共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

《思い出のマーニー》観賞記

2014年07月22日 20時11分35秒 | 日記
今日は二宮町の生涯学習センターが休館日で使えないので、教室はお休みです。

ということで折角時間が空いたので、以前から気になっていた映画を観に行くことにしました。宮崎駿氏引退後のスタジオジブリ最新作《思い出のマーニー》です。監督は《借りぐらしのアリエッティ》を制作した米林宏昌氏です。これから御覧になる方もおいでかと思いますので、ネタバレにならない程度に感想を書こうと思います(笑)。

いつもは何となく下調べをしてから本編を観に行ったりするのですが、今回は全く知らない状態で観賞しました。大雑把な感想としては、前作のアリエッティもそうでしたが、米林作品らしい非常に美しい映画だったということです。

安奈という、喘息の発作を抱えて札幌で継母と暮らしている多感な年頃の少女は、治療を兼ねて訪れた空気の綺麗な田舎町で、地元の住民から湿気っ地屋敷(じめっちやしき)と呼ばれている洋館で暮らすマーニーという少女と出会います。マーニーと数々の不思議な体験をしながら、喘息だけでなく、己の特異な出自ゆえに自身を嫌っていた安奈の頑なな心を次第に解きほぐして、最終的には前を向いて歩き出していく…というのが大雑把な筋です。

このマーニー、出てきた時から只者ではないな…と思わせる雰囲気を持っています。でも、それは決してオカルト的なオドロな感じのものではなく、むしろとても優しくて温かなものです。そして、最後の最後でマーニーの正体が最後に明らかになるのですが、私はそれを観て『えぇ~っ?!』と仰け反りました。正確にいうと、実はストーリーをちゃんと観てさえいれば様々なところに伏線が張ってあるので何となく『察し』は付くのですが、結果はちょっと予想外でした。

あと、ジブリ作品というと音楽が毎回とても印象的です。今回もどんな感じか期待していましたが、一応テーマソングは存在しているものの、今回の作品の」音楽担当が久石譲氏ではないこともあってか、前作の《風立ちぬ》のように耳に鮮烈に残る感じのものはありませんでした。ただ、湿気っ地屋敷でのパーティの場面でマーニーの口三味線からクラシックの希代の名曲が登場しますが、それは非常に鮮烈に記憶に残ります。

終演後、他の方々の感想を漏れ聞いていると「何が言いたいのかサッパリわからなかった」みたいなものが多いように思われました。しかし、ジブリ作品は《風の谷のナウシカ》から始まって以降、明確に「これが言いたいんじゃあっ!」ということを、まるで水戸黄門の印籠のように前面に押し出した作品なんて一つでもあったでしょうか?それをどうも皆さんは、折角金を払ったからには一生懸命に何かを『理解しよう』と躍起になりながら御覧になっていたようです。

前回の《風立ちぬ》の時にも書きましたが、ジブリ作品に教訓や結果を求めるのはナンセンスです。ただひたすら『美しいものを観た』、そして最後に心がジーンと温かくなっていた…それでいいではありませんか。

個人的には、今のこの『訳が分かった状態』でもう一度観てみたいと思いました。皆様も観賞の際には、ストーリーに散りばめられた伏線に留意しながらニュートラルな目で御覧になってみて下さい。
コメント
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