数々の賞を受賞されている、にしがきようこさんの新刊を読みました。
一瞬、イルカ荘と読みたくなるけど、イカルです。
鳥の名前だとか。
にしがきさんとは俳句の会でごいっしょしたことがあり、そこでバードウォッチングが趣味だという話を聞きました。
今回の作品、バードウォッチングの場面がたくさんでてきます。趣味を作品にもりこんであるんですね。
まず、出だしから、ぐいぐい引きこまれました。にしがきさんの文章は、吸引力があって、きれいで力強く、読み始めるとすいこまれていく。
とくに数々でてくる野鳥の描写が美しい。にしがきさん、野鳥への愛が伝わってきました。
また、さびしさを抱える主人公、真子の心の動きもていねいに書いていっています。
その真子をささせるイカル荘では、インドネシアからの留学生、デフィンがいいキャラをしていて、作品を明るくしています。
そうそう、最近読んで書評を書いた、中島京子さんの作品『ムーンライト・イン』にもインドネシアからの留学生がいい味をだしていました。このごろ、日本人以外のキャラを一人まぜるのはブームなのかも。価値観が違う人がまざると、作品世界に広がりがでますから。
とまあ、とりとめもなく気に入ったところを書いてしまいましたが、
真子がたまたま知り合ったイカル荘で、家族ではない人たちと暮らしながら、成長していく気持ちのいい作品。
読み終わると、すみきった空を飛んでいく、一羽の鳥のすがたが、のうりにうかびます!!
にしがきようこさん、三年ぶりの新作。
ぜひ、たくさんの人に読んでもらいたいと思いました。