はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

リハビリ頑張ってマース…

2015-02-11 16:59:07 | アカショウビンのつぶやき
2月から、フィットネススタジオでのリハビリが始まった。

昨年7月、急性膝関節症で歩行困難となり入院。
膝関節症は軽くなったが、以前から言われていた頸椎の異常が更に悪化し、頸肩腕症候群の症状が苦しい。
想像もしなかった、急激な展開に、ただおろおろするばかり…。
ということで、80歳を迎えた途端に、ガタガタと体力が落ちてしまった。

平成6年から続けてきた、地域FMのボランティアパーソナリティも引退し、今はただ、現在の体力維持のみを目指してリハビリに励む毎日。

そこで出会ったのが、
「リハビリ特化型デイサービス」
昨年4月にオープンしたばかりの施設には色々なマシーンが勢揃い。
送迎着きで2時間、理学療法士による、プログラムに沿ってトレーニングに励む。








あぁ固い体…


8名のクラスメート(?)は、80代後半の先輩ばかりで、90代も数名おられるみたい。
杖を使われる方々も、楽しくトレーニングに励んでおられた。

新顔の私は、体力測定。半年以上ただ手すりにすがっていた私が、手すり無しで歩けた!
短い距離だけれど「あるけるんだ!」と、嬉しかった。

然し、これが私の悪いクセ。
頑張り過ぎだったらしく、今日は朝から全身の倦怠感がどっと。筋肉痛も始まった。

でも、リハビリを続ければ、前のように歩けるようになる!
これを目標に頑張ろう。


今日のリハビリは終了。それぞれのバスに分乗して「さようなら」




僕の昭和史4

2015-02-11 16:51:59 | はがき随筆
 ぼくが小学校に入学したのは昭和21年。敗戦の日から8ヶ月足らずである。武蔵野の雑木林の中でポツンと育ったぼくは、幼稚園も経験してないし、友だちも居なかったが、不思議とも不自然とも思わなかった。入学式の記憶はなく、母に連れられ小学校へ行き、手続きをした記憶だけが残る。恐らく、疲弊と先の見えない不安の中にあって、式典ができる状況ではなかったのだろう。それでもぼくたちには、戦災に遭わずにすんだ学舎があり、やっと手に入れた布製のランドセルを背負い、雑木林を縫うように1㌔ほどを通った。
  志布志市 若宮庸成 2015/2/11 毎日新聞鹿児島版掲載

元気でなりより

2015-02-11 16:44:53 | はがき随筆
 母の末弟は1926(大正15)年生まれ。年末に元号が変わったため、昭和元年と表記されるのが気に入らないようで「俺の生まれた年はない」が口癖だ。川崎市に夫婦で暮らしていて、数年に1度会うくらい。昨年、珍しく年賀状が届かず、気になりつつも、連絡せずにいた。
 6月と10月、たまたま上京していた日に携帯が鳴り、出ても応答無し。かけ直してもつながらない。今年の年賀状に「不思議な着信あり」と書いたら電話が来て「俺はかけてねえぞ」。
 今年は卒寿を迎える叔父。元気な声がうれしく「今年は会いにいくからね」と約束した。
  鹿児島市 本山るみ子 2015/2/10 毎日新聞鹿児島版掲載

もらい風呂

2015-02-11 16:38:31 | はがき随筆
 風が冷たく、寒気も厳しい季節。こんな夜は風呂が一番。随分昔、隣近所に、もらい風呂の習慣があった。風呂の後の焼酎、茶のん話がおせの楽しみでもあった。風呂といえば母ちゃんが「そゆは一番、ぞゆは二番風呂」と教えてくれた。ご馳走に招かれた時、人より遅れるとごちそうは冷え、客はもう酔って、ゆっくり食べられない。一方、一番風呂は暑かったり、ぬるかったりで、すぐには入れないから、二番風呂に入るのがいい。冬の夜話に、もうちっとかごっまの面白いことわざなどを母ちゃんに聞いてみたいが、とんち者の母はこの世にはいない。
  さつま町 小向井一成 2015/2/8 毎日新聞鹿児島版掲載

