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ヘイトスピーチ法成立 差別許さぬ不断の努力後押しを

2016-05-28 | アイヌ民族関連
愛媛新聞-2016年05月26日(木)
 特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)をなくすための対策法が、おととい成立した。
 「適法に日本に居住する日本以外の出身者や子孫」に対し、生命や身体に危害を加える旨を告知したり、著しく侮蔑したりする「不当な差別的言動は許されない」と明記。国や自治体に相談体制の整備や教育、啓発の充実を求める。ただ、憲法が保障する表現の自由を侵害する恐れがあるとして禁止規定や罰則は設けず、理念法にとどめた。
 「違法」とまでは位置づけられず、罰則や具体策に欠けるなど実効性への疑念は拭えない。それでも、ヘイトスピーチが社会悪であることを国として初めて明確に示した意義は大きい。法の理念をくんで行政が積極的に対策に乗り出せば、一定の抑止効果も期待できよう。
 だが、懸念されるのは「適法に居住」「日本以外の出身者」の要件。野党が「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と批判したが、与党は修正しなかった。
 これでは難民認定の申請者や外国人旅行客なども対象外。何より、差別を受けない権利は在留資格の有無にかかわらず、等しく保障されるべきだ。より弱い立場の人々を切り捨て、救済範囲を極力狭めようとする姿勢は、到底看過できない。
 表現の自由の侵害を危惧すべきはむしろ政権側の「乱用」。自民党は、ヘイトスピーチ対策にかこつけ国会周辺の政治デモの規制を検討しようとした「過去」がある。沖縄をはじめ政治的な動きへの抑圧につながらぬよう、監視が欠かせない。
 そもそも日本政府の対応は、遅きに失した感が否めない。
 1965年に国連で採択された人種差別撤廃条約に、日本が批准したのは30年遅れの95年。その後も人種差別禁止法の制定を放置、しびれを切らした国連委員会から3回も勧告された。昨年野党が出した人種差別撤廃法案は、与党の反対で継続審議に。対象を絞ってようやく成立したが、半世紀に及ぶ政治の不作為は怠慢と言うほかはない。
 放置の結果、ヘイトスピーチのデモは国の調査で1152件(2012年4月~15年9月)も起きている。京都朝鮮学園の授業妨害を巡る訴訟で、14年に団体側に賠償を命じた判決が確定した後は減少傾向だが、沈静化には程遠い現実を憂慮する。
 一方で、大阪市では1月、ヘイトスピーチ抑止条例が成立。また、各地で住民が無言の抗議や、デモを人の輪で阻む「反差別」行動も起こし始めた。法の後押しを受けつつ、不断の努力を続ける重要性を痛感する。
 改めて、ヘイトスピーチの実態は表現の自由を逸脱した差別・暴力であり、人種や国籍による差別は許されない人権侵害―との認識を胸に刻みたい。国や自治体、国民一人一人がその良識を共有し、法の成立を、差別なき社会への一歩を自発的に踏み出す契機とせねばならない。
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201605264687.html

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『ディストラクション・ベイビーズ』&『ヒメアノ〜ル』、門間雄介が“ヤバい映画”を分析

