はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

孫の冒険

2013-06-25 18:14:12 | はがき随筆
 約3カ月前、8際の孫とバイクで出かけた。ある菓子店の喫茶室で友人と会うために。
 しばらくすると突然孫が歩いて帰ると言い、スタスタと出て行った。私に有無もいわさずに。友人が追いかけスーパーで水などを買い与えたと後で聞いた。
 私は気になりながらも用事を済ませ、1時間余りして家に着いた。そこに孫が。「誰かに送ってもらったの」「うん」
 友人と別れて10分歩いたところで、会った人に「隈之城駅はどっちに行くんですか」。
 その人に詳しく聞かれ、車で送ってもらったとのこと。7㌔の道のりを。
  薩摩川内市 馬場園征子 2013/6/25 毎日新聞鹿児島版掲載

コーラスフェスタ 終わりましたー

2013-06-25 18:00:20 | アカショウビンのつぶやき

コーラスフェスティバル2013
が終わりました。
鹿屋市内の16団体が参加し、
鹿屋市のリナシティホールで歌いあげました。

① ミサ曲から Dona Nobis
② ショパンの前奏曲 モノクローム
③ 風になりたい
最後の曲は、寺島陸也作曲の素晴らしい曲です。

命の重みと喜びを 地球の隅々まで つたえたい
と歌いました。

直前の表情ですが、リラックスしてますねぇ。
でも私にとって今年は恐怖のステージだったんです。


T先生が、最後のチェック…


T先生は、3つの団体を指導されていますが、
フォルテシモの皆さんは、懐かしい昭和歌謡曲。
とっても楽しそうに歌いました。拍手拍手。


最後は全員で、ビリープの大合唱で幕を閉じました。

素晴らしい一日でした。

富士山と桜島

2013-06-25 17:36:44 | ペン&ぺん



 国連教育科学文化機構(ユネスコ)第37回世界遺産委員会は、日本政府が推薦した「富士山」(山梨、静岡両県)を世界文化遺産に登録することを決めた。22.23日、新聞やテレビなどはこのニュースで持ちきりだった。当初、世界文化遺産の構成資産からの除外が勧告されていた国指定の名勝「三保松原」(静岡市)も〝逆転登録〟が決まった。三保松原を訪ねたことはないが、ここから撮られた写真や映像を見ると、やはり美しい。まさに、世界に誇れる景色だ。
 この報道で、富士山と桜島の景観が「二重写し」になった鹿児島の皆さんも多くいるのではないだろうか。桜島は東西南北どの方角から見ても甲乙つけがたい。私はかつて4年間、鹿屋通信部に勤務した。大隅半島・垂水方向からの眺めもいい。異動で鹿児島を離れる時、「これで桜島を見るのも最後か」と思うと無性に寂しくなったのを今でも覚えている。
 県外の人が描く桜島のイメージは、ドルフィンポートなどがある鹿児島市側から錦江湾を前に噴煙を上げる姿が一般的。その錦江湾を地元の小学生らが遠泳横断する。伝統ある行事で、私もテレビで見たことがある。約4.2キロを泳ぎ切った子供たちのガッツにこちらも目頭が熱くなった。
 6月15日、吉野町の磯海水浴場の砂浜にウミガメ上陸の跡があった。この砂浜で卵を産んだ。ここで産卵が確認されたのは1988年以来25年ぶり。素人の私には「なぜ警戒心の強いウミガメが都市部に近い砂浜に」とうれしい驚きだった。
 屋久島は世界自然遺産だが、本件が誇る桜島と錦江湾の美しい景観をもっと全国に、世界にアピールできないか。富士山の世界遺産登録を機に、ドルフィンポート一帯のまちづくりを含め、錦江湾沿岸の景観を一度考えてみてはどうだろう。
 鹿児島支局長 三嶋祐一郎 2013/6/24 毎日新聞鹿児島版掲載

クレオメ

2013-06-25 17:25:48 | はがき随筆

 毎年こぼれ種で庭にクレオメが咲く。車庫前の砂利の間や、花壇のそこここに生えたものを、今年は早めにプランターに移し、門の脇に置いた。6月の初めにはつぼみをほどき、暮れなずむ庭を彩ってくれる。前日の花びらは白っぽく色あせ、新しくさした花は目も覚めるようなピンク。でも、あざとさは感じない。少し疲れを覚えて帰宅した夕方など、この花をを見ると心安らぐ。道行く人に褒められると、うれしくなってつい、うんちくを傾けてしまう。
 『風蝶草』という和名もむべなるかなである。昼間よくモンシロチョウがきている。
  鹿屋市 門倉キヨ子 2013/6/22 毎日新聞鹿児島版掲載

