共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

ボストン美術館~華麗なるジャポニスム展

2014年07月02日 22時22分46秒 | 日記
今日は教室の前に、世田谷美術館で開催されている《ボストン美術館~華麗なるジャポニスム展》に行ってきました。これは、ボストン美術館所蔵のモネの大作《ラ・ジャポネーズ》の修復完成後、本国に先駆けての日本での世界初披露を兼ねて開催されたものです。

内容は《ラ・ジャポネーズ》だけでなく、ボストン美術館所蔵の歌麿や広重、国貞といった浮世絵や、七宝飾りのついた刀剣の鐔(つば)や染物の型紙といった工芸品等の日本美術コレクションと、日本美術にインスパイアされた、モネやゴッホ、マネやロートレックといったフランス印象派の画家達の作品や、ガレやステューベン、ティファニーといった工房の工芸品を並列するという、なかなか面白い趣向の展覧会です。

今回のポスターにもなっている主役の《ラ・ジャポネーズ》は2mを超す大作です。昨年春から一年以上の時間をかけて、古くなったニスやワックスを除去したりといった修復が成された後だけあって、モデルであるカミーユ(モネ夫人)の纏った燃えるように真っ赤な打掛が一層鮮やかな色彩を放っていました。

この作品については今回の修復で調査をしたところ、制作にあたってモネが背景の団扇やカミーユの手の位置といった構図についてかなり様々な試行錯誤を重ねていたことや、部分によって種類の異なる絵の具を使い分けていたこと等が新たに判明したのだそうで、会場内ではそのことに触れた動画も流されていました。

それにしても、今回のように関連する浮世絵作品と印象派絵画とを並列展示してくれると、様式美を追究してきた西洋の画家達にとって、日本の絵師達の枠に囚われない自由な構図取りというものが、いかに驚きと衝撃をもって迎えられ、影響を与えたのかがよく分かります。パレットの上で絵の具を混ぜてしまうのではなく、浮世絵の重ね刷りのように直接カンヴァスに色を置いていくことによって、あの印象派独特の光の表現に到達したのかと思うと、感慨深いものを感じずにはいられません。

今日は平日ということもあってか会場内に人影は疎らで、そのおかげでいろんな距離からじっくりと様々な名作を堪能することができました。今週末までで上野の《白菜》の展示が終わってしまいますから、以外とこちらは空いているかも知れません。

なかなか見応えのある展覧会ですし、東急田園都市線用賀駅前から直通バスも運行されています。9月15日まで開催されていますので、是非おいでになってみて下さい
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする