はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

立ち会いは両手 孫も見てます

2015-02-07 23:58:04 | 岩国エッセイサロンより
2015年2月 4日 (水)

   岩国市  会員    吉岡 賢一

 大相撲の本場所が始まると、5歳の孫は幼稚園から帰ってくるなり、おやつもそこそこに「おすもう見たい」とテレビの前に座る。
 「こっちは誰?相手はなんていう人?」と一番一番、私にしこ名を確かめては画面に見入る。そのうち「えんどーはまだ?」と言い始める。一人前に遠藤関の大ファンで、懸賞の垂れ幕を数えるのが楽しみなようだ。
 そんな孫が時々「じいちゃん、この人ずるい」と言う。きちんと両手をつかずに立ち上がった力士を幼い目は見逃さない。
 昨今、がっぷり四つに組んだ力相撲が以前より減り、立ち合いで変化してのはたき込みなど小手先の相撲が多くなった気がする。せめて「土俵に両手をつく」という立会いのルールは確実に守らせるべきだ。片方の手は確実に土俵につけてにらみ合い、それに片方の手を添えてお互いに下からぶつかり合う。そんな相撲の基本姿勢の美しさと、対戦相手に対する敬意を欠かしてはならない。
 日本の国技である大相撲。幼い子どもの純真な目が見ている。ルールを守り、気品と強さが備わってこそ、ファンを魅了する相撲界は続いていくのであろう。

        2015.2..4  朝日新聞 「声」  掲載 岩国エッセイサロンより転載

ねんねこでおんぶ

2015-02-07 23:56:18 | 岩国エッセイサロンより
2015年2月 4日 (水)

山陽小野田市  会 員   河村 仁美

娘から昭和レトロな写真が撮れたとメールが届いた。1歳3カ月の孫が大ばあばにねんねこ半纏でおんぶされている。赤ちゃんをおんぶする姿をあまり見かけないので懐かしい。孫のお昼寝はいつも大ばあばにおんぶされて寝ているという。大好きな大ばあばの背中はぴったりとくっついて温かさを感じたり、もたれかかって甘えたり、心が安らぐ場所なのだろう。いつまでおんぶしてもらえるかな。 
 娘は孫が反抗期になった時にこの写真を見せるつもりだそうだ。とてもかわいがってもらったことを知って、どんな反応をみせるのか楽しみにしている。

  (2015.02.04 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載

ひな祭り

2015-02-07 23:55:45 | 岩国エッセイサロンより
2015年2月 3日 (火)

岩国市  会 員   稲本 康代

 何年ぶりだろう? 娘たちが我が家を巣立ってから、おひな様を飾った記憶がない。今年は、同居した孫と娘が、はやばやと飾ってくれた。
 木目込みのやさしい雛人形の顔を眺めていると、自然に笑みがこぼれる。四季折々の行事を楽しむ日本の風習は素晴らしいと、あらためて感じ、大切に伝えていかねばとも思う。それと同時に平和だからこそ、こうした時間を持つことができるのだと、しみじみ感じるのであった。
 ひな祭りの歌を孫と口ずさみながら、平和ということについて話し合う機会にしようと決めた。
  (2015.02.03 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載