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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

発信箱 これで持続可能?=須山勉

2016-05-25 | 先住民族関連
毎日新聞2016年5月25日 東京朝刊
 東京五輪・パラリンピックの準備を進める組織委員会が17日夜にホームページ上で公表した、ある「基準案」に失望の声が上がっている。「4年前のロンドン五輪、今年のリオデジャネイロ五輪の基準よりも、はるかに劣った内容です」。国際環境NGO「FoE JAPAN」事務局長の三柴淳一さんは指摘する。
 公表されたのは「持続可能性に配慮した木材の調達基準(案)」。組織委は、東京五輪の準備・運営に使う物品をコスト面だけでなく、環境への影響など「持続可能性」の観点から選ぶ方針を掲げている。その第1弾として、競技場の建設工事などに使う木材の基準をまとめたのだ。
 木材問題は国際的に注目されている。マレーシアなどで進む違法な森林伐採が地球温暖化や生態系の破壊に拍車をかけ、先住民族から生活の糧を奪うなど人権侵害にまで及んでいるからだ。日本は主要7カ国(G7)で唯一、違法伐採木材の輸入を規制せず、生コンクリートを固める型枠の合板などに大量使用してきた。G7伊勢志摩サミットが迫った13日の国会でようやく「合法伐採木材等の利用促進法」が成立した(施行は1年後)が、調達基準案の方は、再使用する型枠合板ならば既存の林野庁ガイドラインを守ればOK、と読める。「再使用」の定義もあいまいだ。
 この基準案の検討を重ねた有識者会議の議事録は非公開。国民ヘの意見公募(パブリックコメント)も実質6日間余りで締め切られた。組織委によれば、近く体操会場の工事を発注するため、基準の決定を急ぐという。だがこのまま骨抜きの内容にすれば、組織委がうたう「持続可能性」に世界から疑問符がつけられるだろう。(社会部編集委員)
http://mainichi.jp/articles/20160525/ddm/005/070/034000c

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社説 ヘイトスピーチ 新法生かし根絶しよう

2016-05-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞2016年5月25日 東京朝刊
 特定の人種や民族に対する差別的言動を街頭などで繰り返す「ヘイトスピーチ」のない社会を実現させるきっかけとすべきである。
 ヘイトスピーチ対策法が衆院で可決し、成立した。個人の人権や尊厳を一方的に傷つけるヘイトスピーチが許されないのは当然だ。野党が昨年、人種差別撤廃法案を国会に提出していたが、今国会で与党が対案提出に踏み切り、与党案に沿って審議が急ピッチで進んだ。
 この法律は不当な差別的言動の解消をうたう理念法で、国や地方自治体に、必要な措置を講ずる責務を課す。罰則を伴わないため、ヘイトスピーチの解消には不十分だとの声もある。それでも人権侵害を止める一歩を踏み出したことを評価したい。
 ヘイトスピーチの主な攻撃対象は、在日韓国・朝鮮人の人々だ。歴史的経緯があって日本で生活しており、非難されるいわれはない。だが、執拗(しつよう)なヘイトスピーチにより、恐怖感さえ訴えている。この法律を生かし、警察や自治体には、差別的言動を伴う街頭行動などをさせないよう毅然(きぜん)とした対応を求めたい。
 対策法をめぐって、与野党は主に二つの点で意見が対立した。
 一つはヘイトスピーチの定義だ。与党案は当初、「生命、身体、自由、名誉または財産に危害を加える旨を告知する」としていた。
 ヘイトスピーチは「殺せ」「死ね」などの暴力的な言葉だけでなく「ゴキブリ」などと侮辱的な言葉を投げつけるのが特徴だ。こうした言葉が対象外になってしまうとの野党側の意見を与党は取り入れ、法律には「著しく侮辱する」行為を加えた。
 もう一つが、ヘイトスピーチを受ける対象だ。与党案では「本邦外出身者」として、在日外国人とその家族に限定した。野党側は「アイヌ民族や難民申請者、不法滞在者への差別が許されてしまう」と主張し、修正を求めたが与党は応じなかった。
 妥協の末、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」以外の差別的言動が許されるとの理解は誤りだ、との付帯決議が可決された。
 だが、本来はどんな立場の滞在者であれ、差別的言動にさらされてはならない。その原則に立てば、法律で明確にうたうべきだった。
 ヘイトスピーチをめぐっては、国連人種差別撤廃委員会などが法規制を日本政府に働きかけてきた。こうした動きも踏まえ、地方議会でも法規制を求める意見が相次いだ。
 市民一人一人がヘイトスピーチを許さないことが大切だ。学校教育などを通じた啓発も重要になる。国民の大切な権利である「表現の自由」に留意しながら、ヘイトスピーチの根絶を目指したい。
http://mainichi.jp/articles/20160525/ddm/005/070/039000c

