はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母と老い

2017-10-06 12:25:11 | はがき随筆
 棚田が色づき、あぜには彼岸花がふくらみ始める頃。小さな集落の「長寿を祝う会」に講師として出かけた。いつも初めての出会いはワクワクドキドキである。口癖のように「トシはウッセタ」と老いを意識せず90歳までこころ穏やかに老後を過ごした母を語った。語らいの中で「トシと自覚せずいくつになってもいろいろなことに興味をもつ気持ちの若さは大事だ」と話をされた。それぞれの方が前向きな発言ばかり。心の中に浮かぶ高齢者は見当たらない。母を語ったことで、古稀を迎える今、残りの人生をどう生きるかひとつのヒントを頂いた。
  さつま町  小向井一成  2017/10/5  毎日新聞鹿児島版掲載