リビングルームに冬の陽が差し込んでいる。真っ赤なカニサボテン花が6.7輪咲いている。母からもらったものだ。
母は園芸の得意な人だった。春にはポピー、夏にかけてルピナス、しょうぶ、秋には聞く、冬には葉ボタン、スイセンと花の絶えない庭をつくっていた。そして花を人にやるのが好きだった。喜んでもらえるのがうれしい。花は道路沿いにあって、ある時、たくさんの花を盗まれた。「言ってくれればやるのに。花泥棒も泥棒」と言って残念がっていた。花を愛した人だった。その母の一周忌をもうすぐ迎える。
熊本県玉名市 立石史子(65) 2019/1/11 毎日新聞鹿児島版掲載