2016-05-26 | アイヌ民族関連
Business Journal (風刺記事) (プレスリリース)-2016.05.25

【リアルサウンドより】
 真利子哲也監督、柳楽優弥主演『ディストラクション・ベイビーズ』が絶賛されている。
「面白い映画ができました」
 試写の前、真利子監督はニコニコしながら言った。「ぜひ楽しんでください」。でもこれは「面白かった」とか「楽しかった」とか、そういったシンプルな感想とは最も縁遠い作品だろう、多くの人にとって。
 確たる理由もなく人に殴りかかり、伸されてもまた這いあがる獣のような男。柳楽扮する主人公の泰良はそういった男だ。彼のその野蛮な力に、ある者は翻弄され、ある者は惹きつけられ、またある者は恐れを抱く。あたかも暴力そのもの、暴力の化身のような泰良は、観る人に『ダークナイト』のジョーカーや『ノーカントリー』のアントン・シガーを想起させるかもしれない。でもジョーカーやシガーが凶行の果てに快楽を見出すのと違い、泰良はただ反射的に、膝を叩けば足がピョンと跳ねあがるような無意識の反応として、ひたすらに凶行をくり返す。だからそこには、善も悪も、快楽の欠片すらもない。あるのは混じりけのない純粋な暴力だけだ。
 そんな抽象的で象徴的なキャラクターを、柳楽は限りなく透明で、限りなく血なまぐさい存在として演じている。あ、野獣だ。その動物的な芝居に思わず目をみはる。彼のフィルモグラフィーを振りかえるとき、カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した『誰も知らない』以上に、ある意味重要な意味合いを持つのが『許されざる者』だ。「誰?」。彼を観ても、はじめは彼だとわからなかった。クリント・イーストウッド監督の西部劇を、明治時代初期の蝦夷地に移し替えたこの作品で、彼が扮したのは和人の血を引くアイヌの青年。その野性味あふれるたたずまいには、かつてのあどけない面影どころか、スマホを眺め、カフェにたむろするような現代人の痕跡すら微塵もない。
これは憑依か投影か、いったいなんなのか。『誰も知らない』は俳優=柳楽優弥を産み落とした記念すべき作品だが、そのポテンシャルを本格的に開花させたのは『許されざる者』だ。『ディストラクション・ベイビーズ』はそんな彼の才能が隅々まで目いっぱい解き放たれた作品になった。
 インディペンデントの奇才として、その商業映画デビューが長く長く待望されてきた真利子にとっても、もちろんこの作品はブレイクスルーの一作になるだろう。力の暴発を描く映画はこれまでにもたくさん存在した。でもほとんど言葉を発することなく、心のうちをさらけ出すこともない、なおかつ作品のラストまで役名が明かされないキャラクターを主人公に据えたことで、真利子は現代的な暴力の匿名性や拡散性に言及する。作品の冒頭、主人公の背後に寄り添うカメラが、このキャラクターの視点と観る人の視点を重ねて提示するのは、彼はあなたであり僕でもあり、あるいは何者でもないのかもしれないというリアリティーだ。泰良の暴力が菅田将暉扮する高校生の裕也、小松菜奈扮するキャバ嬢の那奈に感染し、しまいには村上虹郎扮する弟の将太をも取り込もうとするのも、また泰良の暴行がSNSによってシェアされたりリツイートされたりしていくのも、もともと彼の記名性を強く持つはずの行為が、拡散し、やがて名無しの誰かの暴力に変質していくさまをとらえている。そんな自爆テロやメディアリンチにも通じる性質を長い射程に収めた真利子の嗅覚。卓越している。
 菅田、小松、村上、それから池松壮亮といった既に引く手あまたのキャストに加え、北村匠海、岡山天音、吉村界人ら、関係者が一様に注視する20代前半から10代後半の俳優を起用し、一定の期間、彼らを地方ロケのために拘束しているのも、考えてみればすごいことだ。
「オリジナル脚本、地方が舞台、このテーマ……プロデューサーが嫌がることを商業デビュー作で全部やっている」
 そんなことをぶつくさ言いながら、なぜかうれしそうだった表情が忘れられない。撮影が終了して間もない頃の西ヶ谷寿一プロデューサーだ。真利子の中編『NINIFUNI』をプロデュースし、TVシリーズ『ノーコン・キッド ~ぼくらのゲーム史~』『ディアスポリス -異邦警察-』でも真利子を監督のひとりに指名した彼が、確かな関係性を育み、昨今の日本映画ではなかなか成立しにくい企画を推し進めた。彼のプロデュース作品には共通点がある。冨永昌敬監督『パビリオン山椒魚』『パンドラの匣』、沖田修一監督『南極料理人』『横道世之介』、井口奈美監督『犬猫』『人のセックスを笑うな』、岨手由貴子監督『グッド・ストライプス』。インディペンデントの才能に機会を与え、世に出し、その後へと至る道筋をどう付けるか。彼の続くプロデュース作品は、『横道世之介』で脚本を務めた劇作家、前田司郎の監督2作目『ふきげんな過去』だ。スタッフに関して付記するなら、同じく『ふきげんな過去』や『ディアーディアー』で撮影を手掛ける佐々木靖之のカメラが、ある種のみずみずしさとともに登場人物らの破滅的と言っていい刹那を記録することに成功している。
 ヤバい映画を作ろう。まるで示し合わせたかのように、バイオレンスを妥協なく描こうとする映画が立て続けに公開される。でもエグい描写を盛り込んだからといって、それでヤバい映画ができあがるほど話は単純じゃない。その点、『ヒメアノ~ル』はよく練りあげられた構成のもと、緊張と弛緩の緩急を自在に使い分け、日常に不意に侵入してきた連続殺人鬼の恐怖を体感させる。
 前半の童貞臭あふれる日常はイカ臭く馬鹿馬鹿しく。一点して殺人鬼の狂気が日常に浸潤する後半は残酷で凄惨に。脚本も自ら書いた吉田恵輔監督の腕が冴えわたる。『さんかく』『ばしゃ馬さんとビッグマウス』など、恋愛を中心に人間の関係性を底意地悪く見つめたオリジナル脚本作で評価の高い吉田だが、古谷実のコミックを実写化した本作でも彼の持ち味は失われていない。いや、それどころか人間の闇に深く切りこむことで、脚本も演出も覚醒したと言っていいだろう。
 唸ったのはこんなシーンだ。濱田岳扮するチェリーボーイの岡田は、高嶺の花だったユカと思いもかけず結ばれ、イチャイチャベタベタしている。一方、森田剛扮するシリアルキラーの森田は、手駒のようにこき使う同級生とその婚約者に襲われるが、反対に彼らを惨殺する。その明と暗の対比を、後背位で絶頂に至るユカと背後からメッタ刺しにされ失禁する婚約者のカットバックで見せる、鮮やかさ、嫌らしさ、惨たらしさ!
 森田剛扮する冷酷無比な森田は、荒み、乾ききって、人間らしい血とも涙とも無縁だ。すぐそこにいそうな、ごく普通の青年を演じさせたら、濱田の右に出る者はいないこともあらためてわかる。他にも、ユカ役の佐津川愛美、風変わりすぎる先輩役のムロツヨシなど、キャスティングは的確で抜かりがない。『ヒメアノ~ル』。これは紛れもなくヤバい映画だ。
■門間雄介
編集者/ライター。「BRUTUS」「CREA」「DIME」「ELLE」「Harper's BAZAAR」「POPEYE」などに執筆。
編集・構成を行った「伊坂幸太郎×山下敦弘 実験4号」「星野源 雑談集1」「二階堂ふみ アダルト 上」が発売中。Twitter
■公開情報
『ディストラクション・ベイビーズ』
公開中
監督・脚本:真利子哲也
脚本:喜安浩平
出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎、池松壮亮、北村匠海、三浦誠己、でんでん
配給:東京テアトル
(c)2016『ディストラクション・ベイビーズ』製作委員会  
公式サイト:distraction-babies.com
『ヒメアノ〜ル』
5月28日(土)、TOHOシネマズ 新宿ほか全国公開
監督・脚本:吉田恵輔
原作:古谷 実
出演:森田剛、濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ 
配給:日活
(c)2016「ヒメアノ〜ル」製作委員会
公式サイト:himeanole-movie.com/
http://realsound.jp/movie/2016/05/post-1768.html

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アイヌ語トランプと日本のことわざかるた 及川久美子さん、訪日外国人向けに考案

2016-05-26 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 (2016年 5/25)

アイヌ語トランプと日本のことわざかるたを手にする及川さん
 苫小牧市弥生町に住む及川久美子さん(57)が、訪日外国人向けにアイヌ語トランプと日本のことわざかるたを作成した。トランプは苫小牧西港フェリーターミナルの土産店「メモリア」、かるたは新千歳空港国際線ターミナルビル内の売店「小笠原商店」で販売中。及川さんは「外国の人たちが、アイヌ語や日本のことわざを覚えるきっかけになれば」と話している。
 トランプとかるたはアイヌや日本の文化を広く知ってもらおうと、増え続ける外国人観光客をターゲットに作成。トランプはアイヌ文化の伝承者として知られる平取町二風谷に住む山道康子さんの協力を得て、約半年間かけて完成させた。
 アイヌ文化に関心を持ち、長年、アイヌ語に触れてきた及川さんは「道内の地名の大半はアイヌ語に由来している。北海道が誇れる文化だが、消滅の危機にある」と話す。実際、国連教育科学文化機関(ユネスコ)も世界の約2500ある言語の中で、アイヌ語は消滅の危機にあると指摘している。
 トランプはカードの上半分にさまざまなアイヌ語を記載。発音をカタカナとローマ字で表記し、その下に日本語と英語で語句の意味を記している。54枚すべて違う単語で構成している。
 ことわざかるたも、外国人に日本のことわざの意味を知ってもらおうと取り札の裏側には、表側にローマ字で書かれていることわざの英訳とその意味を英文で記載した。及川さんは「トランプやかるたといった遊びから、日本とアイヌの文化を感じてほしい」と、期待を寄せる。
 アイヌ語トランプは1000円(税込み)、ことわざかるたは2000円(同)。紀伊國屋書店札幌本店などでも販売している。
http://www.tomamin.co.jp/20160538758

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時評 5月 「日本」の真実 境界にいる者のみが知る=田中和生

2016-05-26 | アイヌ民族関連
毎日新聞2016年5月25日 東京夕刊
 二〇二〇年開催予定の東京オリンピックについて、日本の大手広告代理店が仲介して適切ではない金銭授受があった可能性があり、フランス検察当局が捜査しているという報道が、イギリスの「ガーディアン」電子版(五月一一日付)に出た。二億円という金額も、国際的な信頼という意味でも、舛添要一東京都知事の公私混同した金銭問題よりはるかに重要なはずだが、日本のマスメディアで報道される比重はまったく逆である。
 不思議だと思っていたら、フランスのネット記事「電通は日本のメディアを支配しているのか?」(マチウ・ゴレン記者)の翻訳が目に入り、そこから本間龍『原発プロパガンダ』(岩波新書)を読み、あらためて報道の自由度が世界七二位である日本の現状を実感した。三・一一の震災後に虚偽であることが明らかになった「クリーンエネルギー」である原発の「安全神話」を生んだ、電気料金に上乗せできる広告費によって維持される政・官・財一体の「大本営発表」体制は、おそらくいまも健在である。
  ■   ■
 こうした広告という生活の一部が政治的な役割を担い、戦前から変わらない「空気を読む」文化のなかで、真実が語られにくくなるという日本のメカニズムは、現在の文学作品にも影を落としている。たとえば寓意(ぐうい)的な作品を得意とする三崎亜記は、中篇(ちゅうへん)「愛国の魚群」(『すばる』)で東西冷戦後の韓国と北朝鮮のように、分断されているらしい近未来の日本を描く。語り手の「私」が所属しているのは、愛国心によって宗教を克服した国民が自発的に「大本営発表」を信じる、東経一三八度以東の「分断日本東」である。
 そこに震災以前の日本がそのまま残ったような、劣っているとされる隣国の「分断日本西」から研修生がやってくる。国際政治を学んでいるという研修生と「私」のやりとりは、徹底的にすれ違うが、しかし憲法九条と自由が生きている「分断日本西」が、その生活とメディアと政治が一体化した「分断日本東」を相対化する力をもつわけではない。たがいに理解を絶したまま気を遣いあって、どこに「日本」の真実があるのかわからない不透明さが残るのが、作品としても不気味だ。
 女性として結婚と出産を無意識に強いられる、生身の身体が所属する世界が正しいとは思えず、コンビニの店員としてシステムに身を委ねる方が心地よいという女性を描いた、村田沙耶香の中篇「コンビニ人間」(『文学界』)は、とくにコンビニの描写が秀逸だ。ただどちらの世界にも真実がないという感触が三崎作品に通じ、一つの限界になっているようにも思える。こうした不透明さを突破するためには、真実が語られない日本的な世界の境界まで言葉をもっていく必要がある。
  ■   ■
 そのような意味で、日本語による現代文学のひとつの理想型を提出しているのが、津島佑子の遺作となった長篇『ジャッカ・ドフニ』(集英社)だ。作者自身を思わせる語り手の「私」は、震災後半年ほどになる日本にいて、北海道網走にある北方民族博物館を訪れる。そうして思い出すのは、二十六年前に幼い息子と訪れたことがあり、昨年閉館したばかりの、トナカイ遊牧民ウィルタ族の資料館「ジャッカ・ドフニ」である。
 アイヌ民族の口承文芸「カムイ・ユカラ」にも魅せられている「私」は、日本的な世界の外にある言葉を求めるように、少数民族が生きる土地に立って想起する震災前の自分を「あなた」と呼び、その「あなた」に流れ込む言葉を記録する。そしてそこから力強く立ち上がってくるのは、アイヌの血を引く北海道生まれの孤児で、江戸時代に入って迫害されているキリシタン一行と津軽から長崎、さらにマカオへと海を渡って流転して生きる女性「チカ」の物語だ。
 アイヌ語で鳥(チカップ)の名をもつ「チカ」は、十七世紀でオランダが支配するバタビアまで辿(たど)りつき、そこで子を産んで生を刻みつける。その「水に流されて」豊かに命を育む「チカ」の物語は、かつて「水に流されて」息子を失った「あなた」の記憶と対になり、震災後にいる「私」の「ジャッカ・ドフニ」、ウィルタ語で「大切なものを収める家」まで届く。こうしてウィルタやアイヌの隣には、被災者や日々見えない放射能に苦しむ被曝(ひばく)者がいることに気づかされるが、それはつまりわれわれ自身のことである。
 おなじく境界にいる者の姿を突きつけてくるのは、群像新人文学賞を受賞した崔実(チェシル)の長篇「ジニのパズル」(『群像』)だ。東京からハワイ、さらにオレゴンへと学校を変わってきたらしい「私」は、アメリカ合衆国という境界の外で、かつて日本にいた自分について語る。そこに生々しく浮かび上がってくるのは、日本生まれの在日朝鮮人である「私」が、中学生になって通うことになった朝鮮学校での日々である。
 北朝鮮からデポドンが発射された二十世紀末の日本で、チマチョゴリを着て北朝鮮指導者の肖像が掲げられた学校へ通う、日本語しか話せない「私」は境界そのもののような存在だ。だがその「私」の生きづらさは、真実が見えない日本的な世界の「真実」を表現している。力強い新人の登場だ。(文芸評論家)
http://mainichi.jp/articles/20160525/dde/018/070/009000c

