「コミュニケーション研修」は研修会社にとって天然資源の宝庫、大油田です。掘れば必ず油ならぬお金が出てきます。
当然ながら、多くの研修会社がそこに殺到します。以前にも書きましたが、自分で名乗ってしまえば誰でもすぐに「講師」になれます。必要なのは「講師」という肩書の入った名刺くらいのものです。
かくして「コミュニケーション研修」という大油田には、一発当てようとピンからキリまでたくさんの自称・講師が様々な「道具」を担いでやって来ます。最近話題になっている「お笑い研修」も道具のひとつです。
さて、道具には大きく分けると2種類あります。
ひとつは、知識やスキルといった受講者の仕事に焦点を当てたもの。もう一つは、笑いや感動といった受講者の気持ちに焦点を当てたものです。
後者の研修講師は、たいてい「いいお話」という道具を使います。たとえば、次のようなものです。
①私は最初はダメな人間でした、②ある日XXという出来事(あるいは人物)に出会って考え方が変わりました、③それからというもの、△△を常に心掛けるようにしています。そのおかげで前向きになり仕事も上手く行くようになりました。
私は、これを「お菓子な研修」と呼んでいます。
お菓子のように甘く、楽しく、感動もします。でも、それだけ。
日常業務に役に立つ「栄養」はほとんど身につきません。
このことを、企業の研修担当者が理解していれば良いのですが、残念ながらそういう人はあまり多くありません。
お菓子がいけないと言っているのではありません。お菓子には栄養がほとんどないと言っているだけです。
どんな企業もきびしい競争環境の中にいます。
お菓子だけ生き抜いていけるでしょうか?
(人材育成社)