はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

食っちゃあ寝

2013-06-18 13:46:47 | はがき随筆
 食事中、おなかが満たると、いつの間にかコトンと眠ってしまう癖がつきました。
 「ハッ」と気付くと、見ていたテレビ番組は終わり、目の前の食器には食べかけ、飲みかけが……。
 和室の座卓で食べる時、外食する時は全然眠たくならない。
 いつものテーブル、いつもの自分の椅子に腰掛けると、ゆったりとした気分になり、くつろいで本能のおもむくままになるようです。
 日々膨らみを増していくメタボ腹がとても気になるのですが、くっちゃあ寝、食っちゃあ寝ばかり。これじゃ駄目だ!
  鹿児島市 馬渡浩子 2013/6/18 毎日新聞鹿児島版掲載

サツマイモ

2013-06-18 13:02:19 | はがき随筆
 友人から甘藷の苗を頂いた。苗を植えながら、遠い昔のことが思い出された。終戦で爆撃の恐怖は消えたが、食糧難は子供心にも分かった。花壇はなく、空き地にはカボチャが植えられていた。耕地を持たない大人たちは歩いて約1時間の山を買い、開墾して区分けして大豆や麦を作り、梅雨期には甘藷を植えた。日曜日は家族でその菜園に行き、草取りやつる揚げをしたりして成長を楽しみ、秋の収穫を待った。甘藷は大切な代用食だった。葉柄は皮を剥ぎ、きんぴらにして食した。
 今の飽食、ぜいたくな食物の扱い方を反省することだった。
  出水市 年神貞子 2013/6/17 毎日新聞鹿児島版掲載

「梅雨の晴れ間」

2013-06-18 12:50:21 | 岩国エッセイサロンより
2013年6月18日 (火)

岩国市  会 員   山下 治子

時々帰る夫を、たまに訪ねて行く私は「愛人気分のしゃれた関係みたい」と楽しんでいた。新婚の時以外に、私たちが一番仲良かった時かもしれない夫の単身赴任の頃が懐かしい。 
 退職後はお客さん扱いもしなくなり、何となくささいな事でのいがみ合いが多くなっている。心を痛める長男。「まただよ」としらけの次男。そこへ「まぁまぁまぁ」と1升瓶さげて「どっちも悪くて、どっちもいいでしょう」と三男のおちゃらけが私たちのつなぎを取ってくれる。渋々、角を収めながら「子はかすがい」のことわざが、この年にして思い当たるとは。

 (2013.06.18 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載