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憎悪表現対策法 差別許さぬ社会に向けて

2016-05-26 | アイヌ民族関連
西日本新聞2016年05月25日 10時35分
 特定の民族や人種に対する差別的言動の根絶を目指すヘイトスピーチ(憎悪表現)対策法がきのう衆院本会議で可決、成立した。
 憲法が保障する表現の自由を侵す恐れがあるとして禁止規定や罰則は設けなかった。いわゆる理念法で実効性を疑問視する声もあるが、差別を許さない社会づくりに向けた契機と捉えたい。
 ヘイトスピーチは2013年ごろから顕在化した。在日コリアンが居住する東京・新大久保地区などで一部団体が「日本から出て行け」「殺せ」など聞くに堪えない掛け声を上げながら集団で行進する。常識を疑う恥ずべき行為だ。法務省によると、こうしたデモは年間約300件が確認された。
 街頭で耳にする側は恐怖心さえ覚えることを知るべきである。同時に、日韓併合(1910年)によって朝鮮半島の人たちが日本に住むようになった歴史的経緯を改めて正しく認識すべきだ。
 法案は与党の自民、公明両党が共同提案し、参院で野党案を一部取り入れ衆院に送付されていた。
 ヘイトスピーチを許してはならないのは当然である。法制化の最大の問題は「言論」に対する規制の可否だった。法の規定が曖昧では公権力が拡大解釈して恣意(しい)的に運用する恐れがあるからだ。
 今回の対策法は、保護対象を日本以外の出身者や子孫で日本に適法に居住する者と限定した。その上で、地域社会から排除することや危害を加えることをあおったり、著しく侮蔑したりすることは「許されない」とし、国や自治体に啓発と教育を求めている。
 地区出身者やアイヌ民族など実際にヘイトスピーチの矛先が向いた人たちが含まれていない。不十分であることは提案者側も認め、付則で今後の検討課題とした。法の趣旨に沿い、生命を脅かすなど悪質な行為には既存の法令を適用するなどして対応したい。
 そもそも基本的人権を尊重する成熟した社会ならば本来、こうした法律は無用であるはずだ。対策法を必要とする社会のありようもまた問われているのではないか。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/247493


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【父の教え】「好奇心を育て、知ることの楽しさ教えてくれた」 言語学者・金田一秀穂さん

2016-05-26 | アイヌ民族関連
産経ニュース-2016.5.25 09:08更新

「今月、父の十三回忌でした。長くも短くもなく、こんなものなんでしょうね」と語る金田一秀穂さん=東京都三鷹市
 親しみやすいユニークな語り口で日本語の面白さを伝えている言語学者の金田一秀穂さん(63)。アイヌ語の研究で名高い祖父、京助さんから3代続く学者の家系。日本語の方言や音韻、アクセントの研究で大きな功績を残し、辞書の編者としても有名な父、春彦さんは、普段の会話を通して物事を知ることの楽しさを教えてくれた。
 明治生まれで厳格、家庭を顧みずに研究に打ち込んだ祖父に比べると、大正生まれの父は家族思いで「俗物」だった。「お金を稼ぐこと、有名になることが大事。家族としては(祖父より父の方が)ありがたい。『~しなさい』と父に言われた覚えはありません。遠くから見守ってくれている、という感じでしたね」
 国語学者だった父だが、本でさえ「これを読め」と命じたことはなかった。愛読していた「三国志」「十八史略」といった中国の歴史書は薦めてくれたが、「これ、面白いぞ」とそっと置いていくだけだった。
 何かを強制することはないが、面白いと思うことは子供たちと楽しんだ。
 小学生だった頃、方言の研究を兼ねて講演で全国を歩いた父には、何百枚もの年賀状が届いた。それを差出人の住所で都道府県ごとに分け、日本地図を作っていた。「『あ、島根だ』とか言って、父は喜んでる。僕は僕で『謹賀新年』とか『迎春』とか祝詞で分けた。それで去年より『謹賀新年』が多いぞ、なんて父に報告する。すると父は『ふうん』と感心してすごく喜んでくれましたね」
 混沌(こんとん)とした物事を、ある基準に基づいて分類し、整理する。それはあらゆる研究の第一歩だ。日々の発見を伝えると、いつでも感心してくれた。自然な好奇心を育て、知ることの面白さを教えてくれた。
 大学では心理学を専攻したが、卒業後は定職に就かず、3年ほど「今でいうニート」だった時期がある。好きな時間に起きて本を読み、散歩する。「父は特に何も言わなかった。僕のことを信頼して、待っていてくれた」
 そんなふうに過ごしていた昭和54年、父の仕事に同行して中国を訪れた。昼間、父が講義をする間に街を歩き、寄席のようなものをやっている場所など興味深いところを見つけては、父と2人で改めて出かけた。「僕ね、好奇心だけはあるんです。僕の好奇心は父も好き。つまり、面白いと思うことが一緒なの」
 中国旅行の後、外国に出たいとぼんやり考えていた頃、「日本語を教える仕事があるぞ」と教えてくれたのも父だ。春彦さんのキャリアは戦中、中国人留学生に日本語を教えることに始まる。父の背中を追って「ニート」から脱し、中国や米国で日本語を教える仕事に就き、現在に至る。「『正しい日本語』なんて言うけれど、父が言っていたように『言葉はみんなのもの』だと僕も思う。みんながその言葉を使って楽しんでいるなら、それでいい。父は『規範』というものから遠いところにいた」
 3代続く言語学者だが、研究に打ち込み功績を残した祖父や父とは違う、と笑う。「でも、正しいとか間違っているとか判断する前に面白がるっていうのは父譲りかな。いいものをもらったと思います」(戸谷真美)                   
◇≪メッセージ≫
 僕は、相変わらず楽しく生きてます。「今こんなことしてる」って話したら、やっぱり「ほお」って聞いてくれるんだろうな。
◇【プロフィル】金田一春彦
 きんだいち・はるひこ 大正2年、東京都生まれ。東京帝大(現東京大)国文学科卒。国語学者。「新明解古語辞典」をはじめとする辞書の編者としても知られる。上智大教授、東京外大教授などを歴任。平成9年、文化功労者。16年、91歳で死去。            ◇【プロフィル】金田一秀穂
 きんだいち・ひでほ 昭和28年、東京都生まれ。上智大心理学科卒、東京外大大学院博士課程修了。中国大連外語学院講師、米ハーバード大客員研究員などを歴任し、杏林大外国語学部教授。専門は日本語教育。著著に「適当な日本語」など。
http://www.sankei.com/life/news/160525/lif1605250007-n1.html


