河北新報 2024年12月29日 12:00
石巻市出身の歴史研究家毛利総七郎(1888~1975年)が明治から昭和にかけて収集した「毛利コレクション」に関し、市博物館は21日、収集品のアイヌ民族資料に焦点を当てた講座を同市開成のマルホンまきあーとテラス(市複合文化施設)で開いた。学芸員の泉田邦彦さん(35)が、収集の意義やその関連人物について解説した。
毛利総七郎とアイヌ民族資料収集に関わった人物、その関係性について紹介した講座
市博物館で開かれている毛利コレクション特集展に合わせて開催。市民ら約30人が聞き入った。
泉田さんは、毛利コレクションを共同管理していた洋服店店主で収集家の遠藤源七、収集活動の支援をした東京在住のデザイナー杉山寿栄男を紹介。資料収集を巡る3人の手紙をひもとくなどして、収集の背景や経緯を説明した。
3人は1939年11月、収集旅行のため北海道を訪問。骨董(こっとう)商からアイヌの腰刀やキセルなどを購入した。実際にアイヌと会ってその日常生活にも触れたといい、泉田さんは「コレクションのアイヌ資料は、どのように使われるものか-という視点で集められている」と説明した。
アイヌ資料はその後、値段が高騰し、骨董商でも仕入れが難しくなったという。杉山は旅行後の手紙で「よく品物が残っていたものだ」と言及した。
石巻市鹿又の70代主婦は「毛利コレクションは知っていたが、どのような内容なのか今回知ることができて良かった」と話した。
特集展は来年3月9日まで。午前9時~午後5時、月曜と年末年始(28日~1月4日)は休館。一般300円、高校生200円、小中学生100円。