古稀の海

2013-06-25 17:16:48 | はがき随筆
 古稀になっても、海は少年時代のように私を魅了する。
 梅雨前の大潮のとき、蕨島の磯浜へ妻と出かけた。海は広い。塩の香がプーンと漂う。さざ波がヒチャー、ポチャーと岩に語りかける。蜷を探して磯を歩けば、巻き貝たちは耳ざとい。するっ、するっと岩の下や奥に隠れる。ぽトンと、海に落ちたり、逃げるのに懸命だ。浅海の底の岩にヤドカリたちは群れて、何か会議を開いている。
 沖の船は、私には47で死んだ父のイカ釣り舟に見えた。かつて、小2の私を可愛がりイカ漁の船に伴ってくれた父は、古稀の海を見ることはなかった。
 出水市 小村忍 2013/6/24 毎日新聞鹿児島版掲載

ツバメに思う

2013-06-25 17:10:07 | はがき随筆
 野外とガレージの間を勢いよくツバメ2匹が飛び交う。ガレージをのぞくと巣の中でヒナが動いている。2匹はつがいであろう。黄色いくちばしを大きく開け、ピーピー鳴くヒナへかいがいしく数分お気に餌を運ぶ。観察して4日目。巣からヒナ2匹が突然消えた。まだ巣立つはずがない。つがいは周辺をせわしく飛び回り、ヒナのいない巣を見る。巣の異変に気付いたのだろう。ヒナを探すしぐさに胸が痛む。翌日からもう、つがいの姿を見ることはなかった。近年、世間に起こるさまざまな親子の出来事が脳裏をすすめ、やるせない思いが込み上げた。
  鵜家育男 鹿児島市 2013/6/23 毎日新聞鹿児島版掲載

母のおにぎり

2013-06-25 17:01:18 | はがき随筆
 終戦の翌年、母と弟と一緒に父の墓参りに行った。途中、列車の中でやせ細った母親と男の子2人に出会った。当時私は小学3年生。男の子たちは私より年下だった。
 母は親子に話し掛けると、持参したおにぎりを全部差し出した。私が不服そうな顔をすると「外地から引き揚げて、おなかをすかされている。一食ぐらい我慢しなさい」と私を叱った。
 藤原ていさんは、「流れる星は生きている」の中で、僅かな食べ物を探してさまよった苦難の旅を描いた。あの親子におにぎりを与えた、母の優しさを懐かしく思い出している。
  田中健一郎 鹿児島市 2013/6/21 毎日新聞鹿児島版掲載

古宇利大橋

2013-06-25 16:53:28 | はがき随筆
 巨大海上建造物は、こつぜんと現れた。沖縄、古宇利大橋。今回は路線バスと徒歩の旅と決めていた。田舎の道を歩いていて、全長2㌔の巨大橋に出くわしたのだ。「どうする? 歩いて渡るか……」。情けない話だが、高所、閉所、暗闇、水、ことごとく駄目なのだ。「途中まで行き、駄目なら引き返そう」
 視界は360度コバルトブルーの海。なるべく見ないように、斜め前方に視線を落とす。一瞬自制心を失い、下の海に飛び込みたくなる。妻と手をつなぐ。車のクラクションが冷やかして通る。無言のまま思った。 
 「進むしかない!」
  霧島市 久野茂樹 2013/6/20 毎日新聞鹿児島版掲載

民泊のお礼状

2013-06-25 16:46:15 | はがき随筆
 新緑の風薫る中、お手紙が届きとてもありがたく拝読しました。田舎の粗末な家でお子様の一生に一度の修学旅行、何ができるのだろうかと悩みました。
 私たちも愛している山々、田園風景は気に入って頂けたのではないでしょうか。お子様は4人のリーダーとして、とても気遣いされ、けなげな態度に心うたれました。きっとすてきな女性に成長されるでしょう。人との出会いとは感動的で見送った後、涙にくれる自分が不思議でもありました。またいつの日か我が家で再会できることを願っております。お礼状ありがとうございました。  かしこ
  出水市 塩田きぬ子 2013/6/19 毎日新聞鹿児島版掲載