
2014年7月25日 (金)
岩国市 会 員 安西 詩代
「おばちゃん、いけ花って何?」と、近所に住む仲良しの小学3年生の彼に聞かれた。先日玄関先に「いけ花教室」の看板を出したからだ。先輩は「看板を見て入会する方はいないよ」と言った。
小学生の時から習い始めたいけ花。子育ての時も親の介護の時も、暇をみては教室に通った。子育てのイライラもお花で紛れていたのかもしれない。
今の私の師は93歳で現役の教授者。高齢になり足や耳が不自由になられたが、送迎の手助けが必要なだけで、指導の感覚は新しい。いけ花の流行にも敏感な方だ。師からは、いけ花だけでなく、人生の歩み方や母から聞き忘れた礼儀作法を教えてもらい、生き方のお手本としている。
私が若い頃は、習い事というと華道、茶道が定番だったが、現在は多様化しているようだ。今までは自分の趣味として楽しんできたが、一人でも多くの人にいけ花の素晴らしさや伝統を継ぎたいと思い、恥ずかしい気持ちはあったけれど看板を褐けた。
小3の彼に「この看板どう思う?」と聞くと、「いいんじゃない!」と答えて くれた。ちょっぴり勇気が湧いた。
(2014.07.25 朝日新聞「声」掲載)岩国エッセイサロンより転載