子供のころ、父は私を有明海の潮干狩りに連れて行ってくれた。獲物は、タコ、シャコ、穴子、赤貝、タイラギ、こぶし大の巻貝など。帰りに、アサリとワキャ(イソギンチャク)、そして海藻をとって帰った。当時の有明海は生命に満ちあふれていて、潮だまりには、たくさんのムツゴロウ、小魚、エビ、カニなどがうごめいていた。しばしば、連なったカブトガニを見ることもできた。
父と行く潮干狩りは豊漁で、夕食には有明海の幸が並んだ。
今の子供たちに、あのときの有明海を体感させてあげたいと、切に思う。
熊本県北区 岡田政雄(70)2018/7/30 毎日新聞鹿児島版掲載