqHGG5NGc&feature=youtu.be
◾︎出演者プロフィール
萱野 りえ
北海道の阿寒湖アイヌコタン(現釧路市阿寒町阿寒湖温泉)の生まれ。アイヌの学者であり、アイヌ神話の翻訳者である山本多助氏を祖父に持ち、アイヌ古式舞踊などアイヌ文化に触れながら育つ。アイヌ文化の担い手を育てる札幌大学「ウレシパクラブ」(※)第1期生、アイヌ民族文化財団「伝承者育成事業」の第3期生として自らアイヌ文化を学び、アイヌ語で歌うボーカルグループ「MAREWREW」の一員としても活躍。
現在は、同じアイヌの血を引く夫との間に一女をもうけ、北海道平取町にてゲストハウスで働きながら、アイヌ文化の普及に努めている。
(※)「シ」は、アイヌ語のカタカナ表記では字体を小さくします。
◾︎監督
富田 大智
1993年愛知県生まれ。京都大学経済学部卒業後、制作プロダクションROBOTに入社。CM、MVなどのプロダクションマネージャーを経て、3ミニッツへ。 大手企業のWEB広告映像を手掛け、『おじさん取り扱い講座』『22時の男と女』など、WEBショートコンテンツシリーズにて脚本、監督を務める。
◾︎Future is MINEとは
Future is MINEは、女性のエンパワーメントを応援するドキュメンタリーコンテンツです。
「幸せは自分で決める」をテーマに、自ら未来を切り開きたいと願う女性たちが、旅や人々との交流を通して成長する様子を描き出します。
女性の社会進出が叫ばれる昨今。自分らしく生きたいと願うものの、様々な障害に直面し、なかなか一歩を踏み出せない女性たちが多くいるのも事実です。自分の将来や混沌とした社会に不安を抱えている女性たちの共感を呼び、さらには、自分らしく輝く未来へと後押しするコンテンツを目指します。
◾︎ゆうばり国際ファンタスティック映画祭とは
最盛期17館もの映画館があり、炭鉱夫が多く3交代制のため映画館も24時間営業していた夕張市。映画も大好きで市長が町起こしのため観光事業として始めましたが、映画とお祭り好きが興じて、起こしたはずの町が財政難により破綻。しかし、映画文化の種は市民と全国の映画ファンに着実に根付いており、市民の力で奇跡的に甦りました。
30年にわたる映画ファンと映画人の交流は、映画祭が発祥の作品も多数生み出し、いまや映画界を支える才能を多数輩出し、町起こしから日本の映画界起こしの映画祭として、国内外の注目を集めています。
“傷つき、苦しんだ人間ほど、強く、優しくなれる。それが夕張だ!”(俳優 ジョン・ボイト)
“夕張の雪は世界一美しい!神が雪を降らせている場所だ。”(監督 クエンティン・タランティーノ)
“夕張に来て、日本っていいな、日本人で良かったなと心から思いました。”(女優 工藤夕貴)
“夕張では、映画も日本も美しい!”(監督 大林宣彦)
近年だと、2018年3月には映画祭で初上映(ゆうばりチョイス部門)された「カメラを止めるな!」がメジャー配給作品を押しのけ、ファンタランド観客賞(作品賞)を受賞し、映画業界の話題となり、その後一般も取り込み社会現象となる大ヒットを記録。2015年から始まった新しい波を起こす映画人と交流をするニューウェーブアワードも、ブレイク前に映画祭に訪れ、多くの若手製作陣と触れ合っていて、俳優やクリエイターの交流の場になっています。映画祭は参加者も、視聴者も新しい発掘と出会いを楽しむ場所でもあります。
◾︎ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020 Powered by Hulu概要
開催期間: 9月18日(金)~9月22日(火・祝)
開催形態: Hulu上での初のオンライン開催 ※映画祭の作品は、会員登録無しで視聴が可能です。
視聴方法: 会員登録は必要ありません。パソコンであれば直接サイト(https://www.hulu.jp/)にアクセス、携帯やタブレット、TVでの視聴の場合にはHuluのアプリをダウンロードし、「ログインせずに使う」もしくは「お試し利用」からアクセスしてください。詳細はこちら(https://help.hulu.jp/hc/ja/articles/360048527673)をご確認ください。Huluのライブ配信は、テレビ、パソコン、スマートフォン、タブレットなどで視聴が可能です。※ライブ配信が視聴可能なリビングルームデバイスの詳細はこちら(https://help.hulu.jp/hc/ja/articles/360044689253)をご覧ください。
Home Page: https://yubarifanta.jp/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000129.000011770.html

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“アイヌの今”を映した「アイヌモシリ」 齊藤工が撮り下ろした写真8点公開

