はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

DJポリス

2013-06-17 22:41:42 | ペン&ぺん
 サッカー日本代表が2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会出場を決め、東京・渋谷の交差点で歓喜する若者らをユーモアを交えたアナウンスで誘導し、一躍時の人となった警視庁機動隊の「DJポリス」・こんな警察官がもっと増えたらいいのに、と多くの人が感じているだろう。
 支局記者の長男が自転車を盗まれた。交番に行くと、若い警察官が「絶対見つけないとね」と長男を優しく励まし、ついに見つけ出してくれた。記者は、警官の職務に対する真摯な姿勢を鹿児島版コラム「やごうろうどん」(5月20日付)で伝えた。題は「治安と笑顔」。
 最初の鹿児島勤務時代、何度も土砂崩れの現場を取材した。土砂で家がつぶされ、住民の行方が分からない。背後にはいつまた崩れるか分からない崖・「今崩れたら逃げられない。生き埋めかな」とよぎった。現場では警察官や消防隊員、自衛隊員らが黙々と行方不明者の捜索、救助にあたっている。私の方は臨場感ある写真を撮り、できるなら救出のドラマを取材したいとの思いがあった。次の土砂崩れが心配ならば、泥に埋もれ、助けを待っている人を救うことなんてできない。いや、己の命を気にして泥や岩をかき分けている警官や隊員など1人もいなかった。目の前の住民の命を守るという使命感にほかならなかった。彼らの近くにいると少しも怖くはなく、羨望のまなざしで見ていた。
 県警組織犯罪対策課の捜査員らが事件被害者の供述調書を改ざんした疑いがもたれている。県警は2003年の県議選を巡って逮捕した12人全員が無罪となる「志布志事件」で自白を強要したことが批判されたのに……。なぜ警察官の道を選んだのか、初心を思い出してほしい。今も子どもたちにとって警察官は正義の味方の「かっこいい」憧れの職業。県警は自ら真相を明らかにすべきた。
  鹿児島支局長 三嶋祐一郎

ルート3に立つ

2013-06-17 22:35:27 | はがき随筆
 平成20年の春、とうに70歳を超えたじじいが10人同窓会で集まった。話題は自然に身体の話に。目や耳や足が皆自信がないようだった。私は違う。心身共に若かった。「まだまだ人生はこれからだ」と思って会場を去った。
 ところがである。その私が75歳になったとたんに立て続けに病魔に襲われた。誰も好きこのんで病気になるものはいない。老いは足からやってくる。これじゃいかんと、私は家を飛び出した。歩いて歩いて国道3号の終点に立った。天から風が聞こえた。「ハッハッハ。ルート3、人並みに老いれや」ちくしょう、負けるかっ!
  鹿児島市 高野幸祐 2013/6/15 毎日新聞鹿児島版掲載

一日一絵の便り

2013-06-17 22:24:34 | はがき随筆
 梅雨の季節を迎えると思い出す。東京で1人暮らしを始めた息子を励まそうと6月からの一日一絵の絵便り。その後、子から孫へと代わり12年が過ぎ、その数も約4500通を超えた。
 絵のモチーフは古里の四季(さつま町)に時々のかごっま弁を交えた絵便りです。息子は福岡育ち、孫たちは千葉育ちですが、ここにも故郷があるんだよ! と知らせることも大切かなと思い絵筆を握っています。この一日一絵、4人の孫たちが毎日待ちわびてくれていますが、長く続けることの楽しさを味わいつつ、今日は水の入った棚田の美しい風景を描いています。
  さつま町 小向井一成 2013/6/14 毎日新聞鹿児島版掲載