はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

荒れる出梅

2015-07-08 20:02:24 | 岩国エッセイサロンより
2015年7月 8日 (水)

    岩国市  会 員   稲本 康代

「うっとうしいですね」「私は結構好きな季節なんですよ。梅雨は紫陽花の色合いとともに季節の移り変わりが感じられて新鮮ですよ」。意外な答えにびっくりしながら、なるほどと納得した、隣の奥さんとの会話である。  

「静かな入梅から、荒れる出梅」といわれ、梅雨は夏を過ごすための水をもたらす、ありがたい降雨と教えられていた。

が、最近の雨の降り方は、そんな風情を、打ち消す。降れば豪雨で、それも局地的であり、テレビを見ては土砂災害の心配ばかりしている。できることなら、路傍に咲く紫陽花の変化を眺める梅雨であってほしい。

   (2015.07.08 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロンより転載