赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

歴史冒険ファンタジー『波のそこにも』(偕成社)

2015-07-10 08:14:17 | その他
末吉暁子先生の長編冒険ファンタジー、『波のそこにも』を読みました。この作品は長い間「鬼ヶ島通信」に連載されたのを書き直しされたもの。絵は佐竹美保さんです。

ひさびさにファンタジーらしいファンタジーを読んだなって、思いました。歴史をベースに思いっきり想像の翼をひろげています。

壇ノ浦の戦いのあと、海にしずんだ皇子が水の底の都(水底の国)にたどりつくなんて、なんともロマンチックでほっとします。あの戦い、皇子が小さすぎて、なんだかかわいそうな結末だったから。

皇子は、なくした宝剣をさがす旅にでます。しかしながら、この皇子、えらそうであまりかわいくない! でも、しょうがないですよね。天皇になる方として、地上ではちやほやされていたのですから。それにあんな戦のあとです。
かわいくなくても責任感はある皇子。必死にさがそうとしますが、でも、簡単には宝剣は見つかりません。

さて、皇子は無事、宝剣を見つけることができたでしょうか? 
それを知りたい方はこの作品を読んでください。最後、こうくるか!って、ラストが待ち受けています。また、あたたかい気持ちにもなれます。

この作品を読んで、もうひとつ感じることは、歴史の輪がつながっているみごとさです。
『血と潮の王』では、古事記をベースに。
『水のしろたえ』では、羽衣伝説をベースに、ファンタジーをかかれているのですが、この『波のそこにも』とあとの2つの作品も登場人物が、自然にリンクされているのです。
それは、ひとつの歴史が、他の歴史とつながりあっているようなもので、そのストーリーラインづくりのたくみさは、胸をうつものがあります。

この三作品は、末吉先生は、ライフワークとして取り組まれたのでしょう。
 古事記を勉強しているのよっと、ずっと以前にお聞きしたことがあります。
今は歴史ブームですが、『血と潮の王』の頃は、先がけのような作品でした。壮大なロマンがあるみごとな作品。こういう作品を読むと、自分の作品が小さくみえて、困ってしまいますね。やはり、鬼の先生方は、いつまでもあこがれの存在です。

末吉先生は、また、鬼ヶ島通信に新しいファンタジーを発表されてすでに、次を見据えていらっしゃいます。柏葉さんや那須田さんの作品も読める「鬼ヶ島通信」は今、『50プラス15号』が発売されてます。新人発掘の鬼の創作道場もあって専用サイトから申し込めますよ。