赤羽じゅんこの三日坊主日記

絵本と童話の本棚
日々のあれこれと、読んだ本のことなど書いていきます。

書評『ムーンライト・イン』

2021-05-31 10:08:25 | その他

産経新聞に書評を書き、昨日、掲載されました。

薔薇がきれいな表紙ですよね。中表紙にもうすい和紙のようなすける紙で、きれいな薔薇が描かれていて、それもとってもきれい。

切り取って飾りたいくらいですが、切り取るのも、できない。

冬にでた本ですが、今読むのもふさわしいかも。

『小さいおうち』で話題なった中島京子さんの新作。

過去から逃げてきた女性たちが、元ペンションで暮らしています。そこに、自暴自棄になっている若者、栗田拓海がやってきて、物語が動き出します。

【書評】『ムーンライト・イン』中島京子著 共同生活の安らぎを力に - 産経ニュース (sankei.com)

元ペンションがあるのが、高原だとしか書いてないのですが、描写から、たぶん、「清里」でしょう。

吐竜の滝も出てくるし、紅葉が美しい、鉄橋みたいな名所の橋もでてきます。

今はうらびれてしまってる、というところもぴったり。そう、清里、わたしが若い頃はペンションブームでにぎわったのですが、

今は、ペンションは消えてしまいました。

駅前なんて、ほんと、さびれてしまって。

でも、そのさびれ具合が、この作品にはぴったり。

三人の女性のひとりが、新藤かおるという一番年配の女性がいるのですが、息子に認知症だと決めつけられてしまっているという設定です。それで、自宅から逃げてきたと。

きっと、現在、こういうことが起こっているのですね。

ほとんど顔をみせないけど、働き盛りで自信たっぷりの息子は、母親を心配しつつ、施設暮らしをすすめるのですが、母親の心の内まではわからない・・・。また、母親のほうは、息子に気をつかって、本心をいえずにいる。

これから、この問題は、大きくなっていくと思います。

新藤かおるは、年配の女性でしたが、三人の女性は、年代もさまざま。いろんな読み方ができる作品です。

ぜひ、読んでください。

 

さて、土曜日は、児文協の総会でした。90名以上がオンラインで出席しました。オンラインの力、すごい。

協会賞、新人賞の発表と、喜びのことばもありました。

わたしも事業部の講座の宣伝などさせてもらいました。(*^_^*)