2020-09-19 | アイヌ民族関連
映画.com 2020年9月18日 19:00

写真家・齊藤工が撮影
[映画.com ニュース]トライベッカ映画祭の国際コンペティション部門にて長編日本映画史上初の審査員特別賞を受賞した映画「アイヌモシリ」。写真家としても活躍する俳優の斎藤工が、齊藤工名義で主人公のカントや北海道阿寒湖の雪景色をモノクロームで撮り下ろした、現場スチール写真8点が公開された。
「リベリアの白い血」の福永壮志監督作で、自らもアイヌの血を引く下倉幹人が演技初挑戦にして主演を務め、アイデンティティに揺れる主人公カントを演じた。齊藤は、撮影前から本作を応援しており、冬の撮影時には阿寒に訪れ自らシャッターを切り、今作について「『アイヌモシリ』には “本物”しか映っていない “本当”しか描かれていない 熊のチビの瞳に映るモノは何なのか そしてカントが“アイヌの今”として存在し 我々人間の未来を聡明に照らす」とコメントを寄せた。さらに撮影した1枚を基にデザインイメージを手掛け、オリジナルポストカードを作成。映画公開初日の劇場プレゼントとして限定で来場者に配布される。
北海道阿寒湖畔のアイヌコタンで母と暮らす14歳の少年カントは、1年前に父を亡くして以来、アイヌ文化と距離を置くようになっていた。友人と組んだバンドの練習に熱中する日々を送るカントは、中学卒業後は高校進学のため故郷を離れることを決めていた。そんな中、カントの父の友人だったアイヌコタンの中心的人物デボは、カントをキャンプへ連れて行き、自然の中で育まれたアイヌの精神や文化について教え込もうとする。
「アイヌモシリ」は、10月17日から、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。ポストカード配布日はユーロスペース(10月17日)、札幌シアターキノ(11月14日)他一部劇場にて配布。詳細は映画公式HP(ainumosir-movie.jp)で告知する。
▼齊藤工からのコメント全文
「アイヌモシリ」には
“本物”しか映っていない
“本当”しか描かれていない
実は福永監督は
勝手に福永作品を応援する自分に対して本作への出演を考えて下さった事がある
光栄な事だが本作の脚本を読ませて頂き
すぐに自分の出る幕は無いと確信しそれをお伝えした
それだけ“アイヌの本物”による"アイヌの本当"の世界がそこには描かれていた
結果私は現場スチールの一人として参加させて頂く事となった
現場では
阿寒湖の畔に佇むカントの曇りなきまなこに対し息を呑み
シャッターを切る事を忘れた
福永監督や撮影のショーンはそんな瞳やアイヌの歴史や儀式や日常と対峙し続けた
そして完成した「アイヌモシリ」を観て
自分の判断は間違いなかったと確証した
この世界の中に存在出来るのは
アイヌコタンの皆さんと
リリー・フランキーさん三浦透子さんだけである
熊のチビの瞳に映るモノは何なのか
そしてカントが"アイヌの今"として存在し
我々人間の未来を聡明に照らす
齊藤工
https://eiga.com/news/20200918/14/

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資源大手リオ・ティント、先住民族の遺跡破壊でCEO辞任

2020-09-19 | 先住民族関連
環境ビジネスオンライン 2020年09月18日掲載
資源大手のリオ・ティント(英ロンドン)は9月11日、資源開発を目的にオーストラリアで先住民族の遺跡を爆破した問題で、ステークホルダー(利害関係者)から、経営陣の説明責任対し懸念が表明されたことを受け、ジャン=セバスチャン・ジャック氏が執行取締役・最高経営責任者の職を辞すると発表した。後任の決定、または2021年3月31日のいずれか早い時期に現職を退く。
8月24日レビューを公表「長期間にわたる一連の意思決定、行動、不作為の結果」
同社は8月24日、この問題について、文化遺産管理に関する取締役会レビューを公表していた。これは同社のシステム、意思決定プロセス、ガバナンスのどのような要素が、本来あるべき姿で機能しなかったかを説明し、将来的に同様の事件が発生しないようにするための勧告を示すもの。
全文は無料会員にログインしてお読みいただけます。
残り 65 %
https://www.kankyo-business.jp/news/026086.php

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15歳のニュース 自分のまま演じた映画「アイヌモシリ」 インタビュー・下倉幹人さん(15)