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小島健一県議、米軍基地に抗議する人たちを「"基地外"の方」と発言【自民党・神奈川】

2016-05-25 | ウチナー・沖縄
The Huffington Post | 執筆者: HuffPost Newsroom 2016年05月24日 12時22分 JST 更新: 2016年05月24日 21時45分 JST
自民党の小島健一・神奈川県議(53)が5月8日、東京で開かれたイベントで、沖縄の米軍基地に反対して抗議する人たちを「基地外(きちがい)」と表現していたことがわかった。カナロコなどが報じた。
イベントは、靖國会館で行われた「沖縄県祖国復帰44周年記念 日本民族団結靖國集会」。冒頭の挨拶で小島氏は、「沖縄の基地の周りには、『基地反対』だとか、『オスプレイ反対』だとか、毎日のように騒いでいる方がいます。これを、基地の外にいる方ということで、『きちがい(基地外)の方』という風に私なんかは呼んでおりましたけれども、これは(米軍基地がある)神奈川県も同様でございまして、大変苦慮してございます」と述べた。
この発言について小島氏はカナロコ(神奈川新聞)に対し、次のようにコメントした。
小島氏は23日、神奈川新聞の取材に対して「『基地外』と言っている。ちゃんとイントネーションを変えて発言している。どう想像するかは別だが、差別的な発言はしないように考えている。失言とは考えていない」と述べた。
(「基地反対派は「基地外(きちがい)」 自民・小島県議「失言でない」」より 2016/5/24 02:00)
また、小島氏は沖縄タイムズの取材に対しても「私は差別主義者ではない」などとコメントした。
「私は差別主義者ではない。基地の外で反対運動しているのは好ましいとは思わないし、批判の対象だと思っている。それ以上の意味はない」と答えた。
(神奈川県議、基地反対運動を「キチガイ」と批判 | 沖縄タイムス+プラスより 2016/05/24 08:25)
小島氏は22日、自身のFacebookページで8日の挨拶内容が記載された週刊金曜日の記事を紹介。「私は、自身の発言を失言などとは全く思ってません」などと書き込んだ。さらに23日には、「私は、差別主義者のレッテルをはられそうな勢い」などと主張した。
今回の私にとっての大きな問題は、週刊金曜日が文中で「基地の外にいる方ということで<きちがい>の方というふうに〜」と恣意的に私の発言を平仮名で記載したことであり、その部分を内原記者に抗議をしました。彼は、「基地の外にいる方〜」という部分は削除せず掲載しているから問題ないとの返答でしたが、平仮名ではなく「基地外の方」と表記すべきです。
これにより、私は、差別主義者のレッテルをはられそうな勢いです。
(小島 健一氏Facebookページより 2016/5/23 20:03)
なお小島氏は8日、琉球新報や沖縄タイムズ、神奈川新聞などのメディアについても、次のようにコメントしていた。
「あまり言うと差別と言われるかもしれませんけれども、沖縄には沖縄の琉球新報と、そして、沖縄タイムスという、非常にその、明らかにおかしい新聞がございますが、これを、『潰れろ』と言って非常に非難を浴びた有名な作家の方もいらっしゃいますが、これは本当に、潰れたほうがいいと思っております。神奈川にも、神奈川新聞という三流左翼新聞がございまして、これと私、今戦っているところであります」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/05/23/kenichi-kojima-okinawa_n_10112146.html

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ヘイトスピーチは対策法では止められない 川崎で6月にデモ計画が 「差別はダメ」と言うけれど

2016-05-25 | アイヌ民族関連
BuzzFeed Japan Originally posted on 2016/05/24 12:14 Updated on 2016/05/24 13:53

