北海道新聞2024年8月16日 18:41(8月16日 19:37更新)
文化庁が再審査の対象とした日本遺産「カムイと共に生きる上川アイヌ」の認定継続を目指し、大雪山麓上川アイヌ日本遺産推進協議会(事務局・上川町)が地域活性化計画の見直しに着手する。財源確保やツアーガイド育成など課題が山積する中、実効性のある内容にできるかが焦点となる。
神に祈りをささげる儀式「カムイノミ」=2021年3月(西野正史撮影)
■コロナによる観光開発の遅れが影響
「コロナ禍が明け、これから活動を活発化させていくというタイミングだったので残念」。先月下旬、再審査が決まると、協議会事務局の担当者は肩を落とした。文化庁は理由を公表していないが、ストーリーを生かした取り組み不足などが影響したとみられる。
「カムイと共に―」は上川、十勝両管内の12市町が申請し、2018年度に認定された。アイヌ民族の伝承がある大雪山系の景観や儀式など21の文化財で構成する。
協議会はこうした文化財を観光振興に生かそうと、アイヌ文化を体験できるツアーの実施やホームページの作成などに取り組んできた。そこにコロナ禍が直撃。20年度の上川管内の観光客数は前年度と比べ48.5%減の980万4千人まで落ち込んだ。
このため、18年1月に提出した計画で掲げた文化財のストーリーを生かした本格的なツアー開発や、地元食材を使ったメニューの商品化などに着手できず、観光振興につなげられていないのが実情だ。
■財源、ガイド育成が課題
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(聞き手・小林健太郎)