2020-09-19 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2020年9月19日
15歳のニュース
 アイヌを先住民族と位置づけるアイヌ新法や、アイヌ文化の拠点(きょてん)「ウポポイ」のオープンなど、アイヌへの注目が集まる中、映画「アイヌモシリ」が来月17日、全国で公開される。主人公のカントを演じた下(しも)倉(くら)幹人(かんと)さん(15)に作品への思いなどを聞いた。【野本みどり】
 アイヌモシリとは、アイヌの言葉で「人間の国」の意味。カントは北海道の東にある阿寒湖(あかんこ)のアイヌコタン(集落)で暮らし、進路やアイデンティティーに悩(なや)む、14歳(さい)の中学生だ。
 幹人さんがカントを演じたのは、知り合いだった福永壮志(ふくながたけし)監督(かんとく)から声をかけられたのがきっかけだった。「何となくおもしろそう」と引き受けた。
 カントの母エミを演じたのは、幹人さんの母の下倉絵美さん。幼い頃(ころ)から阿寒湖で、アイヌ民族の歌や踊(おど)りに触れて育ち、映画「kapiw(カピウ)とapappo(アパッポ)」ではライブ映像も公開している。阿寒湖で暮らした幹人さんにとって、アイヌの文化は身近なもので、踊りやアイヌ語も阿寒湖のコミュニティーの中で学んだ。
 映画の中では、カントたちがバンドで、アイヌ語の歌を歌うべきなのかどうか、意見が割れるシーンがある。幹人さんもバンドでギターボーカルを担当し、日本語からアイヌ語に訳した曲も演奏するなど、カントと幹人さんには共通点が多い。
 撮影(さつえい)で何回も撮(と)り直しとなり、幹人さんが悩んだシーンがあった。「イオマンテ」(熊(くま)送りの儀式(ぎしき))のために、大切に育てていた小熊が連れていかれるところだ。「小熊が殺されるのを止められなかったら、カントはどのような感情になるのか。自分では理解できず、考えてプレッシャーになった」と、幹人さんは振(ふ)り返(かえ)る。
 阿寒湖に住みアイヌ文化に触(ふ)れながら育ったカントは、父の死をきっかけにアイヌの活動に参加することをやめ、高校進学のために故郷を離(はな)れようとする。関東で生まれた幹人さんは、小学2年から阿寒湖に住む。「好奇心(こうきしん)からここから出たいと思っていたけれど、阿寒湖でいろいろなことを経験するうちに、自分にもできることがあるなと感じた」と話す。
 幹人さんは今年春、高校生になり、自宅から離(はな)れて下宿生活をしている。将来については「音楽をやりたい。自己表現を自分でできる人間になりたい」と話してくれた。
プロフィル
 2004年生まれ。阿寒湖畔を拠点(きょてん)に17年に結成された中高生バンド「GREEN Bou Grinbo」でギターボーカルを担当し、日本語からアイヌ語に訳したオリジナル曲なども演奏している。
 ■KEY WORDS
 【アイヌ新法(しんぽう)】
 アイヌ施策(しさく)推進法が2019年に成立・施行(しこう)された。
 【ウポポイ】
 国が初めてアイヌ民族の文化の復興・発展の拠点(きょてん)として整備した民族共生象徴(しょうちょう)空間(愛称(あいしょう)・ウポポイ)が7月にオープンした=写真。
 【イオマンテ】
 熊を殺し、その魂を神の国に送り返す大切な儀式。映画では、長年行われていなかったイオマンテを復活させようとするコタン(集落)の人たちの葛藤も描かれる。
https://mainichi.jp/articles/20200919/dbg/048/040/005000c

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【書評】明治作家の目に映った台湾の真実:佐藤春夫著「佐藤春夫台湾小説集『女誡扇綺譚』」

