はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はなまるの思い出

2018-09-23 07:33:22 | はがき随筆


 ピアノが弾けたら楽しいだろうと、始めたのが68歳のとき。娘に週1回のレッスンを受けるのだが、脳細胞の減少か、指令が指先まで届かない。娘も必死。初めは手取り足取りと優しい指導も次第に1オクターブ高いトーンで指摘がとんでくる。
 「左手が間違ってるよー」「はい」。生徒はひたすら練習するのみ。ようやく合格の曲には赤ペンで「はなまる」がつく。横に「おつかれさま」とある。
 思わず先生とハイタッチ。優しく、時に厳しく指導してくれた娘には金のはなまるかな。お陰で脳に刺激を与えながら楽しむ幸せがある。
  鹿児島市 竹之内美知子(84) 2018/9/23 毎日新聞鹿児島版掲載