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【映画評】レヴェナント: 蘇えりし者

2016-05-15 | 先住民族関連
BLOGOS-2016年05月14日 19:33
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」につづきアカデミー監督賞を2年連続で受賞したアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の最新作。西部開拓時代に実在した罠漁師、ヒュー・グラスのエピソードをもとにした作品です。観る方もハードですが、たぶん演じた方も相当ハードだったのではないかと想像できます。主演のディカプリオディはオスカーに輝きましたが、ここまでやったら文句ないだろうという壮絶なものでした。
ストーリーはとてもわかりやすい、復讐劇です。けれど、まずなにより絵作りに圧倒されます。冒頭から残酷な殺し合いが勃発するのですが、その模様を観客はいわゆる「神の視点」、俯瞰できる位置からは一度も見せてもらえません。するとどうなるかというと、観客にも登場人物と同様にどこから敵が襲ってくるのかわからない!怖い!となるのです。おそらく、これをIMAX3Dで観られたら、臨場感もすごいものだったことでしょう(←つまり見る機会を逸した)。
観終えてみると、観客に「神の視点」が付託される場面はほとんどありません。カメラは常に登場人物の傍らから事態を映します。だから、どこかドキュメンタリーのような錯覚も覚えます。けれど、実際に映されるのはドキュメンタリーではありえない壮絶な体験の連続なのですから、面白くないわけがありません。特に、ディカプリオとある生き物の「決闘」には息を飲むものがある。今のところ、ぼくの中では「年間ベストバウト」です。
俯瞰する視点の排除はもうひとつ、物語的な意味もあるのではないでしょうか。劇中、カメラと登場人物より上には常に君臨し続けるものがあります。それは自然です。自然のもとでは、動物も人間も、入植者も先住民族も、親も子どももみな平等に映る。どんなに殺し合いをしていても、ともにいつかは土に還るという意味では同じ――そんな深層の意味を感じてしまいます。だから、今回敵役はトム・ハーディも、取り返しのつかないことをするエゴイストなのですが、彼の悪だけ取り上げ憎めないような気もするのです。
「バードマン」にも感じますが、クライマックスで観客は感情をどこにもっていけばいいかわからない、独特の浮遊感を味わいます。その浮遊感も含め、この重厚な作品が忘れがたいものにしています。
http://blogos.com/article/175515/

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日胆の関係者、実現へ一歩前進と歓迎 アイヌ新法制定検討方針

2016-05-15 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 (2016年 5/14)
 政府がアイヌ民族の生活・教育支援を目的とした新法制定の検討に着手する方針を13日のアイヌ政策推進会議(座長・菅義偉官房長官)で決めたことを受け、苫小牧や周辺のアイヌ民族関係者からも歓迎ムードが広がった。新法制定は長年にわたる北海道アイヌ協会の要望事項で、実現に一歩前進した形だ。「差別や経済格差の解消につながれば」と期待する声も出ている。
 「一日も早い制定に向けてスピーディーな政策や施策づくりをお願いしたい」と注文するのは、白老アイヌ協会の新井田幹夫会長(64)。新法制定をめぐる政府の動きに期待感を強め、「1997年に制定されたアイヌ文化振興法は文化の振興が狙いだったが、ようやくアイヌ民族の生活環境と教育面の改善に目を向けてくれた」と歓迎する。
 道が2013年に66市町村に住むアイヌ民族の6880世帯16786人を調査したところ、人口1000人当たりの生活保護受給者は44・8人と、調査対象自治体の平均33・1人を上回った。大学進学率も25・8%と、平均より17・2ポイント低く、生活や教育面の格差の解消が道アイヌ協会をはじめアイヌ民族関係者の長年にわたる願いだった。
 平取アイヌ協会の木村英彦会長(52)も「苦しい生活を送る人はまだまだ多く、経済支援は必要だ」とし、「子供を学校に通わせる資金に乏しい人に対する大学の学費免除制度も設けられれば」と新法実現に期待を寄せる。
 差別解消を願う関係者も。政府が15年度に行った調査によると、アイヌ民族への差別や偏見があると答えた当事者の割合は7割以上に上った。
 苫小牧アイヌ協会の沢田一憲会長(61)は、差別を無くすには「アイヌ民族に対する理解が必要」と指摘し、新法制定の検討作業の中で「アイヌの歴史を多くの国民が学ぶような仕組みを考えてほしい」と強調する。
 アイヌ文化の伝承活動に取り組む市民団体「苫小牧うぽぽ」の佐々木義春会長(64)は「地域でアイヌ文化を育てていくには、学校での教育が重要になる。新法制定の動きを機に、国や道などの行政は文化振興に協力してもらいたい」と求める。
 国会が08年にアイヌ民族を先住民族と決議したことを踏まえ、平取町の萱野茂二風谷アイヌ資料館の萱野志朗館長(58)は「最終的な目標は先住民族としての権利を認める『アイヌ民族法』だ」とし、「その一歩に近づいてきた」と期待感を示した。
 首相官邸で開かれたアイヌ政策推進会議では、菅長官が今後のアイヌ政策について「法的措置の必要性をしっかりと総合的に検討していきたい」と表明し、生活・教育支援の新法制定を検討する方針を打ち出した。
http://www.tomamin.co.jp/20160538425

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北の書棚 『ごまめの歯ぎしり』 /北海道

2016-05-15 | アイヌ民族関連
毎日新聞2016年5月14日 地方版
(計良光範著、寿郎社)
 アイヌ文化や先住民の権利について在野から発言し続け、昨年3月にがんのため70歳で亡くなった著者が、20年間にわたり書きつづったコラム集。差別発言、アイヌ文化振興法、原発事故など、その時々の社会事象について、政治、行政、メディアに対し、反骨精神に満ちた鋭い批評眼を向けている。
 著者は蘭越町出身。1992年に札幌の市民団体「ヤイユーカラの森」を創立し、運営委員長としてアイヌ民族の尊厳回復や文化再生に取り組んだ。書名の「ごまめの歯ぎしり」とは「実力のない者が、憤慨して悔しがったり、いきり立ったりすること」との意味のことわざ。同じタイトルで会報に94〜2014年に連載したコラムを中心に、新聞や雑誌への寄稿など計98編を収録している。
 本書は、出版準備をしていた著者の遺志を引き継ぎ、同団体代表でアイヌ刺しゅう家の妻智子さんが書きかけだった序文を補筆し、一周忌に合わせて刊行した。智子さんは発刊を見届け、3月17日に胆管がんのため68歳で死去した。(尚)(464ページ、2808円)
http://mainichi.jp/articles/20160514/ddl/k01/040/281000c

