「私たちは、日々変化し進化するお客様のニーズを解決するだけでは満足しません。お客様も気づいていない必要なものを発見し、『こんなものがあったらいいな』をカタチにして、一刻も早く送り届けます。」(以下省略)
これは、CMでおなじみの小林製薬株式会社のブランド憲章の一部です。
昨日、小林製薬の社員の方の講演を聞く機会を得ましたが、このブランド憲章は2,204人の社員全員が共有しているとのことです。
また、このブランド憲章の根底には「絶えざる創造と革新によって新しいものを求め続け、人と社会に素晴らしい「快」を提供する」という経営理念があるそうですが、どちらも具体的であり、心に響きます。
多くの企業の経営理念やビジョンに接すると抽象的なものが多いと感じます。
全く異なる業種業態のA社とB社の経営理念をそっくりそのまま入れ替えても、何の違和感もなく受け入れられるくらい、概念的なものが多いと思います。
そして、そうした経営理念は社員の心にも響かないのか、研修の中で質問をしても答えられない社員が少なくないと感じます。
これでは、せっかくの経営理念もそれこそ絵に描いた餅になってしまいます。そもそも経営理念はその考え方が社員と共有されてこそ、意味をなします。経営理念が答えられないのであれば、考え方が共有されることはあり得ないのです。
では、経営理念を具体的にすれば共有化ができるのかと言うと、必ずしもそうではありません。
小林製薬では、組織の風土改革はトップからとの考えに基づき、社長は現場の生の情報をつかみ、自らの考え方を現場に直接伝える取り組みをしているそうです。社長がいかに社員に理念を伝えるかが大事とのことでした。
組織風土の醸成は簡単なことではありません。どうすれば組織風土を改革できるのかは難しい課題だと考えていましたが、中小企業ならいざしらず、大企業であっても社長が現場に出向いて自ら伝えていることを知り、経営トップが直接語り伝えることしか方法はないのかもと思いました。
そして、一度醸成された風土の改革は難しいと考えていた私には、明るい光を得られたように感じました。
実は、小林製薬にはもう一つ、経営トップが日々強く言っていることがあるそうです。
それは、社員の育成においては「ほめて、ほめて、ほめまくれ」というものです。
管理者研修で、ほめ方のトレーニングをすることももちろん有効ですが、トップからの「ほめる」メッセージはもっと効果があるのだと思います。
(冒頭の写真は、小林製薬のHPより)
(人材育成社)