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解消法成立、国の責務に ヘイト定義は曖昧のまま

2016-05-26 | アイヌ民族関連
産経新聞 5月25日(水)7時55分配信
 自民、公明両党が提出した特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)の解消をめざす法律が24日、衆院本会議で可決、成立した。憲法が保障する表現の自由を尊重し、禁止規定や罰則は設けていない。
 解消法は、在日韓国人らに向けた言動を念頭に、適法に日本に住む日本以外の出身者や子孫に対する「不当な差別的言動は許されない」と明記。対象の言動を「差別意識を助長する目的で、公然と危害を加える旨を告知したり、著しく侮蔑したりして地域社会から排除することを扇動する」ものと定義した。
 相談体制の整備や教育、啓発活動の充実に取り組むことを国の責務と定め、自治体には同様の対策に努めるよう求める。付則では、こうした取り組みについて「必要に応じて検討を加える」とした。
 野党は審議段階で「適法に居住」「日本以外の出身者」との要件に関し「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と批判。これを踏まえ憲法と人種差別撤廃条約の趣旨に照らし、国や自治体に適切な対処を求める付帯決議を採択することで決着した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160525-00000067-san-pol


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(社説)ヘイト対策法 差別を許さぬ意識こそ

2016-05-26 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2016年5月25日05時00分
 特定の人種や民族への差別をあおり、人としての尊厳を傷つける。そんなヘイトスピーチの解消をめざす法案がきのう、衆院本会議で可決、成立した。近く施行される。
 具体的な禁止規定や罰則のない理念法で、効果については意見が割れる。だが「不当な差別的言動は許されない」と明確に宣言する初めての法である。
続きは無料登録
http://www.asahi.com/articles/DA3S12374620.html

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発信箱 これで持続可能?=須山勉

2016-05-25 | 先住民族関連
毎日新聞2016年5月25日 東京朝刊
 東京五輪・パラリンピックの準備を進める組織委員会が17日夜にホームページ上で公表した、ある「基準案」に失望の声が上がっている。「4年前のロンドン五輪、今年のリオデジャネイロ五輪の基準よりも、はるかに劣った内容です」。国際環境NGO「FoE JAPAN」事務局長の三柴淳一さんは指摘する。
 公表されたのは「持続可能性に配慮した木材の調達基準(案)」。組織委は、東京五輪の準備・運営に使う物品をコスト面だけでなく、環境への影響など「持続可能性」の観点から選ぶ方針を掲げている。その第1弾として、競技場の建設工事などに使う木材の基準をまとめたのだ。
 木材問題は国際的に注目されている。マレーシアなどで進む違法な森林伐採が地球温暖化や生態系の破壊に拍車をかけ、先住民族から生活の糧を奪うなど人権侵害にまで及んでいるからだ。日本は主要7カ国(G7)で唯一、違法伐採木材の輸入を規制せず、生コンクリートを固める型枠の合板などに大量使用してきた。G7伊勢志摩サミットが迫った13日の国会でようやく「合法伐採木材等の利用促進法」が成立した(施行は1年後)が、調達基準案の方は、再使用する型枠合板ならば既存の林野庁ガイドラインを守ればOK、と読める。「再使用」の定義もあいまいだ。
 この基準案の検討を重ねた有識者会議の議事録は非公開。国民ヘの意見公募(パブリックコメント)も実質6日間余りで締め切られた。組織委によれば、近く体操会場の工事を発注するため、基準の決定を急ぐという。だがこのまま骨抜きの内容にすれば、組織委がうたう「持続可能性」に世界から疑問符がつけられるだろう。(社会部編集委員)
http://mainichi.jp/articles/20160525/ddm/005/070/034000c

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社説 ヘイトスピーチ 新法生かし根絶しよう

2016-05-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞2016年5月25日 東京朝刊
 特定の人種や民族に対する差別的言動を街頭などで繰り返す「ヘイトスピーチ」のない社会を実現させるきっかけとすべきである。
 ヘイトスピーチ対策法が衆院で可決し、成立した。個人の人権や尊厳を一方的に傷つけるヘイトスピーチが許されないのは当然だ。野党が昨年、人種差別撤廃法案を国会に提出していたが、今国会で与党が対案提出に踏み切り、与党案に沿って審議が急ピッチで進んだ。
 この法律は不当な差別的言動の解消をうたう理念法で、国や地方自治体に、必要な措置を講ずる責務を課す。罰則を伴わないため、ヘイトスピーチの解消には不十分だとの声もある。それでも人権侵害を止める一歩を踏み出したことを評価したい。
 ヘイトスピーチの主な攻撃対象は、在日韓国・朝鮮人の人々だ。歴史的経緯があって日本で生活しており、非難されるいわれはない。だが、執拗(しつよう)なヘイトスピーチにより、恐怖感さえ訴えている。この法律を生かし、警察や自治体には、差別的言動を伴う街頭行動などをさせないよう毅然(きぜん)とした対応を求めたい。
 対策法をめぐって、与野党は主に二つの点で意見が対立した。
 一つはヘイトスピーチの定義だ。与党案は当初、「生命、身体、自由、名誉または財産に危害を加える旨を告知する」としていた。
 ヘイトスピーチは「殺せ」「死ね」などの暴力的な言葉だけでなく「ゴキブリ」などと侮辱的な言葉を投げつけるのが特徴だ。こうした言葉が対象外になってしまうとの野党側の意見を与党は取り入れ、法律には「著しく侮辱する」行為を加えた。
 もう一つが、ヘイトスピーチを受ける対象だ。与党案では「本邦外出身者」として、在日外国人とその家族に限定した。野党側は「アイヌ民族や難民申請者、不法滞在者への差別が許されてしまう」と主張し、修正を求めたが与党は応じなかった。
 妥協の末、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」以外の差別的言動が許されるとの理解は誤りだ、との付帯決議が可決された。
 だが、本来はどんな立場の滞在者であれ、差別的言動にさらされてはならない。その原則に立てば、法律で明確にうたうべきだった。
 ヘイトスピーチをめぐっては、国連人種差別撤廃委員会などが法規制を日本政府に働きかけてきた。こうした動きも踏まえ、地方議会でも法規制を求める意見が相次いだ。
 市民一人一人がヘイトスピーチを許さないことが大切だ。学校教育などを通じた啓発も重要になる。国民の大切な権利である「表現の自由」に留意しながら、ヘイトスピーチの根絶を目指したい。
http://mainichi.jp/articles/20160525/ddm/005/070/039000c

