「メールではだめですか?」
先日、監督者研修の終了後にある受講者から受けた質問です。「何度言っても部下が指示したことができないんです。いい加減叱るのも疲れてしまいました。面と向かって言うのは、もう嫌です。だからメールで言いたいのです」とのことでした。
また、先日ある忘年会でご一緒した男性は、妻から「面と向かって話したくないので、言いたいことがあるならメールにして」と言われたそうです。
いずれの例も、相手との意思疎通がうまくいかないことにより発せられた言葉だと思います。
何度も相手に伝えたつもりなのに、相手の行動の変化が確認できないと、つい「言っても無駄」とあきらめの境地に陥ってしまいます。
しかし、相手が部下や家族であると「聞き入れられないから」と言ってあきらめるわけにもいきません。何とかしなければと思うあまり、直接言わずにすむ方法はないものかと考え着いた結果がメールなのでしょう。
先の監督者研修の時の質問には、「言い続けることはストレスになるのかもしれませんが、メールで伝えることはお勧めできません。それでは一方的なコミュニケーションになってしまいます。大変なことはわかりますが、相手の言い分を聞くためにもやはり、面と向かって伝えてください」と答えました。
私は、コミュニケーション研修の時には、いつも最初にコミュニケーションとインフォメーションの違いを説明しています。
インフォメーションとはある情報を伝えることであり、内容そのもの(情報)を指す言葉でもあります。一方、コミュニケーションは知らせて(分け与えて)情報を共有することです。インフォメーションが一方通行であるのに対して、コミュニケーションは双方向の意思疎通を前提としている点が異なります。
このように考えると、相手に思うように伝わらないからと言って、メールに頼ってしまうことは伝えることを放棄したことになってしまうと言えます。
相手が部下であるにしろ、家族であるにしろ、あきらめずに言い続けることが大切ということですね。
さて、今年も間もなく終わり、明後日はいよいよ年始です。
お正月休みは家族と共有する時間が増えるという方も多いと思います。
新しい年の初めの双方がフレッシュな気持ちの時だからこそ、面倒がらずに相手に一所懸命伝えようとすることで、思いが叶う可能性も高そうです。是非、お試しください。
(人材育成社)