2020-09-19 | 先住民族関連
ニッポンコム 2020.09.18

一青 妙 【Profile】
佐藤春夫はトラブルに満ちた日本での生活から逃げ出すように、1920年6月、日本統治下の台湾へ向かった。わずか3カ月あまりの旅が、当時新進作家にすぎなかった佐藤春夫に与えたインスピレーションは大きかった。台湾の経験を持ち帰った佐藤春夫は、台湾を舞台にした作品を次々と生み出し、昭和前半を代表する文豪へ成長するきっかけになった。そんな佐藤春夫の台湾体験が詰まった一冊が刊行された。
台湾人から教えられた「佐藤春夫」
「妙,妳知道佐藤春夫來過台南寫了一篇台南的小說嗎?(妙さん、佐藤春夫が台南に来て、台南の小説を書いたことを知っていますか?)」
今から4年ほど前、台南を訪れていたある日のことだ。大正から昭和30年年代にかけて活躍をした日本を代表する作家・佐藤春夫の台湾に関する作品について初めて耳にしたのは、日本人からではなく、台湾人の口からだった。
日本に戻り、教えてもらった作品『女誡扇綺譚』を取り寄せた。
安平、鄭成功、赤嵌城址……。大好きな街の台南と関係のある単語が次々と文中に現れ、ぐいぐいと引き込まれた。一方、「禿頭港」「女誡」など、初めて目にする言葉もあった。調べてみると、禿頭港は後に佛頭港と改められ、その昔、台南市街から安平に流れ込んでいた商用運河のことだった。女誡は女性が守るべきいましめのことだとわかり、ますます興味深く読み込んだことを覚えている。
台湾では、2016年以降、日本の文豪として続々と佐藤春夫の作品が翻訳出版され、今年も恋の世界を描いた『殉情詩集』などを収録した本が刊行されるほど人気が高い。
3カ月の旅、8本の作品
なぜ佐藤春夫の作品に台湾の読者が惹かれるのか。それまでずっと不思議に思ってきた疑問の答えを、本書を読んで見つけることができた。
佐藤春夫が初めて台湾の地を踏んだのは日本人が台湾で“内地人”と呼ばれていた1920年だ。私生活に息が詰まり、筆が進まなくなっていた時期に、台湾で歯科医院を開業した中学時代の友人の誘いを受けた。日本から麻の着物を身に纏い、マラリア用のキニーネを持ち、日台航路で基隆港に着いた。
7月の台湾の暑さに絶句しながらも、基隆から高尾、台南、嘉義、霧社、北港などを巡り、約3カ月の台湾旅行と生活を堪能した末、本書に収められた計8編の物語が誕生する。
そのなかで表題の一作、『女誡扇綺譚』は前述の通り、台南が舞台だ。主人公は日本人新聞記者の「私」。「私」とその友人で台湾人の詩人「世外民」のふたりが、台南の廃屋で遭遇した姿の見えない「声」だけの女性を探すミステリー仕立となっている。
台湾人の気質を「台湾人の古い人には男にも女にも、欧州人などと同じく演劇的な誇張の巧みな表現術がある」と描写していたところに共感した。父親が台湾人だった由縁で、まとまった幼少期を台湾で過ごし、台湾人に囲まれて生活をした私も、そう感じていたからだ。ほかにも、中国大陸の泉州や漳州から多くの人々が渡ってきた台湾人のルーツや信心深いことなども描かれており、佐藤春夫の台湾社会の風習や文化への深い理解をうかがわせる。
先住民社会の現実
埔里から霧社、能高山などを巡った際のことが記述されている『霧社』は、日本統治下の台湾で「蕃人」と呼ばれてきた先住民の暮らしぶりと境遇を織り込んで描かれた物語だ。
台湾には、日本が台湾を統治する以前から、ブヌン族やアミ族、タイヤル族など、山岳地帯を中心に暮らしていた先住民族がいた。彼らの一部は日本人による支配に激しく抵抗したため、日本政府は抑え込もうと理藩政策を実施し、教育の普及を進めて日本語で計算や漢字の勉強を教えた。先住民である自分の名前を「オハナチャン」と呼ぶ者や、片言の日本語を覚えた少女が「フタリ一円五十銭ヨ。ヒトリ一円」などと、内地人相手に売春まがいの行動を取るような場面があり、作者が垣間見たリアルな先住民社会の現実が読み取れる。
収録された8編の物語のうち、私が特に気に入ったのは『蝗(いなご)の大旅行』だ。6ページという超短編の作品だが、他の7編は全て人対人の会話であるのに対し、主人公の「僕」が昆虫の「蝗」と対話する設定が面白い。
嘉義あたりから彰化の二八水駅(現・二水駅)までの汽車で、「僕」の真向かいに座ったのが「蝗」。この小さな同行者との旅物語を筆者は“本当の童話”と断って綴っている。筆者自身が童心に返り、明るくて軽い気持ちになっていることが随所に散りばめられているが、結末は「蝗君。大旅行家。ではさようなら。用心し給え——『途中でいたずらっ子につかまってその美しい脚をもがれないように。失敬。』」と締めくくり、何かグリム童話のような残酷さも漂っている。
緻密な風景や建物の描写
それにしても、3カ月ほどの台湾旅行でこれだけの物語を編み出せたのは、よほど台湾が筆者に新しいインスピレーションを残したからに違いない。
特記すべきは、どの物語でも、建造物や風景の描写が緻密であることだ。読者はたちまちその世界へと想像を広げ、実際に訪れた気分になれる。佐藤春夫自身が「女誡扇綺譚の建物や安平の風景は実景のつもりである。その他は中部地方での見聞きに空想を雑えて作った」と書く通り、旅紀行物語として溢れ出すほどの情報が詰まっており、現実と物語の境界線がわからなくなるほど写実的だ。
私は、台湾で幼少期を過ごし、記憶のなかの「台湾」を持っている。佐藤春夫が織りなす物語から、自分の中に眠っていた40年前の台湾の記憶がみずみずしく蘇った。廃墟と榕樹が似合う街。虹、鳥、花……。台湾の景色や空気感などは、幾年月が経とうとも、今も昔もあまり変わっていないことを本書から教わった。
新型コロナウイルスの影響で、これまで何の足枷もなく往来できた台湾が一気に遠くなった。台湾好きの日本人は「台湾ロス」に陥っている。私も間違いなくそのうちのひとりだ。だからこそ、佐藤春夫の台湾作品に一層引きつけられる。
台湾旅行から百年、台湾では展示も
今年、台南の台湾文学館にて「百年之遇——佐藤春夫1920台湾旅行文学展」が開かれている。今を生きる台湾人が、100年前の日本人の目を通し、どのように描かれているかに注目が集まっているそうだが、心配無用だと思う。
なぜならば、台湾人ならなおさら、作者の描く台湾の往時の姿に自分たちが暮らす現在の台湾を重ね、ノスタルジーにかられるからだ。100年前の佐藤春夫が感じた台湾を、台湾の人たちも受け入れるに違いない。
本書では、佐藤春夫を研究してきた実践女子大学文学部の河野龍也教授が作品の選定を行い、解説を寄せている。この解説を読めば、さらに佐藤春夫が台湾に渡った時代背景が浮き彫りとなるだろう。各物語の扉絵のモノクロ写真が、各作品をより立体的に増幅させる一助となっている。
再び台湾を訪れることが叶うときには、本書を片手に、舞台となった場所を見つけたり、あれこれと想像したりしながら、佐藤春夫の足跡をぜひ辿りたい。それまでは、100年前の記述を頼りに、脳内で台湾の余韻に浸ろう。
佐藤春夫台湾小説集『女誡扇綺譚』
佐藤春夫(著)
発行:中央公論新社
文庫判:320ページ
価格:1000円(税別)
発行日:8月21日
ISBN:978-4-12-206917-6
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/bg900205/

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Idris Ackamoor & The Pyramids Shaman! Strut

2020-09-19 | 先住民族関連
ele-king.net Sep 18,2020 UP

 シャバカ・ハッチングスや彼の参加するサンズ・オブ・ケメット、ヌビア・ガルシア(ヌバイア・ガルシア)、モーゼス・ボイドら、ザラ・マクファーレンらの作品には、アフロ、カリビアン、ラテン、レゲエなど第3世界の音楽とスピリチュアルなジャズが結びついたモチーフが頻繁に登場する。こうしたディアスポラなアイデンティティとアフロ・フューチャリズム的な方向性が、彼らサウス・ロンドンのジャズの柱にあると言えるのだが、そうした活動を1970年代からおこなっているのがアイドリス・アカムーアと彼の率いるザ・ピラミッズである。以前『アン・エンジェル・フェル』(2018年)がリリースされたときに彼らのプロフィールや活動の軌跡については触れているので今回は省略するが、カマシ・ワシントンやサウス・ロンドン勢の近年の活躍に触発され、アイドリス・アカムーアのようなスピリチュアル・ジャズのレジェンドやベテランが、彼らが1970年代にやっていたような音楽をいまの時代に再び更新するような動きを見せている。ゲイリー・バーツとマイシャの共演、アーチー・シェップとダム・ザ・ファッジマンクの共演、エイドリアン・ヤングとアリ・シャヒード・ムハマドの『ジャズ・イズ・デッド』シリーズもそうした流れから生まれたものだし、最近では1970年代にニューヨークのロフト・ジャズの一翼を担ったアラン・ブラウフマンが、なんと45年ぶりの新作を発表した。
 『アン・エンジェル・フェル』に関しては、アイドリス・アカムーアの共同プロデューサーにマルコム・カット(ヒーリオセントリックス)がつき、彼のミキシングを生かしたアフロ・ダブ的な手法が印象的だった。また、2014年に起こったマイケル・ブラウン射殺事件を取り上げた楽曲も収録するなどブラック・ライヴズ・マターとも結びついた作品だったが、今年もジョージ・フロイド事件など白人警官による黒人市民の射殺事件がアメリカで起こり、世界中で抗議運動が広まるなかでアイドリス・アカムーア&ザ・ピラミッズの新作『シャーマン!(祈祷師)』が発表された。
 今回もマルコム・カットがプロデュースを担当したロンドン録音で、ピラミッズのオリジナル・メンバーであるマルゴー・シモンズ(マーゴ・アカムーア)や前作にも参加したサンドラ・ポインデクスターは参加するものの、そのほかはピラミッズを刷新した編成となっている。ヒーリオセントリックスのメンバーのジャック・イグレシアスほか、ルベン・ラモス・メディーナ、ジオエル・パグリアッツィアなど、ラテンやヒスパニック系のミュージシャンが多く参加していて、やはりラテンやアフロ的なリズムが肝となっている点は変わらない。そうしたラテン・リズムという点では “タンゴ・オブ・ラヴ(愛のタンゴ)” のようにアルゼンチン・タンゴを用いた楽曲があり、ここでは往年の『ラスト・タンゴ・イン・パリ』のガトー・バルビエリを彷彿とさせるアイドリス・アカムーアのサックス・ソロが聴けるほか、サンドラ・ポインデクスターのヴァイオリンやマルゴー・シモンズのフルートが印象に残る演奏を繰り広げる。
 アルバムは4部構成で、それぞれ「懺悔の火の儀式」「永遠の片鱗」「我々を支える肩(大地)の上で」「クロティルダ号の400年」というサブ・タイトルが付けられる。宗教的で観念的なタイトルだが、このうちクロティルダ号とは19世紀の南北戦争直前に使われた最後の奴隷船である。このパートには “ザ・ラスト・スレイヴ・シップ(最後の奴隷船)” や “ドゴン・ミステリー(ドゴン族の神秘)” とアメリカの奴隷制度について言及した曲があり、自身のルーツであるアフリカに思いを馳せ、現在の人種差別反対運動へとリンクしている。“ヴァージン” とはアフリカの処女なる大地のことを示しているのだろうが、これぞピラミッズと言うべき土着的で雄大なアフロ・ジャズとなっている。現在のマリ共和国の先住民族についての “ドゴン・ミステリー” もアフリカ民謡を下敷きとした楽曲で、ボビー・コッブによるムビラやマルゴー・シモンズによるバンブー・フルートが素朴な音色を奏でる。“ザ・ラスト・スレイヴ・シップ” は瞑想的でサイケデリックな味わいで、クルアンビンあたりの音楽性に通じるものもある。
 表題曲の “シャーマン!” は自然による治癒について述べられており、フォーキーなサウンドにアイドリス・アカムーアによるポエトリー・リーディングが交わるイントロダクションを経て、ジャズ・ファンクへと突入していく12分超えの大作である。中間はアフロビートに合わせてヴォーカルとバック・コーラスのコール&レスポンスが繰り返される展開で、ギル・スコット・ヘロンのようなフォークとスピリチュアル・ジャズ、フェラ・クティのようなアフロビートが融合したような楽曲である。この “シャーマン!” と “タンゴ・オブ・ラヴ” による「懺悔の火の儀式」を経て、「永遠の片鱗」は “エタニティ(永遠)” と “ホエン・ウィル・アイ・シー・ユー?(いつ君に再会できるの?)” の2曲で構成される。“エタニティ” は古代文明をイメージさせる荘重かつエキゾティックな楽曲で、フォーク・ロック調の “ホエン・ウィル・アイ・シー・ユー?” は世界中を旅するジプシー・バンドのピラミッズの歌である。「我々を支える肩(大地)の上で」は “サルヴェーション(救済)” と “テーマ・フォー・セシル” から成る。アイドリス・アカムーアによるフリーキーで重量感のあるテナー・サックス・ソロが展開される “サルヴェーション” では祖先への敬意を示し、“テーマ・フォー・セシル” はアイドリスがメンターとして慕うセシル・テイラーに捧げられている。
 なお、『アン・エンジェル・フェル』のアルバムのアートワークも非常に秀逸だったが、今回のアルバムはジョージア・アン・マルドロウやシャフィーク・フセイン、マーク・ド・クライヴ・ロー、ユナイティング・オブ・オポジッツなどを手掛けるトキオ・アオヤマによるもので、これまた素晴らしいペインティングとなっている。小川充
http://www.ele-king.net/review/album/007819/