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小島健一県議、米軍基地に抗議する人たちを「"基地外"の方」と発言【自民党・神奈川】

2016-05-25 | ウチナー・沖縄
The Huffington Post | 執筆者: HuffPost Newsroom 2016年05月24日 12時22分 JST 更新: 2016年05月24日 21時45分 JST
自民党の小島健一・神奈川県議(53)が5月8日、東京で開かれたイベントで、沖縄の米軍基地に反対して抗議する人たちを「基地外(きちがい)」と表現していたことがわかった。カナロコなどが報じた。
イベントは、靖國会館で行われた「沖縄県祖国復帰44周年記念 日本民族団結靖國集会」。冒頭の挨拶で小島氏は、「沖縄の基地の周りには、『基地反対』だとか、『オスプレイ反対』だとか、毎日のように騒いでいる方がいます。これを、基地の外にいる方ということで、『きちがい(基地外)の方』という風に私なんかは呼んでおりましたけれども、これは(米軍基地がある)神奈川県も同様でございまして、大変苦慮してございます」と述べた。
この発言について小島氏はカナロコ(神奈川新聞)に対し、次のようにコメントした。
小島氏は23日、神奈川新聞の取材に対して「『基地外』と言っている。ちゃんとイントネーションを変えて発言している。どう想像するかは別だが、差別的な発言はしないように考えている。失言とは考えていない」と述べた。
(「基地反対派は「基地外(きちがい)」 自民・小島県議「失言でない」」より 2016/5/24 02:00)
また、小島氏は沖縄タイムズの取材に対しても「私は差別主義者ではない」などとコメントした。
「私は差別主義者ではない。基地の外で反対運動しているのは好ましいとは思わないし、批判の対象だと思っている。それ以上の意味はない」と答えた。
(神奈川県議、基地反対運動を「キチガイ」と批判 | 沖縄タイムス+プラスより 2016/05/24 08:25)
小島氏は22日、自身のFacebookページで8日の挨拶内容が記載された週刊金曜日の記事を紹介。「私は、自身の発言を失言などとは全く思ってません」などと書き込んだ。さらに23日には、「私は、差別主義者のレッテルをはられそうな勢い」などと主張した。
今回の私にとっての大きな問題は、週刊金曜日が文中で「基地の外にいる方ということで<きちがい>の方というふうに〜」と恣意的に私の発言を平仮名で記載したことであり、その部分を内原記者に抗議をしました。彼は、「基地の外にいる方〜」という部分は削除せず掲載しているから問題ないとの返答でしたが、平仮名ではなく「基地外の方」と表記すべきです。
これにより、私は、差別主義者のレッテルをはられそうな勢いです。
(小島 健一氏Facebookページより 2016/5/23 20:03)
なお小島氏は8日、琉球新報や沖縄タイムズ、神奈川新聞などのメディアについても、次のようにコメントしていた。
「あまり言うと差別と言われるかもしれませんけれども、沖縄には沖縄の琉球新報と、そして、沖縄タイムスという、非常にその、明らかにおかしい新聞がございますが、これを、『潰れろ』と言って非常に非難を浴びた有名な作家の方もいらっしゃいますが、これは本当に、潰れたほうがいいと思っております。神奈川にも、神奈川新聞という三流左翼新聞がございまして、これと私、今戦っているところであります」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/23/kenichi-kojima-okinawa_n_10112146.html

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ヘイトスピーチは対策法では止められない 川崎で6月にデモ計画が 「差別はダメ」と言うけれど

2016-05-25 | アイヌ民族関連
BuzzFeed Japan Originally posted on 2016/05/24 12:14 Updated on 2016/05/24 13:53

東京・新宿でおこなわれた排外デモ(2015年12月20日撮影) Kazuki Watanabe / BuzzFeed
「1匹残らず叩き出してやるからな!」
「ゴキブリ朝鮮人は出てけ!」
特定の出自に向けた罵詈雑言で埋め尽くされる「ヘイトデモ」。その多くは、行政の管理する公園や道路の「使用許可」をとった上で開かれる。
24日に成立見込みの「ヘイトスピーチ対策法」は、これらを規制する切り札になるのか。BuzzFeed Newsはヘイトデモが繰り返される川崎市の担当課や専門家に取材した。
6月にもデモの予定が
川崎市では6月5日にも「川崎発!日本浄化デモ第三弾!」というデモが企画されている。集合場所とゴールとして仮予約されているのは、やはり、市の管理する公園だ。
なぜ、市は断ることができないのか。公園を管理する川崎市みどりの企画管理課に聞いた。
ーー不許可にすることはできないんでしょうか
「ヘイトスピーチなるものをやるというだけで、不許可にするというのは難しいです」
ーーどのようなデモかご存知ですか
「これまでのデモ行進でいろいろなことがあったと聞いてはいます」
ーー在日コリアンの殺害や排斥を唱えていても、断れないんですか
「(今回のデモを企画した)男性の申請はこれまで12回ありましたが、許可をしないと憲法上の表現の自由、集会の自由に抵触する可能性があります。そのため、これまでもずっと許可してきています」
ーーヘイトスピーチ対策法が成立しても、断れないのですか
「この法律が通ったからといって、それをもって不許可にすることはできません。ヘイトスピーチを規制するものではなく、理念法なので」
ーーどういう場合なら断ることになるんでしょうか
「許可をしない要件は、公園の管理に支障が出る場合になります。男性の申請はあくまでデモのスタートとゴール地点としての利用で、これまでも公園の物を壊すなど、管理に影響を与えるような行為は見受けられていません」
川崎市の見解を聞いた限りでは、対策法が目指す「不当な差別的言動の解消」は難しいようだ。一方、神奈川県警は取材に「個別の案件には答えられない」と回答した。
月に川崎であったヘイトデモとそのカウンターデモの様子
弁護士「規制法ができても変わらない」
この法律で、状況は改善されるのか。
「デモはいままで通り、合法的にできてしまいます」。BuzzFeed Newsの取材にそう答えるのは、ヘイトスピーチ問題に詳しい神原元弁護士だ。
「この法は理念法で、『不当な差別言動のない社会を実現しよう』と書いてあるだけ。ヘイトスピーチが違法であると読みとることはできません。つまり、デモは止められないんです。合法的にできるデモを許可をしないとなれば、裁判を起こされたとき、行政は簡単に負けてしまいます」
対象は日本国外出身者……だけ?
このほかにも、課題はつのる。与党案で保護の対象が「合法的に日本に暮らしている人」や「日本国外出身者」となっていた部分に、野党側が反発した経緯もある。非正規滞在者やアイヌ、琉球、被差別の人たちへの差別が、保護される対象から外れてしまうからだ。
最終的には「法律が定義していなければ許されるという理解は誤り」との「付帯決議」を加えることで落ち着いたが、決議には法的な拘束力がない。
それでも「半歩前進」
一方で神原弁護士は「だからと言って、まったく無意味ではありません」とも語る。
この法律では、地方公共団体にも「地域の実情に応じた施策を実施する」ように求めている。つまり、地方自治体が条例を制定して、施設利用に条件を科したり、罰則を設ける根拠になる。
「ヘイトスピーチに対して国の姿勢を示したという意味は大きい。半歩前進です」
理念をどう果たすか
規制か。それとも「表現の自由」か。簡単に答えは出ない。
「『ぶっ殺すぞ』のように、生命身体への害悪の告知がされる、ひどいヘイトスピーチには、条例で罰則を設けるべきだと思っています。一方で、そういう条例が、表現の自由に違反しないのか、という指摘も出てくるでしょう。この議論は今後も続くはずです」
取材の最後、神原弁護士はこう力を込めた。
「もちろん、法案だけでは何も変わりません。国や地方公共団体、そして私たちは、書かれていることをどう果たしていくのか。それが本当に問われているのではないでしょうか」
UPDATE
「ヘイトスピーチ対策法」は5月24日午後、衆院本会議で与党と民進党などの賛成多数により、可決、成立した。
https://www.buzzfeed.com/kotahatachi/no-hate-demo-kawasaki?utm_term=.ojYAw3pvO#.jp6Q4pM5X

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ヘイト対策法成立 差別解消、対応促す

2016-05-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞2016年5月24日 21時19分(最終更新 5月25日 01時20分)

ヘイトスピーチ対策法が成立し、記者会見する参院法務委員会で同法を審議してきた超党派の議員ら=東京都千代田区の参院議院会館で2016年5月24日午後3時半、後藤由耶撮影
 特定の人種や民族に対して差別的言動を街頭などで繰り返すヘイトスピーチの対策法が24日、衆院本会議で可決、成立した。公布日から施行される。禁止や罰則の規定はないが、国などに解消に向けた取り組みを求める内容。不十分との指摘がある一方、「今後の行政対応や司法判断の支えになる」と期待する声も上がった。
 「差別主義者はヘイトスピーチを続けようとするだろうが、いかに対処できるかが、この法律の関門だ」。成立後、与野党の国会議員有志が記者会見し、有田芳生参院議員(民進)は強調した。
 法務省によると、2012年4月〜昨年9月の間、ヘイトデモは1152件を確認。対策を巡って、旧民主などは昨年5月、禁止規定を含む法案を提出したが、与党側は憲法が保障する表現の自由との兼ね合いから難色を示し、今国会に対案を提出した。
 審議では、禁止規定以外にも、アイヌ民族や不法滞在外国人などが保護対象になっていないことが取り上げられた。だが、会期末が迫る中、与野党は早期成立で歩み寄り「人種差別撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処する」との付帯決議を採択することでまとまった。
 会見では、西田昌司参院議員(自民)が「法の趣旨を踏まえ、行政はヘイトスピーチに厳正に対処し、裁判所も判断してほしい」と求めた。法務省や警察庁などのほか、ヘイトデモに悩む自治体も対応を検討する。
 ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士は「国が差別を許さないという立場を明確にしたのは評価できる。市民側も条例制定などを求めることもできるようになる。解消に向けた行政側の覚悟が問われる」と指摘。一方、人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子事務局長は「法改正を重ね、難民認定の申請者や外国人旅行客など(対象から)切り捨てられた人たちを含めていく必要がある」と述べた。【鈴木一生、後藤由耶】
ヘイトスピーチ対策法のポイント
<保護対象>
・適法に居住する日本以外の出身者や子孫
<ヘイトスピーチの定義>
・差別意識を助長する目的で、公然と生命や身体などに危害を加えると告げることや、著しく侮蔑し、地域社会からの排除をあおる不当な差別的言動
<国と地方自治体の責務>
・相談体制の整備や、差別解消のための教育や啓発活動の充実などの施策を実施
http://mainichi.jp/articles/20160525/k00/00m/040/081000c

