2015年8月 7日 (金)
岩国市 会 員 安西 詩代
兄が17歳で特攻隊に志願し、私の生まれる前に亡くなったことを高校生の時、姉より聞いた。
壁に掛けてある凛々しい軍服姿の兄の写真を見つめた。
深い悲しみを背負っていた父と94歳まで生きた母も兄のことを一言も話すことはなかった。
息子が17歳になった時は部活の野球を朝から晩まで楽しんでいた。戦後の平和は私たちの心を穏やかにしていた。日本国のために出征した兄とは重ならなかった。
しかしこのごろ、心がザワザワして落ち着かない。
孫が17歳になった。兄と重なる恐怖が芽ばえている。
(2015.08.07 毎日新聞「はがき随筆」戦後70年特集掲載)岩国エッセイサロンより転載
岩国市 会 員 安西 詩代
兄が17歳で特攻隊に志願し、私の生まれる前に亡くなったことを高校生の時、姉より聞いた。
壁に掛けてある凛々しい軍服姿の兄の写真を見つめた。
深い悲しみを背負っていた父と94歳まで生きた母も兄のことを一言も話すことはなかった。
息子が17歳になった時は部活の野球を朝から晩まで楽しんでいた。戦後の平和は私たちの心を穏やかにしていた。日本国のために出征した兄とは重ならなかった。
しかしこのごろ、心がザワザワして落ち着かない。
孫が17歳になった。兄と重なる恐怖が芽ばえている。
(2015.08.07 毎日新聞「はがき随筆」戦後70年特集掲載)岩国エッセイサロンより転載