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ブラームス作曲・ピアノ五重奏曲ヘ短調。
久しぶりにじっくり聴く機会に恵まれた。
室内楽が大好きだった夫は、特にブラームスが好きで、
結婚当初は、レコードがすり切れるまで聴いていたっけ。
その頃の私は、美しい旋律で華のあるモーツアルトの曲を好み、
「ブラームスは重すぎる…」と、敬遠していた。
独り暮らしの多忙な日々に流され、
我が家でじっくり音楽を聴くことなど久しくなかった私に、
今回のコンサートのお誘いは嬉しかった。
でも「ブラームスのピアノ五重奏曲」が、
どんな曲だったか思い出せない。
亡夫愛用のレコードは再生機器が既にない。
ネットで視聴してやっと
「あのときのブラームス…」と気が付いた。
あれから半世紀にもなるんだなあ…と
胸に込み上げる想いを抑えながら聴いた。
素晴らしい演奏だった。
野山の緑が萌え立つこの時期、私はブルーになる。
18年過ぎても、夫の闘病中の記憶がよみがえり切なくなる。
そう言えば、しばらく夢にも現れてくれないなあ…。
あっそうか、コンサートは彼がプレゼントしてくれたんだ、きっと!