はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

お久しぶりです

2013-02-13 15:14:47 | アカショウビンのつぶやき
 ある事情で、気持ちも少々ふさぎこみ、
ブログ更新も滞ってしまいました。
 ブログ更新歴が、離れて住む親の安否確認と思っている子供達は「大丈夫…?」

 皆さんが楽しみにしてくださる、はがき随筆のアップだけがやっと。
「ひとりごと」は、つぶやく気持ちにもなれず、
すっかりご無沙汰でした。

 やっと、解決の道が見えてきました。
 久しぶりに庭に目をやると、春がいっぱいでした。














 

なんでなんでー。見事にヒヨドリに食べられてます。
でも、しっかり花芽をつけて…いじらしい。

わたしの2012年

2013-02-13 15:06:15 | はがき随筆
 2月に5度目の腸閉塞、7月には腸壁が破れて手術、その翌日母の死去と続いた。
 11月は念願の豊田勇造ライブを我が家で開催。まだその余韻が私の中にある。友人からも感嘆の声が届いた。
 この所、週末に孫達(5歳と8歳)が電車で来る。明日どこに行く? 何をする? が口癖、市のパンつくりや小さな椅子造りに参加した。3台の自転車で「こころ旅」と称して農道を走った。クリスマスには3人でクッキーを焼き、ローストチキンがテーブルを飾った。
 国は又、逆戻りしそうだが、この子たちの未来を曇らせてはいけない。
  薩摩川内市 馬場園征子 毎日新聞 はがき随筆欄投稿

放免しますか

2013-02-13 14:34:01 | 女の気持ち/男の気持ち
 「まるで猿のようだ」
 布に包まれた生まれたばかりの長女を見た夫が、思わず漏らした。もっとほかの言葉は思いつかなかったのかと、以来、私は長女の誕生日ごとに50回も同じ言葉を繰り返してきた。
 3人の子供は、いわゆる自宅出産だった。古来多くの女性がそうしてきたし、何よりも二重生活になるのが嫌だったからである。
 初産の長女は屋久島にいた時に生まれた。出産に備えて、1人暮らしだった母の所に夫婦で移り住み、夫は13㌔ほど離れた学校にバス通勤した。
 12月のある日、昼に往診した助産師は「明日しか生まれない」と、4㌔離れた自宅に帰ってしまった。
 日暮れになって、下にやった手が髪のようなものに触れたので、勤めを休んでいた母を呼んだ。母は「頭が見え始めた。気張って産まにゃいかん」と励まし、ちょうど帰宅した夫にも介助を頼んだ。私が夫の手を力いっぱいつかんだので、夫は「痛い」と言ってそばを離れた。すかさず母は、助産師に電話をかけて呼んでくれるよう頼んだ。
 当時、電話は地区の事務所に1台しかなかった。暗い上に地理に不案内の夫が用を済ませて戻ったのは25分もたってからで、既に長女は生まれていた。
 産湯も使えず、血の付いたままのわが子を見ることになった夫が、驚きのあまり正直な気持ちを吐露した言葉だったと後に知った。
 もう放免しますか。
  薩摩川内市 森孝子 2013/2/13 毎日新聞の気持ち欄掲載

スーパーモデル

2013-02-13 14:25:31 | はがき随筆
 歩道に猫が丸まっている。飼い猫なのか? 野良猫なのか? 
 妙に人慣れしているのが謎だ。目が茶色に輝き気品がある。私は膝をつき手のひらを差し出す。「ニャア」と鳴きながら大きく背伸びした。「わあ、猫のポーズだ」と感激の声を上げた私。腰にくびれをつけようと励んだ昨年、我が家で流行した「猫のポーズ」。今まで<痩せる>の誘惑に負け? エステ教室にサプリメント、DVD、ウオーキング……。経費と時間は数知れず。いまだ発展途上人。細い脚にお尻をしなやかに振る猫の後ろ姿。「貴猫(あなた)もダイエットやってるの」
  鹿児島市 吉松幸夫 2013/2/13 毎日新聞鹿児島版掲載

女正月

2013-02-13 14:18:45 | はがき随筆
 寒気も緩んだある日、友人たちと女正月と気取って長島へ出かけた。お目当てはかねてうわさに聞いていた、器に凝ったおしゃれな店での食事。車中、家族の話で盛り上がる。それぞれ、しゅうとめに仕えて苦労した者同士。そのしゅうとめも見送って今は自分がしゅうとめになっている。自分がしてもらえなかったこと、されてつらかったことなどを嫁には味わわせたくない、味わわせでもしたら縁を切られてしまう、というのが私たちの一致した意見。無理して! どんなに嫁がかわいいか、どんなに嫁に仕えているかという自慢話? になって大爆笑。
  出水市 清水昌子 2013/2/11 毎日新聞鹿児島版掲載

つぶやけば…

2013-02-13 14:12:53 | はがき随筆
 大みそか、正月の準備であたふたしているところに息子が帰ってきた。仏壇で拝んだ後はスマホに没頭。私は新聞の平山郁夫展の切り抜きを彼の前に置き、どうしようかなあと、つぶやいた。「今のうちに行きたいところに行った方がいいよ。連れて行こうか」と思いがけない言葉が返ってきた。私の胸は膨らんだ。しかし、息子は多忙で仕事を休めそうもない。その気持ちだけでうれしいと期待しないことにした。数日後、新幹線の往復料金が書留で届いた。正月、世話になったお礼だろうか、1人分なら割安との計算なのか。ともあれ言ってみるもんだ。
  伊佐市 山室浩子 2013/2/10 毎日新聞鹿児島版掲載

通過は一瞬

2013-02-13 13:51:28 | はがき随筆
 今朝も見れた。頑張っている。5.6年前から、あるお店の前の男性が気になった。仕事へ行く車の中からだが。
 年の頃は40前とおぼしきその人は、従業員らしく作業服を着て、黙々と一定のリズムで店先から道路まで掃いている。
 道はコンクリート造りだが、ほうき目を確かめるようにいつも下を向いて手を動かしている。回を重ねるうちに、こつこつ日々おなじことを繰り返す姿は働くお手本なんだ、見習わなくては、と元気ももらった。
 残念ながら私の仕事は終わりが近い。励まされた分、これからは応援していこう。
  いちき串木野市 奥吉志代子 2013/2/8 毎日新聞鹿児島版掲載

野鳥の餌食

2013-02-13 13:46:10 | はがき随筆
 この冬は野鳥が多かった。センリョウの実は早くから食べられ、正月の飾り用もなかった。島ミカンまでもやられた。
 多分ヒヨドリで。早くからちぎっていたので減ってはいたが、夕方見ると食いちぎられ果肉はなく、皮だけが無残に垂れ下がっていた。
 遠くからはまだなっているように見えていたが、見事に食いちぎられ、皮だけがロート状になっていた。人間の分を野鳥が食べてくれたのだ。
 「おいしかったね、よかったね」「また来年も来てね」と、あきれて拍手した。
  出水市 畠中大喜 2013/2/7 毎日新聞鹿児島版掲載