今日は又しても台風16号絡みの悪天候に見舞われました。こう悪天候が続くと洗濯物も乾かないし、何しろ気圧が低くて気が滅入ります。
今日は教室もないので、こういう時には出かけないのが一番…とばかりに引きこもることにして、久しぶりに我が家で何にもしないグウタラな一日を過ごすことに決めました。お勤めの方々には大変申し訳ないのですが、こんなことが気ままに出来るのが自由業の数少ない特権でございます。
さて、そんなことは言ってもただ無為に過ごしてばかりいると本当にダメ人間になり下がるので、ここはひとつ自己鍛錬に時間を有効活用することにしました。それで折角の機会だから、最近あまり相手をしてあげていなかったバロックヴァイオリンちゃんの相手をしてあげようと思い立ち、ケースを開けました。久しぶりのバロックヴァイオリンはなかなかのご機嫌ななめっぷりでしたが、それでもなんとか宥めてすかしているうちに段々と目覚めてきたようでした。本当ならもっと相手をしてあげなきゃいけないのですが、日々の仕事に追われているとついつい忘れがちになってしまいます。
さて、何を弾こうかと思っていたのですが、これまた久しぶりにハインリヒ・イグナツ・フランツ・ビーバーの曲でもやってみようと思い立って、いくつか楽譜を引っ張り出してみました。その中で今回は《描写的ソナタ》(1669)という一風変わった作品を練習してみることにしました。
このイ長調のヴァイオリンソナタは非常に特徴的特徴的な作品です。通常のバロック時代のヴァイオリンソナタだと、いわゆる緩-急-緩-急の4楽章教会ソナタ形式や、前奏曲に続いてアルマンドやクーラントといった舞曲が続くものが殆どなのですが、この曲は前奏曲の後に様々な動物や銃兵隊が登場するという、かなりユニークな組曲です。フランスの作曲家カミーユ・サン=サーンス(1835~1921)が、チェロ独奏曲の不朽の名作『白鳥』の入っている《動物の謝肉祭》(1886)という組曲を作曲していますが、その200年以上も前に既に似たようなアイデアの曲をビーバーは作っていたのですから驚きです。
ヴィヴァルディやバッハが活躍するバロック後期になると音楽理論や作曲技法がほぼ確立してきて、今日クラシック音楽として聴かれているしっかりとした構造の作品が生み出されています。それに比べると、彼等の一世代前のビーバー達が活躍したバロック中期には作曲技法や和音使いにまだ若干の自由さが容認されているので、バッハの作品ほどの理論的密度はないものの、その分面白い作品がいろいろとあります。このバロック中期の作品群にはウィットに富んだ単純に楽しいものも多いので、もっと広く聴かれるようになったらいいのにな…と思うのです。私もいつか演奏出来るように、今から練習しておこうと思います。
この《描写的ソナタ》は陽気な前奏曲に始まって、その後ナイチンゲール・カッコウ・カエル・雌鳥と雄鶏・ウズラ・ネコの鳴き声、そして何故だか銃兵隊の行進、最後にアルマンド舞曲という順番で展開していきます。今回はイル・ジャルディーノ・アルモニコによる、かなりアグレッシブな演奏と楽譜の動画を転載してみました。思わず笑ってしまう300年前の《動物の謝肉祭》をお楽しみ下さい。
Heinrich Ignaz Franz Biber - Sonata Representativa in A major
今日は教室もないので、こういう時には出かけないのが一番…とばかりに引きこもることにして、久しぶりに我が家で何にもしないグウタラな一日を過ごすことに決めました。お勤めの方々には大変申し訳ないのですが、こんなことが気ままに出来るのが自由業の数少ない特権でございます。
さて、そんなことは言ってもただ無為に過ごしてばかりいると本当にダメ人間になり下がるので、ここはひとつ自己鍛錬に時間を有効活用することにしました。それで折角の機会だから、最近あまり相手をしてあげていなかったバロックヴァイオリンちゃんの相手をしてあげようと思い立ち、ケースを開けました。久しぶりのバロックヴァイオリンはなかなかのご機嫌ななめっぷりでしたが、それでもなんとか宥めてすかしているうちに段々と目覚めてきたようでした。本当ならもっと相手をしてあげなきゃいけないのですが、日々の仕事に追われているとついつい忘れがちになってしまいます。
さて、何を弾こうかと思っていたのですが、これまた久しぶりにハインリヒ・イグナツ・フランツ・ビーバーの曲でもやってみようと思い立って、いくつか楽譜を引っ張り出してみました。その中で今回は《描写的ソナタ》(1669)という一風変わった作品を練習してみることにしました。
このイ長調のヴァイオリンソナタは非常に特徴的特徴的な作品です。通常のバロック時代のヴァイオリンソナタだと、いわゆる緩-急-緩-急の4楽章教会ソナタ形式や、前奏曲に続いてアルマンドやクーラントといった舞曲が続くものが殆どなのですが、この曲は前奏曲の後に様々な動物や銃兵隊が登場するという、かなりユニークな組曲です。フランスの作曲家カミーユ・サン=サーンス(1835~1921)が、チェロ独奏曲の不朽の名作『白鳥』の入っている《動物の謝肉祭》(1886)という組曲を作曲していますが、その200年以上も前に既に似たようなアイデアの曲をビーバーは作っていたのですから驚きです。
ヴィヴァルディやバッハが活躍するバロック後期になると音楽理論や作曲技法がほぼ確立してきて、今日クラシック音楽として聴かれているしっかりとした構造の作品が生み出されています。それに比べると、彼等の一世代前のビーバー達が活躍したバロック中期には作曲技法や和音使いにまだ若干の自由さが容認されているので、バッハの作品ほどの理論的密度はないものの、その分面白い作品がいろいろとあります。このバロック中期の作品群にはウィットに富んだ単純に楽しいものも多いので、もっと広く聴かれるようになったらいいのにな…と思うのです。私もいつか演奏出来るように、今から練習しておこうと思います。
この《描写的ソナタ》は陽気な前奏曲に始まって、その後ナイチンゲール・カッコウ・カエル・雌鳥と雄鶏・ウズラ・ネコの鳴き声、そして何故だか銃兵隊の行進、最後にアルマンド舞曲という順番で展開していきます。今回はイル・ジャルディーノ・アルモニコによる、かなりアグレッシブな演奏と楽譜の動画を転載してみました。思わず笑ってしまう300年前の《動物の謝肉祭》をお楽しみ下さい。
Heinrich Ignaz Franz Biber - Sonata Representativa in A major