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岡崎 武志・評『夢の歌から』『丹下健三』ほか

2016-05-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2016年5月24日
◆『夢の歌から』津島佑子・著(インスクリプト/税抜き2700円)
 少なくとも20年ぐらい前までは、政治的、社会的事件があると、文学者が新聞雑誌に発言を求められ、もの申す時代があった。いわゆる「炭鉱のカナリア」的役目を現代作家が担ったのである。
 今年2月に逝去した津島佑子の最後のエッセイ集『夢の歌から』を読むと、地上の悲惨を憤り、告発批判する姿勢が、全編に漲(みなぎ)っている。戦争や紛争、先住民アイヌ、国境と民族など、関心は幅広く、どれも硬い骨が貫いている。
 特に「3・11」以後の原発問題には、この国が隠そうとする事実を、絶え間なく追求している。世界に友人を持つ著者は、震災と事故以来、台北、北京、オタワから「逃げなさい」と呼びかけられ、それでも東京に留(とど)まった。「今、眼を離すわけにはいかない」と感じたからだ。
 「この地上を照らす『いのち』の美しさ。かけがえのなさ」を「生の喜び」だと著者は言う。盟友だった中上健次への熱い思いも、本書で初めて知った。
◆『丹下健三−−戦後日本の構想者』豊川斎赫・著(岩波新書/税抜き840円)
 エンブレム、新国立競技場の改変続きでゴタゴタする2020年東京オリンピック。そこで比較に出されるのが旧東京五輪だ。優美で斬新な代々木・国立競技場を設計したのが『丹下健三』だった。
 建築史家の豊川斎赫(さいかく)は、世界に名を馳(は)すこの先覚者を「戦後日本の構想者」として位置づける。敗戦後の焼け跡に、広島平和記念公園を作り、東京都・香川県の庁舎、国立競技場、大阪万博お祭り広場など、戦後を象徴するモニュメントを作った丹下。
 「美しきもののみ機能的である」と名言を遺(のこ)した建築家は、単体として設計するのではなく、「建築が都市・国土と有機的に結びつくことを絶えず目指して来た」。戦後民主主義の実践として、市民に開放したコンセプトで設計された香川県庁がそれを証明する。
 また、丹下シューレの下、薫陶を受けた弟子たち(たとえば磯崎新(あらた)など)の活動も、一章を割いて紹介している。いま丹下健三あらばと、思わずにはいられない。
◆『君よ観るや南の島』川村湊・著(春秋社/税抜き2300円)
 言われて気づいたが、日本映画史には沖縄を舞台、あるいはテーマにした作品の系譜がある。「ひめゆりの塔」「沖縄やくざ戦争」、そして「ウルトラマン」。川村湊(みなと)『君よ観るや南の島』は、スクリーンに映し出された沖縄を検証し、そこから戦後日本の社会や人間像を逆に照射する試み。「日本列島(ヤポネシア)の南端の沖縄は、日本という国家の成り立ちや構造や矛盾点が凝縮した形で」表れると著者は考える。基地問題を論じた最終章まで、沖縄を考える手がかりがすべてここにある。
◆『素顔の池波正太郎』佐藤隆介・著(新潮文庫/税抜き460円)
 佐藤隆介『素顔の池波正太郎』は、いまなお人気を博す時代小説作家に近付ける好読み物。若き日より10年来、池波正太郎と接し、「書生」を自任する著者は、その姿を「誰よりも優しく、シビアで、粋だった」(帯文)と評する。銀座の酒場では、自身ではほとんど飲まず、もっぱら「たっぷりチップを弾む」ことを心掛けた。山の上ホテルの天ぷら店では、締めに「白いご飯に醤油を掛けたのを食べさせろ」と要求した「ご飯狂」ぶりなど、池波の私生活を彷彿(ほうふつ)させる。
◆『晩菊』安野モヨコ・著(中公文庫/税抜き580円)
 日本文学は「女体」をいかに描いてきたか? その問いに答えるため、エロスの漫画家・安野モヨコが『晩菊』というアンソロジーを編んだ。太宰治「美少女」、岡本かの子「越年」、芥川龍之介「女体」、そして林芙美子による表題作など8編。「そのしなやかな、すっきりした首と、細い柔かい痩せぎすな胴とが、一つの波から次ぎの波へゆらゆらと波紋が伝わって行くように動いたのです」は、谷崎潤一郎の「富美子の足」。これに応えて、選者が描き下ろす挿絵が何とも色っぽい。
−−−−−
岡崎武志(おかざき・たけし)
 1957年、大阪府生まれ。高校教師、雑誌編集者を経てライターに。書評を中心に執筆。主な著書に『上京する文學』『読書の腕前』など
<サンデー毎日 2016年6月5日号より>
http://mainichi.jp/articles/20160524/org/00m/040/025000c

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ヘイト対策法成立 国に差別表現への対応促す

2016-05-25 | アイヌ民族関連
東京新聞 2016年5月24日 夕刊
 特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)をなくすための対策法が二十四日午後、衆院本会議で可決、成立した。憲法が保障する表現の自由を侵害する恐れがあるとして、禁止規定や罰則はない。法律専門家の間では、実効性を疑問視する見方がある一方、国や自治体に対策を促す根拠になると期待する声も出ている。
 対策法は「適法に日本に居住する日本以外の出身者や子孫」を対象に、差別意識を助長する目的で、生命や身体などに危害を加える旨を告知したり、著しく侮蔑したりすることを差別的言動と定義。こうした行為は「許されない」と明記し、国や自治体に相談体制の整備や、教育、啓発活動の充実を求めている。
 参院法務委員会で参考人として意見を述べた川崎市の在日三世、崔江以子(チェカンイジャ)さん(42)は「子どもの隣で『朝鮮人が一人残らず出て行くまで真綿で首を絞めてやる』と言われた。存在を否定されたのが一番つらかった」と語り、「国が差別を止める側に立ってくれたのは心強い」と対策法を評価した。
 ヘイトスピーチに詳しい師岡康子弁護士は「国や自治体のやるべきことに具体性がないなど不十分な点もあるが、相談窓口の設置や条例の制定を促す根拠にはなる。法律の活用方法を周知していきたい」と話した。
 対策法をめぐっては「適法に居住」「日本以外の出身者」という要件について、野党が「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と批判した。法文の修正には至らず、付帯決議に「国際条約の精神に鑑み適切に対処する」と盛り込むことで決着した。
 旧民主、社民両党などは昨年五月、禁止規定のある法案を参院に提出していた。今年四月に提出された与党案が参院法務委員会で可決された。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016052402000268.html

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