2015年8月11日 (火)
岩国市 会 員 角 智之
夏から秋にかけて太陽が西に傾く頃、道路や河原の上に群がって飛ぶ様は、風情がある。図鑑には「薄羽黄トンボ」で載っているが、知っている人はほとんどいない。実家のすぐ裏の石垣に茅が生えていて、夕方にはこれがねぐらとなり、池に突き出た細い葉にたくさんぶら下がる様子が面白く、寝ころんで暗くなるまで眺めていた。盆には、このトンボが大切な人の御霊を乗せて家々を回るという。昆虫などは、正式名よりも通称の方がよく知られていることも多い。このトンボは、なじみ深いあかトンボと同様に広く知られて精霊トンボいるお盆の使者、精霊トンボ。
(2015.08.11 毎日新聞「はがき随筆」掲載)岩国エッセイサロン より転載