東京・新宿でおこなわれた排外デモ(2015年12月20日撮影) Kazuki Watanabe / BuzzFeed
「1匹残らず叩き出してやるからな!」
「ゴキブリ朝鮮人は出てけ!」
特定の出自に向けた罵詈雑言で埋め尽くされる「ヘイトデモ」。その多くは、行政の管理する公園や道路の「使用許可」をとった上で開かれる。
24日に成立見込みの「ヘイトスピーチ対策法」は、これらを規制する切り札になるのか。BuzzFeed Newsはヘイトデモが繰り返される川崎市の担当課や専門家に取材した。
6月にもデモの予定が
川崎市では6月5日にも「川崎発!日本浄化デモ第三弾!」というデモが企画されている。集合場所とゴールとして仮予約されているのは、やはり、市の管理する公園だ。
なぜ、市は断ることができないのか。公園を管理する川崎市みどりの企画管理課に聞いた。
ーー不許可にすることはできないんでしょうか
「ヘイトスピーチなるものをやるというだけで、不許可にするというのは難しいです」
ーーどのようなデモかご存知ですか
「これまでのデモ行進でいろいろなことがあったと聞いてはいます」
ーー在日コリアンの殺害や排斥を唱えていても、断れないんですか
「(今回のデモを企画した)男性の申請はこれまで12回ありましたが、許可をしないと憲法上の表現の自由、集会の自由に抵触する可能性があります。そのため、これまでもずっと許可してきています」
ーーヘイトスピーチ対策法が成立しても、断れないのですか
「この法律が通ったからといって、それをもって不許可にすることはできません。ヘイトスピーチを規制するものではなく、理念法なので」
ーーどういう場合なら断ることになるんでしょうか
「許可をしない要件は、公園の管理に支障が出る場合になります。男性の申請はあくまでデモのスタートとゴール地点としての利用で、これまでも公園の物を壊すなど、管理に影響を与えるような行為は見受けられていません」
川崎市の見解を聞いた限りでは、対策法が目指す「不当な差別的言動の解消」は難しいようだ。一方、神奈川県警は取材に「個別の案件には答えられない」と回答した。
月に川崎であったヘイトデモとそのカウンターデモの様子
弁護士「規制法ができても変わらない」
この法律で、状況は改善されるのか。
「デモはいままで通り、合法的にできてしまいます」。BuzzFeed Newsの取材にそう答えるのは、ヘイトスピーチ問題に詳しい神原元弁護士だ。
「この法は理念法で、『不当な差別言動のない社会を実現しよう』と書いてあるだけ。ヘイトスピーチが違法であると読みとることはできません。つまり、デモは止められないんです。合法的にできるデモを許可をしないとなれば、裁判を起こされたとき、行政は簡単に負けてしまいます」
対象は日本国外出身者……だけ?
このほかにも、課題はつのる。与党案で保護の対象が「合法的に日本に暮らしている人」や「日本国外出身者」となっていた部分に、野党側が反発した経緯もある。非正規滞在者やアイヌ、琉球、被差別の人たちへの差別が、保護される対象から外れてしまうからだ。
最終的には「法律が定義していなければ許されるという理解は誤り」との「付帯決議」を加えることで落ち着いたが、決議には法的な拘束力がない。
それでも「半歩前進」
一方で神原弁護士は「だからと言って、まったく無意味ではありません」とも語る。
この法律では、地方公共団体にも「地域の実情に応じた施策を実施する」ように求めている。つまり、地方自治体が条例を制定して、施設利用に条件を科したり、罰則を設ける根拠になる。
「ヘイトスピーチに対して国の姿勢を示したという意味は大きい。半歩前進です」
理念をどう果たすか
規制か。それとも「表現の自由」か。簡単に答えは出ない。
「『ぶっ殺すぞ』のように、生命身体への害悪の告知がされる、ひどいヘイトスピーチには、条例で罰則を設けるべきだと思っています。一方で、そういう条例が、表現の自由に違反しないのか、という指摘も出てくるでしょう。この議論は今後も続くはずです」
取材の最後、神原弁護士はこう力を込めた。
「もちろん、法案だけでは何も変わりません。国や地方公共団体、そして私たちは、書かれていることをどう果たしていくのか。それが本当に問われているのではないでしょうか」
UPDATE
「ヘイトスピーチ対策法」は5月24日午後、衆院本会議で与党と民進党などの賛成多数により、可決、成立した。
https://www.buzzfeed.com/kotahatachi/no-hate-demo-kawasaki?utm_term=.ojYAw3pvO#.jp6Q4pM5X

