はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

闘病記その7

2012-09-08 13:59:06 | はがき随筆
 入院中の夫と医師の会話が、かみ合わない。ちんぷんかんぷんな話しぶりとか。
 夫は「認知症で、意識障害のかげりがみえる」と診断された。認知症は、見聞きはしていたものの、夫がかかるとは予想外だった。
 医師の繁多船に任せて治療するほかはない。看護師さんから「病気は初期で、まだ意識が鮮明だから身内に会わせた方がほうが良い」とアドバイスされた。それで、夫の兄弟が駆けつけた。夫にあってくれて安心した。
 ありがとう。感謝します。夫よ、大きな夢を抱いて生き抜こう。
  姶良市 錦江町 2012/9/8 毎日新聞鹿児島版掲載

至福の時

2012-09-08 12:25:09 | はがき随筆


 猫の額ほどの小さな畑に、トマト、キュウリ、ナス、ピーマンと夏野菜を1本ずつ植えている。それぞれが実をつけて目と胃袋を満足させてくれた。
 時にカメムシの鈴なりと格闘したり、朝夕何度も見回ったりする私に、野菜もうんざりしているよう。でも意外に発奮して例年よりよく育ってくれた。時々の雨の恵みにも助けられて。草取りも楽しんですれば苦にならず、実をつけた野菜たちに会う至福の時は何にも替えられない。そろそろ秋ナスの時期、紫紺の可愛い実がいとしく、枝を切れなくて一日延ばしになっている。
  霧島市 口町円子 2012/9/8 毎日新聞鹿児島版掲載