子守歌

2015-02-11 16:31:10 | はがき随筆
 熊本県の五木に行けば、流れてくる悲しいメロディー。
 「おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと 盆が……」
 昔、口減らしに五木から人吉などへ子守奉公に出され、子守をして歌われたという童謡。 
 私は、幼い子守に歌われた頃の状況が浮かんでしまう。
 ところが、天草町福連木にも同じ、おどま盆ぎり盆ぎり……という、五木の子守唄とは旋律違いの同じような歌詞の「福連木の子守唄」がある。この唄もつくった人不明という。
 五木も福連木も、口ずさまれはじめた頃は、どんなに貧しくつらかったことだろう。
  出水市 小村忍 2015/2/7 毎日新聞鹿児島版掲載

かくれんぼ

2015-02-11 16:23:59 | はがき随筆




 


頬をなでる風に柔らかさを感じた昼下がり、庭を眺めていたら、生垣の手前の横棒にメジロが舞い降りた。カメラを構えたらチョコンと跳ね、こちらに向きを変えたところをパチリ。次の瞬間パッさ姿を消した。ファインダーをのぞいていたので動きについていけず、キョロキョロしていたら「ここだよ」というように、すぐ隣の刈り込んだツバキの陰から頭をのぞかせた。「ミッケー」とパチリ。その時キーッと鋭い鳴き声が聞こえ、メジロは飛び去った。ヒヨドリが玄関前のヒトツバからこちらを見ていた。かくれんぼの仲間に入りたかったのかな。
  西之表 武田静瞭 2015/2/6 毎日新聞鹿児島版掲載

野鳥

2015-02-11 16:07:28 | はがき随筆
 


散歩中の楽しみの一つにバードウォッチングが加わった。時には何羽飛来してきたのか数えたりもする。肝付川は水が濁り、悪名高き河川の一つだが、最近は努力の甲斐あってか、渡り鳥のカモの数も確実に増えた。他にはアオサギ、シロサギ、カイツブリ、時には瑠璃色に輝くカワセミも目にする。この野鳥が安心して翼を休められる自然環境の維持を願ってやまない。家にはメジロやヒヨドリが遊びに来る。木の枝に刺さった半分のミカンを奪い合う姿に目を細め、子供のように喜ぶ夫に、童心を失わないことは良いのかも、と妙に納得する自分である。
  鹿屋市 中鶴裕子 2015/2/5 毎日新聞鹿児島版掲載

選者の涙

2015-02-11 15:57:29 | はがき随筆
 「私、こういう句に弱いんですよ。読むと泣けちゃうんですよね」。正月3日、NHKラジオ「新春おめでた文芸・川柳」に投稿した私の句が、選者大木俊秀さんに取り上げられた瞬間の言葉だ。それまでのスタジオの華やいだ空気が一変したことを、出演者全員の無言が教えてくれる。「俊秀さん、目に涙浮かべてるんだよ、きっと」神妙な面持ちで妻が言う。「すごいな!」。まるで人ごとのように感心した。そして、感謝した。その入選句。
 「沓き日の紙風船の母の息」
 ちなみに、当日のお題は「紙」であった。
  霧島市 久野茂樹2015/2/4

 

元気市

2015-02-11 15:50:24 | はがき随筆
 30戸の限界集落で行う小正月前の「元気市」。餅をさいころ形に切り、エノキに差して豊作を祝う「ほだれひき」。
 ドラム缶で火を燃やしての歓迎。開場を待ちきれずに人が列をなしてごった返した。
 おにぎりと豚汁の振る舞い、地元の大豆で作る豆腐と菜種油は一番の人気だ。
 私はカフェをオープンして、アップルパイやシフォンケーキを出した。
 おいしい湧水をペットボトルに詰めてお土産に。
 1年ぶりの懐かしい人たち。即席のカフェでしばしくつろいでもらった。
  薩摩川内市 馬場園征子 2015/2/3 毎日新聞鹿児島版掲載

切り干し大根

2015-02-11 15:44:30 | はがき随筆
 こたつで切り干し大根を作っていると、スマホに夢中の孫娘が「ばあちゃん、慣れた手つきだね」と声をかけてきた。
 思えば冬になると、母も義母も縁側や庭にゴザを敷いたりして、干し大根を作る姿があった。まな板も使わず、左手の中の大根を器用に切り割っていく。同居の義母が亡くなってから、自分も作るようになっていた。
 私の中に映像として残る母たちと同じ姿が、孫娘の瞳の中に、今あると思うと少しうれしく、また瞬時に月日が流れた気がした。細やかに、家庭のことだけに生きた母たちのように生きるのもいいかもしれない。
  出水市 塩田きぬ子 2015/2/2 毎日新聞鹿児島版掲載