「昔ってえますと江戸の頃になりますが、今と同じようにお稽古ごとが盛んでして、町ん中にはいろいろと教える連中がおりまして・・小唄を教える、踊りを教える、三味線を教える。ま、いろいろとありますが、中には、人のやらないもんを教えてみようてェなことを考えるお師匠さんがおりまして。それがまた、こう云うところには、のんきな連中がやって来まして・・・」
ご存知、落語「あくび指南」の一節です。この落語を聴くと、現代の研修講師というのはまさに好き勝手にいろいろなことを教えるお師匠さんと大して変わらないなと思ってしまいます。
ところで、あくび指南の「指南」ですが「指し示す」という意味から「教える」という意味に使われ、同様に教師や先生のことを指南役と言うこともあります。
この画像は指南車と言って、車がどちらの方向に向きを変えても車の上に立つ人形(仙人像)の手は常に一方向を指しています。実物は数メートルの大きさで、上に乗せてある人形も人間と同じ大きさだったと言います。
数千、数万人の軍隊が大平原を移動するときに、この指南車が指す方向を見て進軍したそうです。
車が蛇行しても常に同じ方向を向いている仕組みは、ギア(歯車)の組み合わせで出来ています。現代の自動車に使われているディファレンシャル・ギアと同じ仕組みです。(詳しくは以下を参照してください)
さて、研修講師は好き勝手なことを自由に教えても良いと思いますが、せめて指し示す方向はぶれないでいてほしいものです。
http://www.tcp-ip.or.jp/~ishida96/karakuri/shinansha_jp.html
https://www.youtube.com/watch?v=nQHOwaruE08
(人材育成社)