はがき随筆7月度の入選作品が決まりました。
△鹿児島市鴨池、川畑清一郎さん(59)の「父の日に思う」(9日)
△西之表市西之表、武田静瞭さん(69)の「母はいない……」(29日)
△薩摩川内市樋脇町、新開譲さん(80)の「逆療法」(2日)
の3点です。
7月はご年配の方々の文章が比較的多かったからか、過ぎし時を懐かしむ文章が多く出されました。
川端さんの「父の日に思う」は、体に障害のある小学校1年生だった川端さんを遠足に参加させるため、お父さんが川端さんをおぶって歩いてくれたというのです。今は他界した父親の背中の大きさ温かさが忘れられず、父の日のたびに今も涙するのです。
また、武田さんの「母はいない……」も、お母さんの他界は明瞭に認識しているのに、ふと自分を呼ぶ声がする、足音がする、ということ。最後に「幽霊になってでもいいですから、いつもの口げんかをしに来ませんか?」と、少し面白く結んだのがいいですね。
川端さんも、お父さんがよく言っておられた方言での言葉「準備ばせえ」を紹介して話しに親しみを感じさせ、お父さんの人物像をずばり伝えました。うまいですね。
さて、新開さんの「逆療法」、犬の世話で腰を痛めた新開さん。温泉で温めたら、と言われて張り切って温泉に通い、2カ月の入院でした。冷やすべきものなのですね。温泉好きらしい新開さんの明るい文章が前半に広がるので、入院は気の毒ですが何となく面白い。美園春子さんの「通夜」は、友人3人でお通夜に行き、帰りに3人で大いに笑ったという話。悲しみの時間、場所から解放されて、友人と3人、こんな気持ちも分かりますよね。
宮園続さんの「元気よ戻れ」は体重減に悩む宮園さんの結びの一文「……生き延びて世のため、万分の一でも尽くさねば……」は何とも立派。小村忍さんの題目は「老いゆく人生」と寂しいですが、多用な趣味と山登りへの参加などの毎日が書かれていました。要するに、努力して明るく積極的に生きること。それが皆さんに素晴らしい文章を書かせるのですね。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
係から
入選作品のうち1編は26日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
また、「女の気持ち」「男の気持ち」「みんなの広場」などへの二重投稿はしないようお願いします。
△鹿児島市鴨池、川畑清一郎さん(59)の「父の日に思う」(9日)
△西之表市西之表、武田静瞭さん(69)の「母はいない……」(29日)
△薩摩川内市樋脇町、新開譲さん(80)の「逆療法」(2日)
の3点です。
7月はご年配の方々の文章が比較的多かったからか、過ぎし時を懐かしむ文章が多く出されました。
川端さんの「父の日に思う」は、体に障害のある小学校1年生だった川端さんを遠足に参加させるため、お父さんが川端さんをおぶって歩いてくれたというのです。今は他界した父親の背中の大きさ温かさが忘れられず、父の日のたびに今も涙するのです。
また、武田さんの「母はいない……」も、お母さんの他界は明瞭に認識しているのに、ふと自分を呼ぶ声がする、足音がする、ということ。最後に「幽霊になってでもいいですから、いつもの口げんかをしに来ませんか?」と、少し面白く結んだのがいいですね。
川端さんも、お父さんがよく言っておられた方言での言葉「準備ばせえ」を紹介して話しに親しみを感じさせ、お父さんの人物像をずばり伝えました。うまいですね。
さて、新開さんの「逆療法」、犬の世話で腰を痛めた新開さん。温泉で温めたら、と言われて張り切って温泉に通い、2カ月の入院でした。冷やすべきものなのですね。温泉好きらしい新開さんの明るい文章が前半に広がるので、入院は気の毒ですが何となく面白い。美園春子さんの「通夜」は、友人3人でお通夜に行き、帰りに3人で大いに笑ったという話。悲しみの時間、場所から解放されて、友人と3人、こんな気持ちも分かりますよね。
宮園続さんの「元気よ戻れ」は体重減に悩む宮園さんの結びの一文「……生き延びて世のため、万分の一でも尽くさねば……」は何とも立派。小村忍さんの題目は「老いゆく人生」と寂しいですが、多用な趣味と山登りへの参加などの毎日が書かれていました。要するに、努力して明るく積極的に生きること。それが皆さんに素晴らしい文章を書かせるのですね。
(日本文学協会会員、鹿児島女子短大名誉教授・吉井和子)
係から
入選作品のうち1編は26日午前8時40分からMBC南日本放送ラジオで朗読されます。「二見いすずの土曜の朝は」のコーナー「朝のとっておき」です。
また、「女の気持ち」「男の気持ち」「みんなの広場」などへの二重投稿はしないようお願いします。