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八剣山ワイナリーに芸術の薫り 19日にギャラリー開設 札幌

2020-09-19 | アイヌ民族関連
北海道新聞 09/18 21:12 更新
 札幌市南区砥山のワイン醸造所「八剣山ワイナリー」は19日、地元在住のアーティストの作品を展示する「八剣山ギャラリー」を施設内にオープンする。6月には地元食材を楽しめるレストランも開業しており、文化と食で地域を盛り上げたい考えだ。
 2階建て延べ床面積約270平方メートルのワイナリー施設のうち、1階と2階の約60平方メートルをギャラリーに改装した。ともに南区在住で、小金湯に工房を構える陶芸家川口英高さん(63)と、アイヌ文化をテーマにした版画や彫刻を手がける作家結城幸司さん(56)の作品を常設展示する。将来は、地元アーティストによる特別展も企画する考えだ。
 1階では隣接する醸造施設での仕込み作業を窓越しに見学することができ、2階の展望デッキからは目の前に広がる敷地内のブドウ畑と、八剣山の景観を楽しめる。
 八剣山ワイナリーの亀和田俊一代表(67)は今年6月、地元食材を使った料理やワインなどを楽しめる「八剣山キッチン&マルシェ」をオープン。食だけでなく芸術面からも地域の魅力を伝え、市民交流の場を作りたいとギャラリーを開設した。「自然豊かな八剣山のテロワール(土地の個性や風土)を感じてほしい」と話す。
 入場無料。午前10時~午後5時。(服部貴子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/461834

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ゴールデンカムイが200話まで無料公開、マンガアプリ「ヤンジャン!」でキャンペーン

2020-09-19 | アイヌ民族関連
ケータイ Watch 2020/09/18 12:45
 集英社とand factoryは、マンガアプリ「ヤンジャン!」において漫画「ゴールデンカムイ」を200話まで無料公開する。期間は10月5日まで。
 ゴールデンカムイは、野田サトルによる少年漫画。日露戦争終結後まもない頃の日本を舞台に、アイヌが隠した莫大な埋蔵金をかけて戦いに挑む元陸軍兵士杉本佐一の活躍を描く。
 TVアニメ3期の放送開始および原作漫画第23巻の発売を記念して期間限定で無料公開される。期間中、アプリ内で利用できる限定のアイコンが入手できるほか、ヤンジャン!から作品をツイッターでシェアしてヤンジャン!公式ツイッターアカウントをフォローすることで原作者の直筆サイン色紙が抽選で1人にプレゼントされる。
https://news.goo.ne.jp/article/k_tai/trend/k_tai-1277953.html

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女に説教したがる男、災害時にパニックを起こすエリート、「徒歩」の歴史…幅広いテーマに切り込む作家、レベッカ・ソルニットの魅力