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ヘイト対策法成立 差別解消、対応促す

2016-05-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞2016年5月24日 21時19分(最終更新 5月25日 01時20分)

ヘイトスピーチ対策法が成立し、記者会見する参院法務委員会で同法を審議してきた超党派の議員ら=東京都千代田区の参院議院会館で2016年5月24日午後3時半、後藤由耶撮影
 特定の人種や民族に対して差別的言動を街頭などで繰り返すヘイトスピーチの対策法が24日、衆院本会議で可決、成立した。公布日から施行される。禁止や罰則の規定はないが、国などに解消に向けた取り組みを求める内容。不十分との指摘がある一方、「今後の行政対応や司法判断の支えになる」と期待する声も上がった。
 「差別主義者はヘイトスピーチを続けようとするだろうが、いかに対処できるかが、この法律の関門だ」。成立後、与野党の国会議員有志が記者会見し、有田芳生参院議員(民進)は強調した。
 法務省によると、2012年4月〜昨年9月の間、ヘイトデモは1152件を確認。対策を巡って、旧民主などは昨年5月、禁止規定を含む法案を提出したが、与党側は憲法が保障する表現の自由との兼ね合いから難色を示し、今国会に対案を提出した。
 審議では、禁止規定以外にも、アイヌ民族や不法滞在外国人などが保護対象になっていないことが取り上げられた。だが、会期末が迫る中、与野党は早期成立で歩み寄り「人種差別撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処する」との付帯決議を採択することでまとまった。
 会見では、西田昌司参院議員(自民)が「法の趣旨を踏まえ、行政はヘイトスピーチに厳正に対処し、裁判所も判断してほしい」と求めた。法務省や警察庁などのほか、ヘイトデモに悩む自治体も対応を検討する。
 ヘイトスピーチ問題に詳しい師岡康子弁護士は「国が差別を許さないという立場を明確にしたのは評価できる。市民側も条例制定などを求めることもできるようになる。解消に向けた行政側の覚悟が問われる」と指摘。一方、人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」の伊藤和子事務局長は「法改正を重ね、難民認定の申請者や外国人旅行客など(対象から)切り捨てられた人たちを含めていく必要がある」と述べた。【鈴木一生、後藤由耶】
ヘイトスピーチ対策法のポイント
<保護対象>
・適法に居住する日本以外の出身者や子孫
<ヘイトスピーチの定義>
・差別意識を助長する目的で、公然と生命や身体などに危害を加えると告げることや、著しく侮蔑し、地域社会からの排除をあおる不当な差別的言動
<国と地方自治体の責務>
・相談体制の整備や、差別解消のための教育や啓発活動の充実などの施策を実施
http://mainichi.jp/articles/20160525/k00/00m/040/081000c

