中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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エピソード記憶

2013年12月10日 | コンサルティング

学生時代に数学で習ったサイン(sin)、コサイン(cos)、タンジェント(tan)、覚えていますか?

また、音楽の時間に習ったクレッシェンド. (crescendo) とデクレッシェンド  (decrescendo)はいかがですか?

私はいずれも言葉としては記憶にあるのですが、内容の説明を求められたとしても残念ながら正確に答える自信はありません。数学も音楽も他の教科と比べても好きな教科だったはずなのに、です。

あの時代に勉強したことが何も残っていないなんて、親が聞いたらさぞがっかりするのではないかと思います。

でも、勉強した内容はきれいさっぱり忘れてしまっているのに、過去のどうでもよい、忘れても構わないようなことは結構覚えているものです。

何十年も前のことなのに、あの時あの友達とこんな会話をして、涙を流すくらいに大笑いをしたとか、あの時食べたものは何だったとか。

例えば、私の記憶では沖縄が日本に返還された1972年5月15日の天気が曇り空だったということは、はっきり記憶に残っています。朝からニュースで繰り返し返還のことがとりあげられていたこと、そしてこの日はどんよりした曇り空だったことが今も景色として思い出されます。

何十年も前のことなのに、光景だけでなく、その時の感情や空気感までクリアに再生することができる記憶なのです。

これが、エピソード記憶と言われるものです。エピソード記憶は事象の記憶です。エピソード記憶には時間や場所、その時の感情が含まれ、意味記憶(事実と概念に関する記憶)とも相互に関連していて、物語に例えることができるそうです。

仕事に関連して言えば、何十年も前に指導を受けた上司で良い影響を与えてくれた人のことを覚えていて、その人をロールモデルにすることは、エピソード記憶の一つの例と言えます。

私も、研修に携わる者として、受講者にプラスのエピソードとして記憶されるような影響力を持った研修ができたら本当に良いだろうなと思いますし、日々それを目指して頑張っています。

(人材育成社)