振り返ると、あっという間の41年間。最近、指輪が窮屈になり、やむを得ず外す羽目となった。だが、なんとなく落ち着かない。そんな折、96歳の義母から思いがけず指輪を譲り受けた。主人も賛成してくれた。念のため、義母に「これ、頂いても構わない?」と尋ねると、満面の笑みを返してくれた。幸いにもサイズはぴったり。あつらえたかのよう。とてもうれしかった。決して良い日ばかりではなかったが、心が通い合った瞬間だった。いつか、我が家の嫁さんにも受け継いでほしいと、ひとりひそかに思いをはせ、心を弾ませた。ありがとう。
鹿屋市 中鶴裕子 2015/8/19 毎日新聞鹿児島版掲載
鹿屋市 中鶴裕子 2015/8/19 毎日新聞鹿児島版掲載