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岡崎 武志・評『夢の歌から』『丹下健三』ほか

2016-05-25 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2016年5月24日
◆『夢の歌から』津島佑子・著(インスクリプト/税抜き2700円)
 少なくとも20年ぐらい前までは、政治的、社会的事件があると、文学者が新聞雑誌に発言を求められ、もの申す時代があった。いわゆる「炭鉱のカナリア」的役目を現代作家が担ったのである。
 今年2月に逝去した津島佑子の最後のエッセイ集『夢の歌から』を読むと、地上の悲惨を憤り、告発批判する姿勢が、全編に漲(みなぎ)っている。戦争や紛争、先住民アイヌ、国境と民族など、関心は幅広く、どれも硬い骨が貫いている。
 特に「3・11」以後の原発問題には、この国が隠そうとする事実を、絶え間なく追求している。世界に友人を持つ著者は、震災と事故以来、台北、北京、オタワから「逃げなさい」と呼びかけられ、それでも東京に留(とど)まった。「今、眼を離すわけにはいかない」と感じたからだ。
 「この地上を照らす『いのち』の美しさ。かけがえのなさ」を「生の喜び」だと著者は言う。盟友だった中上健次への熱い思いも、本書で初めて知った。
◆『丹下健三−−戦後日本の構想者』豊川斎赫・著(岩波新書/税抜き840円)
 エンブレム、新国立競技場の改変続きでゴタゴタする2020年東京オリンピック。そこで比較に出されるのが旧東京五輪だ。優美で斬新な代々木・国立競技場を設計したのが『丹下健三』だった。
 建築史家の豊川斎赫(さいかく)は、世界に名を馳(は)すこの先覚者を「戦後日本の構想者」として位置づける。敗戦後の焼け跡に、広島平和記念公園を作り、東京都・香川県の庁舎、国立競技場、大阪万博お祭り広場など、戦後を象徴するモニュメントを作った丹下。
 「美しきもののみ機能的である」と名言を遺(のこ)した建築家は、単体として設計するのではなく、「建築が都市・国土と有機的に結びつくことを絶えず目指して来た」。戦後民主主義の実践として、市民に開放したコンセプトで設計された香川県庁がそれを証明する。
 また、丹下シューレの下、薫陶を受けた弟子たち(たとえば磯崎新(あらた)など)の活動も、一章を割いて紹介している。いま丹下健三あらばと、思わずにはいられない。
◆『君よ観るや南の島』川村湊・著(春秋社/税抜き2300円)
 言われて気づいたが、日本映画史には沖縄を舞台、あるいはテーマにした作品の系譜がある。「ひめゆりの塔」「沖縄やくざ戦争」、そして「ウルトラマン」。川村湊(みなと)『君よ観るや南の島』は、スクリーンに映し出された沖縄を検証し、そこから戦後日本の社会や人間像を逆に照射する試み。「日本列島(ヤポネシア)の南端の沖縄は、日本という国家の成り立ちや構造や矛盾点が凝縮した形で」表れると著者は考える。基地問題を論じた最終章まで、沖縄を考える手がかりがすべてここにある。
◆『素顔の池波正太郎』佐藤隆介・著(新潮文庫/税抜き460円)
 佐藤隆介『素顔の池波正太郎』は、いまなお人気を博す時代小説作家に近付ける好読み物。若き日より10年来、池波正太郎と接し、「書生」を自任する著者は、その姿を「誰よりも優しく、シビアで、粋だった」(帯文)と評する。銀座の酒場では、自身ではほとんど飲まず、もっぱら「たっぷりチップを弾む」ことを心掛けた。山の上ホテルの天ぷら店では、締めに「白いご飯に醤油を掛けたのを食べさせろ」と要求した「ご飯狂」ぶりなど、池波の私生活を彷彿(ほうふつ)させる。
◆『晩菊』安野モヨコ・著(中公文庫/税抜き580円)
 日本文学は「女体」をいかに描いてきたか? その問いに答えるため、エロスの漫画家・安野モヨコが『晩菊』というアンソロジーを編んだ。太宰治「美少女」、岡本かの子「越年」、芥川龍之介「女体」、そして林芙美子による表題作など8編。「そのしなやかな、すっきりした首と、細い柔かい痩せぎすな胴とが、一つの波から次ぎの波へゆらゆらと波紋が伝わって行くように動いたのです」は、谷崎潤一郎の「富美子の足」。これに応えて、選者が描き下ろす挿絵が何とも色っぽい。
−−−−−
岡崎武志(おかざき・たけし)
 1957年、大阪府生まれ。高校教師、雑誌編集者を経てライターに。書評を中心に執筆。主な著書に『上京する文學』『読書の腕前』など
<サンデー毎日 2016年6月5日号より>
http://mainichi.jp/articles/20160524/org/00m/040/025000c

