はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

妻を癒すアサガオ

2015-07-25 09:51:24 | 岩国エッセイサロンより


2015年7月25日 (土)

    岩国市   会 員   片山清勝

 数年前の夏、体調を崩した妻が毎朝、楽しみにしたのはアサガオだった。カーテンを開け、しばらく眺めることが日課になった。花と妻が会話しているように見えた。朝顔の花が終わる頃、体調は回復した。
  「来年も咲かせたい」と妻は採種を促した。癒やしてくれた花への感謝の思いだろうと思い、よく膨らんだ種を残した。次の夏もよく咲いた。それからは毎年、採種し、翌年に種をまき、苗を育ててプランターへ移植して咲かせている。
 今年も梅雨入りの頃から咲き始めた。妻は、あの夏と同じように、力ーテンを開けるのを毎朝の楽しみにしている。
 晴れた日の朝夕、水やりをするくらいで、特別な手入れなどはしていない。それでも、細いつるのどこに力があるのか、その伸び方に感心する。
 伸びれば花の数も増えてくる。そんな自然の力に癒やしの力があるのだろう。来年は花数を増やす工夫をしよう。妻の背中越しにアサガオを眺めながら思う。

        (2015.07.25 中国新聞「広場」記載)岩国エッセイサロンより転載

ありがとう燕

2015-07-25 08:49:00 | はがき随筆


 燕はなんと6羽が誕生した。雛は大きい口を開いて餌をねだって鳴く。つがいでせっせと餌を運んでは口移しで与える。豪雨も何のその。懸命な子育てだ。雛が巣の縁から尻を出してフンをするのを目撃。可愛い。その時落下したのか2羽が消えた。4羽になった雛は見る見る間に太り大きくなって子燕へ。
 ある時、空を見ると家族6羽で舞っている。巣立ったのかと思ったら夕方には巣に戻り、また餌をもらっている。それが10日ほど続いて、大きくなった4羽はもう巣からはみ出している。巣立つ日も近いだろう。2ヶ月間家族のようだった。
  霧島市 秋峯いくよ 2015/7/24 毎日新聞鹿児島版掲載