なぜ心揺さぶられるのだろうか。指揮者に向かって開かれた21のかわいい唇。ちょこんと載った白いベレー帽と、赤いベストがライトに映える少年少女合唱団の定期演奏会。壮年コーラスも一緒になって歌うその言葉から、平和への祈りと被災者へのいたわりがじんわりと伝わってくる。うなずきつつリズムに合わせる聴衆の優しい表情。美しい水彩画が添えられた歌詞パネルが楽曲ごとに現れて、おかげで会場全体の合唱となる。ステージも観客も、そのまなざしがあまりにも真っすぐすぎて、胸がいっぱいになり、瞳が潤んだ2時間半だった。
鹿児島県出水市 山下秀雄 2018/4/26 毎日新聞鹿児島版掲載