2020-09-19 | 先住民族関連

FINDERS 9/18(金) 18:01

※編集註:この文章は、9月18日に出版されたレベッカ・ソルニット『【定本】災害ユートピア』(亜紀書房)掲載の巻末解説「レベッカ・ソルニットを読み解く 災害ユートピアが生まれた背景」(執筆:渡辺由佳里)を基として、漢数字の年月日表記の英数字化など、最低限の表記変更を加え、FINDERS編集部が付けた記事タイトル・小見出しを挿入しております。2010年に邦訳版が出版されて以来、日本でも地震・台風など大型災害が発生する度に言及されてきた同書ですが、定本版では旧版での抄録部分、原注などを完全収録し、60ページに上る増補も加わっているとのこと。ぜひこの機会に読んでみてください。
思想家?社会活動家?フェミニスト?
私は、2020年刊行の『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)の翻訳を担当したのをきっかけに、日本でのレベッカ・ソルニットの愛読者とソーシャルメディアなどで言葉を交わすことが増えた。そこで気づいたのが、読者によってソルニットという人物の捉え方が異なるということだった。
『ウォークス 歩くことの精神史』や『迷うことについて』が好きだと言う人は、ソルニットを博学な思想家として捉えているようだし、『暗闇のなかの希望』に共感したやや年配の男性にとってはリベラル左派の社会活動家の印象が強いようだ。そして、『説教したがる男たち』を読んだ女性読者は、フェミニズムの代表的論者としてのソルニットに強い共感を覚えている。
私がソルニットについて初めて触れたのは、『説教したがる男たち』の元になったエッセイについてだった。現在では「マンスプレイニング」という言葉が日本でもよく使われるようになっているようだが、私が「なぜ男は女に説明したがるのか? アメリカでも揶揄されるmansplaining」というエッセイをケイクスに書いた2015年当時には、アメリカでも新しい用語だった。これはMan(男)とexplain(解説)を掛けあわせた造語で、あるオンライン辞書は「男性が、(そのトピックについて)中途半端な知識しかないにもかかわらず、自分のほうが相手(特に女性)よりも詳しいという誤った前提にもとづき、見下した態度で語りかけること」と説明する。ソルニット自身が作ったわけではないが、この造語が流行語になったきっかけは、彼女が2008年4月にロサンゼルス・タイムズ紙に載せたエッセイだった。
ソルニットがまだ40歳くらいの頃に、友人と一緒にリゾート地アスペンの大金持ちの別荘でのパーティに出席した。雰囲気に馴染めなくて立ち去ろうとしたのだが、パーティ主催者である年配の男性につかまって質問攻めにあい、その年に刊行した写真家エドワード・マイブリッジの本、『River of Shadows: Eadweard Muybridge and the Technological Wild West』について語ろうとした。すると、マイブリッジという名前を耳にした男性は、すぐさま「それで君は、今年出版されたマイブリッジについての重要な本のことを知っている?」と話をさえぎり、いかにも「教えてやる」という独善的な態度で、その「重要な本」について彼女に解説し始めた。ソルニットの友人が、「それは彼女の本よ」と何度も割り込んだのに、男性はそれにすら耳を傾けようとしなかった。そのうえ、彼は『ニューヨーク・タイムズ』紙の書評だけで、この「重要な本」について読んですらいなかったというオチもある。
このマイブリッジの本でソルニットを知ったアメリカ人にとっては、彼女は歴史ノンフィクションの著者のイメージがあるだろう。
けれども、日本では、本書『災害ユートピア』でソルニットを知った人が多いようだ。日本で最初に刊行されたのが2010年12月で、その3ヶ月後に東日本大震災が起こったというタイミングも大きかったと思う。動揺し、不安を抱える多くの読者が、この本から何かを得ようとしたのだろう。震災直後のソーシャルメディアでは、被災地の人々に対する差別や専門家への誹謗中傷などやるせないことが目についた。けれども、現地ではソルニットが書いたような住民たちの支え合いが起こっていた。この書でのソルニットは、『暗闇のなかの希望』に通じる社会活動家であり、エリート層に踏みつけられている人々の代弁者である。
それぞれの読者から見えるソルニットのイメージは異なるようだが、私にとってはいずれのソルニットも違和感がない。『ウォークス 歩くことの精神史』や『迷うことについて』の原書を読んだときも、自分の人生に重ねて共感を覚えた。たとえば、私は重度の方向音痴であるにもかかわらず異国でひとりきりで歩くのが好きで、よく道に迷う。道に迷うことで怖い思いをしたこともあるが、迷ったからこそ得られた思いがけない宝物のような体験も数え切れないほどある。人生においても、目標に向かって直進したことがなく、よく迷路に入り込んでしまう。日本の田舎の中学生だったときに弁論大会で、「人混みに埋もれて見えなくなる自分になりたくない」「そこに道があるから歩くのではない。自分が歩くから道ができるのだ」といったことを語ったときから、それを実践するために大小の旅と闘いを続けてきた気がする。その過程で、想定していなかった自分に変わっていく。ソルニットの書くものはすべて、彼女が歩き、迷ってきた過程を反映していると思うのだ。
ひとりの女性が、どんな社会問題に対して強く感じ、それについて書こうと思うようになったか
人間には多くの側面があってあたりまえなのだが、ひとつの専門的な側面しか見せないことが多い。ひとつの面で知られるようになると、別の側面を見せにくくなる。周囲からのプレッシャーだけでなく、自分で自分に制限を与えてしまう。
けれども、ソルニットはそれをしない。自分が強く感じることや興味を抱くことの中に自ら飛び込み、体験し、掘り下げ、幅広い知識につなげて自分の言葉で語る。その知識の大きな箱の中に入っているのは、ギリシャ神話であったり、おとぎ話であったり、アメリカ先住民族の歴史だったりする。社会問題を語るときでも、激しい口調で糾弾するのではなく、神話や伝説を交え、詩的な言葉でストーリーテリングをしてくれる。私がソルニットに共感するのはその部分だ。
2020年3月にアメリカで発売されたソルニットの回想録、『Recollections of My Nonexistence』を読んで、ソルニットというよりも、私が彼女に共感を覚える理由がさらに理解できるようになった。
回想録と言っても、そこはソルニットのことだから、普通の回想録ではない。どんな子供時代を送って、どんな学校でどんな体験をしたとかいった説明はないし、リニアに進むわけでもない。けれども、ひとりの女性が、どんな社会問題に対して強く感じ、それについて書こうと思うようになったのかは感じ取ることができる。
