一人娘が高校生か大学生のとき、当時話題の映画「タイタニック」を2人で見にいった。私たちの前方席のヤンキーふうの若者たちの様子がどうもおかしい。こちらを振り向き下卑た笑いを繰り返す。「何だろうね」。2人ともキツネにつままれた思いであった。主題歌の「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」を歌ったのは、かのセリーヌ・ディオン。名曲である。さて、映画館での謎は後日判明する。彼らは私たちを「援交(援助交際)」と勘違いしたらしい。それにしても……。多分「父親と映画」など経験のなかろう彼らが哀れに思えた。
霧島市 久野茂樹 2015/8/24 毎日新聞鹿児島版掲載
霧島市 久野茂樹 2015/8/24 毎日新聞鹿児島版掲載