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ヘイト対策法成立 国に差別表現への対応促す

2016-05-25 | アイヌ民族関連
東京新聞 2016年5月24日 夕刊
 特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)をなくすための対策法が二十四日午後、衆院本会議で可決、成立した。憲法が保障する表現の自由を侵害する恐れがあるとして、禁止規定や罰則はない。法律専門家の間では、実効性を疑問視する見方がある一方、国や自治体に対策を促す根拠になると期待する声も出ている。
 対策法は「適法に日本に居住する日本以外の出身者や子孫」を対象に、差別意識を助長する目的で、生命や身体などに危害を加える旨を告知したり、著しく侮蔑したりすることを差別的言動と定義。こうした行為は「許されない」と明記し、国や自治体に相談体制の整備や、教育、啓発活動の充実を求めている。
 参院法務委員会で参考人として意見を述べた川崎市の在日三世、崔江以子(チェカンイジャ)さん(42)は「子どもの隣で『朝鮮人が一人残らず出て行くまで真綿で首を絞めてやる』と言われた。存在を否定されたのが一番つらかった」と語り、「国が差別を止める側に立ってくれたのは心強い」と対策法を評価した。
 ヘイトスピーチに詳しい師岡康子弁護士は「国や自治体のやるべきことに具体性がないなど不十分な点もあるが、相談窓口の設置や条例の制定を促す根拠にはなる。法律の活用方法を周知していきたい」と話した。
 対策法をめぐっては「適法に居住」「日本以外の出身者」という要件について、野党が「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と批判した。法文の修正には至らず、付帯決議に「国際条約の精神に鑑み適切に対処する」と盛り込むことで決着した。
 旧民主、社民両党などは昨年五月、禁止規定のある法案を参院に提出していた。今年四月に提出された与党案が参院法務委員会で可決された。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016052402000268.html

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ヘイト解消法が成立 教育や啓発を国の責務と規定

2016-05-25 | アイヌ民族関連
産経ニュース-2016.5.24 14:09

衆院本会議でヘイトスピーチをなくすための対策法が可決、成立=24日午後、国会(斎藤良雄撮影)
 自民、公明両党が提出した特定の人種や民族への差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)の解消を目指す対策法が24日午後、衆院本会議で可決、成立した。憲法が保障する表現の自由を尊重し、禁止規定や罰則は設けていない。
 対策法は、在日韓国人らに向けた言動を念頭に、適法に日本に住む日本以外の出身者や子孫に対する「不当な差別的言動は許されない」と明記。対象の言動を「差別意識を助長する目的で、公然と危害を加える旨を告知したり、著しく侮蔑したりして地域社会から排除することを扇動する」ものと定義した。.
 国に対し相談体制の整備や教育、啓発活動の充実に取り組むことを責務と定め、自治体には同様の対策に努めるよう求める。付則では、こうした取り組みについて「必要に応じて検討を加える」とした。.
 野党は審議段階で「適法に居住」「日本以外の出身者」との要件に関し、「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と批判。これを踏まえ、憲法と人種差別撤廃条約の趣旨に照らし、国や自治体に適切な対処を求める付帯決議を採択することで決着した。.
 民進党などは禁止規定を設けた法案を参院に提出したが、13日の参院本会議で否決。与党案が参院から衆院に送付されていた。.
http://www.sankei.com/photo/story/news/160524/sty1605240010-n1.html

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基地反対派は「基地外(きちがい)」 自民・小島県議「失言でない」

2016-05-25 | ウチナー・沖縄
女性自身: 2016年05月24日 13:00 JST
自民党の小島健一県議(横浜市青葉区)が都内で開かれた集会で、沖縄県内の在日米軍基地に反対する運動を「基地の外にいるということで『きちがい』」と表現する発言をしていたことが分かった。
小島県議は8日、都内で開かれた沖縄復帰44周年を記念する集会に出席。国連の人種差別撤廃委員会などが沖縄の住民を「先住民族」と認めるよう日本政府に求めた勧告を批判し、勧告の撤回を訴えた。
この中で小島氏は、沖縄の米軍基地周辺で続いている反対運動にも言及。「沖縄の基地の周りには、基地に反対だとかオスプレイに反対だとか、毎日のように騒いでいる人たちがいる。これを、基地の外にいる方ということで『きちがい』と呼んでいる。これは神奈川県も同様で、大変苦慮している」と発言したという。
小島氏は23日、神奈川新聞の取材に対して「『基地外』と言っている。ちゃんとイントネーションを変えて発言している。どう想像するかは別だが、差別的な発言はしないように考えている。失言とは考えていない」と述べた。小島氏は当選4回で、現在は総務政策常任委員長。
http://jisin.jp/serial/other/kanaloco/24043


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