2015年8月30日 (日)
岩国市 会 員 片山清勝
岩国市の錦帯橋近くで、江戸時代から伝わるとされる「小糠踊」で城下町情緒が残る路地を練り歩く「こぬかの盆」が、約60年ぶりに復活した。
太鼓と笛の音に台わせた甚句調の音頭で「そーら、てっとーてん」の掛け声に合わせて踊る。ゆったりとした曲調と上品な振り付けは、やぐらを囲む現代風の盆踊りとは趣が違う。
この踊りは保存会が守ってきた。盆の練り歩きを復活して地域を活気づけようと応援隊が結成され、本番に向けて練習を積んだ。
日暮れとともに、通りにあんどんがともされ、100人を超える踊りの列が続いた。そろいの浴衣を着た保存会員の顔は、復活の喜びに満ちていた。応援隊の踊りの列には、児童や若い女性の姿が多く見られ、先々に明るさを感じた。
この踊りはかつて城下の町家や農家の子女の間で親しまれ、盛んに踊られていたという。復活を喜んで飛び入り参加する人もあり、大いににぎわった。
「来年もやります」。最後に実行委員が力強く宣言し、拍手が起きた。
(2015.08.30 中国新聞「広場」掲載)岩国エッセイサロンより転載