はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

母と団子

2018-09-16 07:41:01 | はがき随筆
 食べて体力を蓄え生きる。
 いとも簡単な理であるが戦時中は簡単とは言えなかった。そして終戦後も当分食べる満足は得られなかった。
 そんな時代、唯一心にへばりつき離れない事がある。
 それは、おふくろが捻りだす実にうまい団子でした。あの頃はダゴと言っていたが随分空腹を満たしてくれた。
 平籠に入れ高くさげてり、猫のタマと小学1年生の私は狙っていた。椅子に登り団子に届く、慌てて2回も落ちた。ついに父に行った。「籠を少し下げて」とね。少し固めの葉っぱに包んだ団子の顔が見たい。
 宮崎県延岡市 前田隆男(80) 2018/9/16 毎日新聞鹿児島版掲載