にぎやかに過ごした子どもたち一家が帰って一人になった。過日、読み人いらずという百人一首を購入。自動読み取り機で過ごすことにした。テープで詠まれ和歌が流れる。「めぐりあいて見しやそれともわかぬ間に」と上の句。「雲隠れにし夜半の月かな」と口ずさみながらカードを取る。この歌は福岡の友人がよく口にしていた紫式部の歌。気の合う大切な方だった。短歌教室も机を共にした。ある日「今度はあなたから電話くださいね」との言葉を最後にこの世で再び会えない人となった。百人一首を聞きながら懐かしい友をしのぶ一日となった。
熊本県荒尾市 平田清子(91) 2019/1/29 毎日新聞鹿児島版掲載
熊本県荒尾市 平田清子(91) 2019/1/29 毎日新聞鹿児島版掲載