中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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紅葉の因果

2013年12月06日 | コンサルティング

「何の木も紅葉となればうつくしき」 

正岡子規の句です。

今、東京周辺では紅葉が真っ盛りです。ここ数日は小春日和が続き、色づいた葉が日差しを浴び一層鮮やかに見えます。

道を歩いていると、どの方向を向いても紅葉した樹木が視界に入るので、注意があちらこちらに行ってしまい、おちおち歩いていられません。まさに子規の句のとおりですね。

さて、こんなに美しい紅葉ですが、どうしてこのように色づくのでしょうか?

まず気温が10度以下になると、葉と枝の間に仕切りのようなものができて、葉にできた栄養分が枝の方に行かずに葉にたまり、それが葉を赤くする物質に変わるのだそうです。そして、秋の日差しをたっぷり受け夜がぐっと冷え込むとその赤色の物質が増え、葉全体が赤くなり、これは木が「冬眠する」状態とも言えるそうです。

また、他にも「自分は耐性が強いのだから寄生しても成功できないぞ」と木がアブラムシに呼びかけている、自分の免疫力を誇示するハンディキャップ信号として進化したものというメカニズムとも考えられるようです。

「きれい」「美しい」と単純に見とれていた私ですが、いろいろな理由(原因)の結果、紅葉するのだということがわかります。

さて、秋はビジネスの世界では研修のハイシーズンです。この秋は「問題発見・課題解決」をテーマにした研修を行うことが多いのですが、問題発見・課題解決研修こそ、まさに因果関係の検証が大切なのです。

職場では様々な問題が起こります。顕在化したものだけでなく潜在的な問題もあり、私たちの仕事は日々問題発見と課題解決の連続です。

こうした問題にはその大きさにかかわらず、必ず原因があります。

原因を探る時には、まずなぜこういうことが起きたのか? なぜ? なぜ?と原因を深堀します。原因を追求し続けた結果、ようやく問題の真の原因をつきとめることができますが、この深堀して追求を続ける作業はとても骨が折れます。

なぜなら、これは普段はオブラートに包んでやり過ごしていた事柄について、その膿を出す作業だからです。

しかし、意を決してこの作業に真剣に取り組まないと、同じような問題が繰り返し起きてしまい、いつまで経っても解決に向かいません。解決のために腹を括るしかないのですが、短時間で片づけられない問題が多いだけに、原因の追究は本当にエネルギーがいる作業です。

いつも何気なく見ている紅葉が、自然の因果によって起きていることを知ると、どこか神秘的な要素を含んでいるように思えます。一方、職場の問題の原因分析には神秘はない、ひたすら地道に取り組むしかないのだなと紅葉に包まれた街を見ながら思うのです。

(人材育成社)