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ヘイトスピーチ 新法を根絶への力に

2016-05-15 | アイヌ民族関連
信濃毎日新聞(5月14日)
 ヘイトスピーチを許さない姿勢を立法で明確にすることは大きな意義がある。根絶に向け、幅広い取り組みを進める力にしたい。
 ヘイトスピーチの対策法案が参院で可決された。衆院での審議を経て今国会で成立する見通しだ。
 在日韓国・朝鮮人らを標的にして差別をあおる街頭デモなどが今も各地で絶えない。「ゴキブリ、うじ虫は日本から出て行け」といった、聞くに堪えない言葉が浴びせられ、尊厳が傷つけられている状況は、一日も早く変えなければならない。
 法案は、「地域社会からの排除を扇動する不当な差別的言動は許されないことを宣言する」と明記した。解消に向け、国や自治体に相談体制の整備や教育、啓発活動の充実を求めている。憲法が定める「表現の自由」に配慮し、禁止規定や罰則は設けていない。
 ヘイトスピーチは、住民に強い恐怖や絶望感さえ抱かせている。深刻な実態を踏まえ、法による規制を求める声も強い。ただ、表現の自由は民主主義の根幹に関わるだけに、公権力の介入は抑制的でなければならない。
 理念法にとどめたことは一定の評価ができる。表現の自由を守りつつ、差別的な言動がはびこらない社会をどうつくっていくか。法を土台に、国や自治体が責務を果たすとともに、市民の主体的な取り組みが欠かせない。
 対策法案は与党が4月に提出し、参院で一部修正した。それとは別に野党は昨年、差別を禁止する法案を提出していたが、与党案の修正協議に応じた。
 ただ、審議は十分と言えず、心配な点がなお残る。保護の対象が「日本以外の出身者とその子孫」で、「適法に日本に居住するもの」に限定されていることだ。
 ヘイトスピーチは、アイヌ民族や被差別の出身者らにも矛先が向けられてきた。そのことを見過ごすべきではない。
 また、不法滞在の外国人や、正規の手続きを経ずに入国した難民が、保護の枠外に置かれかねない。適法に居住していないからといって、差別する言動が許されるわけではない。
 参院で野党は条文の修正を求めたが、与党と合意に至らなかった。「法が定義する以外の差別的言動は許されるとの理解は誤り」などとする付帯決議を可決したものの、法的拘束力はない。
 あいまいにすれば、人権は守れない。衆院であらためて、突っ込んだ議論をする必要がある。
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160514/KT160513ETI090014000.php

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社説 ヘイト対策法案 差別根絶へ課題は多い

2016-05-15 | アイヌ民族関連
北海道新聞 05/14 08:50
 人種や民族、国籍などによる差別をあおるヘイトスピーチをなくすために、与党が提出した対策法案がきのうの参院本会議で可決した。今国会で成立する見通しだ。野党提出の法案は否決された。
 言葉による暴力と言ってもいい卑劣な行為を社会から根絶しなければならない。法律制定が、その一歩になることを期待したい。
 ただ、法案は実効性や保護する対象など課題が少なくない。衆院の審議で議論を深めてほしい。
 法案は憲法が保障する表現の自由への配慮から禁止規定や罰則のない理念法とし、「不当な差別的言動は許されない」と宣言。国と自治体が相談体制を整備し、教育・啓発活動によって解消を図る。
 在日韓国・朝鮮人の間からは、禁止規定を明記するよう求める声が出ていた。被害の深刻さから、少しでも効果が上がる法律にしてほしいとの訴えはもっともだ。
 一方で、法の運用には慎重さが求められる。禁止規定によって捜査当局の拡大解釈を許し、例えば米軍基地への抗議活動など、正当なデモや集会まで規制されることがあってはならない。
 理念法でも成果を出すには、どのような取り組みをすべきか。与野党は知恵を絞ってほしい。
 野党案では内閣府に実態調査のため有識者の審議会を設置するとしていた。社会の監視の目を広げるために、第三者が関与する仕組みは検討されてもいい。
 法案は差別的言動を「公然と生命、身体、自由、名誉、財産に危害を加える旨を告知し、著しく侮蔑するなど、地域社会から排除することを扇動する」と定義した。
 「著しく侮蔑」は参院法務委員会で与野党の修正協議により追加された。もう一つの焦点は差別的言動から守る保護対象だった。
 与党案は「適法に日本に居住する外国出身者とその子孫」としているが、「人種、民族を理由とする差別」全体を禁止した野党案に比べ範囲は狭い。
 野党は「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と指摘した。
 このため、付帯決議に保護対象以外なら「差別的言動が許されるとの理解は誤りだ」として、「憲法、国際条約の精神に鑑み適切に対処する」との文言を入れた。本来は条文で明確にすべき問題だ。
 熊本地震ではツイッターに在日朝鮮人を中傷するデマが拡散された。付帯決議にはインターネット上での対策実施も盛り込まれており、早急な検討が求められる。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0059024.html

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