家族問題なども抱えていたソルニットは、高校には行かず15歳でGEDという検定試験に合格して高校卒業に相当する証書を得た。16歳からコミュニティ・カレッジに通い、17歳で4年制のサンフランシスコ州立大学に転入した。貧乏だった彼女は、19歳のときに自分の予算内で住めるアパートを見つけ、その時から黒人の住民が多い地区で暮らし始める。このときのソルニットは「自分が誰なのか、どうやってその人物になるのか、その答えをみつけようとする、まだ初期の段階だった」と振り返る。けれども、この地域に住むことで、ソルニットは自分が特権階級の白人であることや、女であるというだけで命の危険にさらされるという現実を把握するようになった。彼女は、自分の体験からマジョリティの傲慢さとマイノリティの苦痛に目を向けるようになったのだ。
観察眼と分析力があるソルニットは、自分にはそれを文章で表現する能力があることも感じていた。その能力に磨きをかけるためにカリフォルニア大学バークレー校のジャーナリズム大学院に入学したのだが、生真面目な大学生よりも若くてパンクロック的な彼女には、あまり合わなかったようだ。同級生たちはニューヨーク・タイムズ紙の一面記事を書く硬派の記者を目指していたが、ソルニットはエッセイストになりたかった。
ソルニットが書きたいと思ったのは、「直線的で論理的(linear and logical)なものよりも、直感的で連想的(Intuitive and associative)」、そして「もっと親密でリリカル(more intimate and lyrical)」な文章だった。とはいえ、硬派のジャーナリズムを学ぶのは決して無駄なことではなかった。どのようにして物事を探し出すのか、どうファクトチェックをするのかといったことを、ソルニットはここで徹底的に学んだのだ。
環境問題を書くようになったのにも、彼女の個人的な体験が関わっている。ソルニットがネバダ核実験場での大規模な反核抗議運動に初めて参加したのは1988年のことだが、その運動をオーガナイズしていたひとりが彼女の弟だった。
その間にも、ソルニットは「ハングリー」でい続けた。食べることよりも、愛されることや、物語、書物、音楽、権力にハングリーだった。そして、何よりも「真に自分自身の人生(truly mine)」を生きることと、「自分自身になること(become myself)」に対してハングリーだった。
飢えを自覚できるのは、お腹が空いているのに食べ物を手に入れることができない者だけだ。ソルニットが「真に自分自身の人生」を手に入れようとしてあがいているときに何度も邪魔したのが女性に対する社会の構造的差別であり、ミソジニー(女性蔑視)だった。若い女性は、独り歩きをしているだけでレイプされたり、命を失ったりする危険がある。しかも、そうなったときに女性のほうが責められる。仕事でも、女性というだけでまともに扱ってもらえないことがある。そういったことで深まるのは、「ひとりの人間として公平に扱われ、尊敬される」ことへの強い飢餓だ。
私は1960年生まれで、1961年生まれのソルニットとはほぼ同い年だ。育った国は異なるが、同じような思いを抱えて生きてきた。学生運動がまだ盛んだった1970年代後半には、「社会正義」で拳を振り上げる男子学生たちが平気で女子学生に身の回りの世話をさせていたし、私が普段から考えていることを口にすると、男子学生から「難しいことを言うと可愛くないよ」と言われた。信用していた知人から性的暴力を受けたこともある。20代後半に企業で責任ある仕事をいくつも押し付けられていたときには、社長から「あなたの給与のほうが多いとわかると、男性社員が士気をなくすから」と仕事に見合う給与を拒否されたことがある。
こういった体験がない人には、そのとき私やソルニットが感じた怒りや、女として生きることの独自の「飢え」を理解しにくいと思う。社会活動家としてのソルニットに共感を覚えても、フェミニストとしてのソルニットに違和感を覚えるとしたら、この「飢え」を体験したことがないからかもしれない。
飢えを体験するのはアンラッキーであり、ラッキーでもある。なぜなら、飢えの体験なしには、個性的で卓越したエッセイストとしてのソルニットはありえないからだ。
数々の体験と、そこから導き出す学び、それらにもとづいて取る行動、それらの積み重ねが人物を作りあげる。同じ体験をしても、それをどう捉えるのか、そこから何を学ぼうとするのか、それぞれの選択で、異なる人物が出来上がる。それがソルニットの書く、「あなたの人生は線ではなく、何度も、何度も分岐していく枝で描かれるべきだ(Your life should be mapped not in lines, but branches,forking and forking again)」ということなのだ。
多くのアメリカ人ですら知らないアメリカ西部の歴史を語るソルニットも、環境問題を語るソルニットも、トランプ政権を批判するソルニットも、若きフェミニストらから尊敬されるソルニットも、すべてひとりの女性であり、60年近く「真に自分自身の人生」を生きようとしてきたひとりの人間である。
きっと、読者のみなさんも、他人が知らない多くの側面を持ったひとりの人間であることだろう。そのユニークな複雑さに価値がある。
だからこそ、あなたが知らなかったソルニットの側面に出会ったとき、そこから目を背けないで欲しい。それは、あなたが知らなかった「飢え」を知るチャンスなのだ。そして、あなたの人生に沢山の枝葉ができるきっかけなのだ。
『災害ユートピア』を読むときに、この文章を書くに至ったひとりの女性の人生を想像していただくと、さらに素晴らしい読書体験ができることだろう。
渡辺由佳里 Yukari Watanabe Scott
エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家、マーケティング・ストラテジー会社共同経営者
兵庫県生まれ。多くの職を体験し、東京で外資系医療用装具会社勤務後、香港を経て1995年よりアメリカに移住。2001年に小説『ノーティアーズ』で小説新潮長篇新人賞受賞。翌年『神たちの誤算』(共に新潮社刊)を発表。『ジャンル別 洋書ベスト500』(コスモピア)、『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』(晶文社)など著書多数。翻訳書には糸井重里氏監修の『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』(日経ビジネス人文庫)、レベッカ・ソルニット著『それを、真の名で呼ぶならば』(岩波書店)など。最新刊は『ベストセラーで読み解く現代アメリカ』(亜紀書房)。
連載:Cakes(ケイクス)|ニューズウィーク日本版
洋書を紹介するブログ『洋書ファンクラブ』主催者。
https://news.yahoo.co.jp/articles/083a3ed076fb03b11d5402edb5f2c795b3114c21

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